NO天気

ユキ(偽名)

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空気が読める犬

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 母は、最近ラジオやポッドキャストを聞くことにハマっているようだ。そして、様々な番組から集めた情報を私たちに伝える。
 今日の情報は、災害や事故、様々な危機に陥った場合、パニクらない人の方が助かるということだった。

 後は多分、運がいい人だ。

 いくらパニクらなかったとはいえ、飛行機で私が座っている隣の窓がなんらかの理由で壊れたら、多分どんなに冷静でも空に投げ出されると思う。ちなみにシートベルトはいつもつけている派だが、体の半分が割れた窓の外で、もう半分が座席の上だと思うと恐ろしいので、一思いに飛ばされた方が楽なような気もする。むしろ周りがパニックを起こす前に逝ってしまいたい。これからはシートベルトは外してしまおうか、などと考えたが、まぁ、そんなことは母には言えないので、もしもの時用に話を聞くのだが、私は多分、周りがパニクると一緒にパニクってしまうと思う。そういう時だけ空気が読めそうだ。

 そう言うと弟が、犬は部屋の空気が読めるそうだと言った。長い間人間との絆を築いてきたので、周りで人が悲しんでいると、よく分からないが犬自身も悲しくなってしまうんだと。だから猫より犬が好きだとか何とか……

 はっ! と私は少し経って気がついた。遠回しに私のことを犬のようだと言っていたのだと!
 するとここからの問題は、誰が猫かという話になってくる。

 よく友達との間で、猫みたいな人や犬みたいな人、と言った会話をするのだが、なんとなく猫は自己中心的で犬は忠実、みたいにまとめられることが多い。それなら、(その言葉では言ってないが)私のことを犬のようだと言った弟は、私を褒めていたのかもしれない。すると誰が猫なのかはあまり興味がなくなる。

 そんな自己中心的な私のことを犬だといってくれる優しさ……ちなみに、べつに猫だと言われても私は嬉しい気がする。
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