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来訪者
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私は司の言う通り、頭を切り替えようと必死に考え始めた。
暫くして、「キッ」と小さな音を聞いたような気がした。
「ね、今なんか音がしなかった?」
「え?何の音?聞こえなかったけど」
「キッって聞こえた。アイツかな」
二人で全神経を耳に集中させる。
僅かだが、畳をゆっくり歩くような音も聞こえる。
アイツの足音とは違う。
じゃあ、何者なのか。
ソイツは、私達が押し入れの中に隠れている事を知らないようで、そのまま部屋から出て行ってしまった。
「何だったの?」
「わからない。でも、足音からして真っ黒の奴じゃなさそうだ」
「ね、場所変えようよ。こんな窮屈な所にいてもいいアイデアが出ない感じがする」
「・・・・そうだな」
司は、ずっと同じ姿勢でいた体が痛むのか、首をぐるりと回す。
「俺が先に行くから、お前も後からついて来いよ」
「うん」
私達はそっと押し入れから部屋の中を伺う。月の光が部屋の中に入り、畳が光って・・・
ん?
「ね、この足跡・・」
私は、畳の上に着いた足跡を指さしながら司に言った。
足跡は二つあった。廊下から部屋に入った足跡と、部屋の窓の方から続いている足跡。廊下から続いている足跡は、恐らく黒い奴の足跡だ。では、窓からの方の足跡は・・・やはり、別の誰かが窓を開け入って来たのだろう。現に閉まっていたはずの窓が開いたままになっている。
(でも・・・この二つの足跡・・両方同じように見える・・・)
私は、何となく違和感を感じながら足跡を見ていた。
「本当だ。じゃあさっきのは人間?・・・誰だ?ユウじゃなさそうだし」
「わからないけど、早くその窓から出ようよ」
私達は、部屋の入口を気にしながら素早く窓から出た。家の裏の方に出るので、家から離れるまでは、ゆっくりと足音に気を付けながら進んで行く。裏庭を抜け、やっと道に出た時、私達は糸が切れた様に走り出した。一刻も早く家から離れたかった。司も私も同じことを考えていたようだ。あの真っ黒い奴に追いかけられた時と同じように、全速力で走っていると本当に追いかけられている錯覚に陥ってくる。
たったったったった・・・・とリズムよく二人の足音と早い呼吸が響く。
たったったたたったったた・・・・?
二人の足音が・・・・
たたたったったったたた・・・・
一人多い?
司もそれに気が付いたようで、走るスピードを少し落とし、二人一緒に後ろを振り向く。
「マジか・・・」
二人同時に呟いた。
走るスピードを上げる。もう限界に来ていたが、振り向いた時に見たものから逃れるために我慢して走る。
振り向いて見たもの・・・
離れてはいたが、私たちめがけてものすごいスピードで走ってくる人だった。頭の当たりがピカピカと光、その光をせわしなく上下に揺らしながら走ってくる人・・・人・・・人?
「ちょ、ちょ・・・司・・・ちょっと待って・・・」
息も絶え絶えに、前を走る司に声を掛ける。
「何!」
司は振り向きもせずに返事だけする。
「お、おかしいよ!」
「は?何がおかしいの!・・・・あれ?」
暫くして、「キッ」と小さな音を聞いたような気がした。
「ね、今なんか音がしなかった?」
「え?何の音?聞こえなかったけど」
「キッって聞こえた。アイツかな」
二人で全神経を耳に集中させる。
僅かだが、畳をゆっくり歩くような音も聞こえる。
アイツの足音とは違う。
じゃあ、何者なのか。
ソイツは、私達が押し入れの中に隠れている事を知らないようで、そのまま部屋から出て行ってしまった。
「何だったの?」
「わからない。でも、足音からして真っ黒の奴じゃなさそうだ」
「ね、場所変えようよ。こんな窮屈な所にいてもいいアイデアが出ない感じがする」
「・・・・そうだな」
司は、ずっと同じ姿勢でいた体が痛むのか、首をぐるりと回す。
「俺が先に行くから、お前も後からついて来いよ」
「うん」
私達はそっと押し入れから部屋の中を伺う。月の光が部屋の中に入り、畳が光って・・・
ん?
「ね、この足跡・・」
私は、畳の上に着いた足跡を指さしながら司に言った。
足跡は二つあった。廊下から部屋に入った足跡と、部屋の窓の方から続いている足跡。廊下から続いている足跡は、恐らく黒い奴の足跡だ。では、窓からの方の足跡は・・・やはり、別の誰かが窓を開け入って来たのだろう。現に閉まっていたはずの窓が開いたままになっている。
(でも・・・この二つの足跡・・両方同じように見える・・・)
私は、何となく違和感を感じながら足跡を見ていた。
「本当だ。じゃあさっきのは人間?・・・誰だ?ユウじゃなさそうだし」
「わからないけど、早くその窓から出ようよ」
私達は、部屋の入口を気にしながら素早く窓から出た。家の裏の方に出るので、家から離れるまでは、ゆっくりと足音に気を付けながら進んで行く。裏庭を抜け、やっと道に出た時、私達は糸が切れた様に走り出した。一刻も早く家から離れたかった。司も私も同じことを考えていたようだ。あの真っ黒い奴に追いかけられた時と同じように、全速力で走っていると本当に追いかけられている錯覚に陥ってくる。
たったったったった・・・・とリズムよく二人の足音と早い呼吸が響く。
たったったたたったったた・・・・?
二人の足音が・・・・
たたたったったったたた・・・・
一人多い?
司もそれに気が付いたようで、走るスピードを少し落とし、二人一緒に後ろを振り向く。
「マジか・・・」
二人同時に呟いた。
走るスピードを上げる。もう限界に来ていたが、振り向いた時に見たものから逃れるために我慢して走る。
振り向いて見たもの・・・
離れてはいたが、私たちめがけてものすごいスピードで走ってくる人だった。頭の当たりがピカピカと光、その光をせわしなく上下に揺らしながら走ってくる人・・・人・・・人?
「ちょ、ちょ・・・司・・・ちょっと待って・・・」
息も絶え絶えに、前を走る司に声を掛ける。
「何!」
司は振り向きもせずに返事だけする。
「お、おかしいよ!」
「は?何がおかしいの!・・・・あれ?」
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