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チャプター6
チャプター6
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ブンッ
ガントのダガ―が空を切る。
速い。一瞬でアルウルのふところに切りこんだ。
アルウルが両手にもった二本のダガーで受ける。
ガントの連撃を正確に受け止め、いなして。
ん~、あいつってばこんなに上手かったっけ? いつも適当に手を抜いて遊んでるとこしか見たことないし、まさかこんなに動けるなんて。
アルウルの蹴りがとぶ。
組んだ両腕で防いだガント。でも衝撃でうしろにふきとぶ。
派手な土ぼこりが上がる。ガントのHPゲージがググッと下がった。
一気にアルウルが距離をつめる。そして攻める。攻める。
高速の連続キックの何発かが確実にヒット、
ガントのHPゲージが黄色点灯。さらに左にさがってさがって、
ぐらり。
そのとき一瞬、視界が揺れた。
なんだか目まいみたいな、
おっきな波が船をまるごと揺らしたみたいな――
「なにこれ? なんかいま、変な感じしたよね?」
あたしはカトルレナの顔を見た。
なんだろう?
違和感。よくわかんないけど、そこにある色とか空気の感じもなんだかさっきとちょっぴり変わったみたい。
ヘスキアがいきなり跳躍した、らしい。
あまりにのスピードに、正直あたしの目には、
その突進が淡いピンクの光の線にしか見えなかった。
「お? お? なんだこいつ?」
それを正面から受けたアルウルが防ぐ。防ぐ。
けど、全部は防ぎきれない。小さなダメージがひとつ、またひとつ。じわっ、じわっとHPゲージが左に動く。
「なにあれ?? あれって歌姫? ちょっとあれって速すぎない? ぜんぜん動きが見えないんだけど??」
あたしは叫んだ。いったい何なの? ムチャクチャなスピードだあの歌姫のヒト。あんなのありえない! ときどき視界に残る残像を見るかぎり、なんだかたぶん、なにか爪っぽい武器を両手につけてるような――
え、でもおかしいよ! 言ってたことと違いすぎる! なにが「前面にさえたたなければ大丈夫と思いまーす」だ?? めちゃくちゃ前面で近接戦やってる! さっき見たスキル値的には、ぜんぜんそういうタイプに見えなかったのに。
「ヨルド様、」
これまでずっと無言で通してきた化けガラスのヨルドが、はじめて声を出した。
「どうしたのダグ?」
ネコリスのシェイプをしたヨルドがふりかえる。このヒトも今の今まで、なにげにあたしの肩の上で退屈そうにあくびをしながら成りゆきを見てただけ。
「あの女性キャラクタの動きは、たしかに少し奇妙です。ゲーム中の技術的制約を、いくつか無視した不可解な動きがありました」
「つまり不正ということ? ではあれは敵?」
「はい。まだ断定はできませんが、その可能性が」
「うおッ??」
アルウル、姿勢がぐらついた。
派手な効果音。飛び散る銀色の視覚効果。
アルウルのHPゲージが一気に黄色ゾーンまで低下した。
あれはずるい!
ヘスキアとの攻防で手いっぱいのアルウルを、ガントが背後から斬撃。
アルウル不利の二対一の展開だ。しかもガント、なんかさっきと武器が違う。シミターみたいなでっかい曲剣でアルウルを背中を切りまくってる。しかもあれ何? 一撃ごとに飛び散る視覚効果… あれって魔法エフェクト? ただの物理的な剣撃じゃないっぽい。
「なにあれあの剣? あんなの、あのヒト装備に持ってたっけ??」
隣でカトルレナも、なんだかムズカシイ顏で戦闘を見つめてる。
「ヨルド様。出ました。新たなイーグス反応っ!」
ダグが鋭く言葉をとばした。
ザッ バシッ ガッ ドガッ ザシュッ
あまりにもスピードが行き過ぎて、わたしにはもはや、
そこにある音と砂埃としてしか認識できないシーンの連続だけど――
でもたぶん、防いでる。防いでる。それでも何とか防いでる!
アルウル、防いでるっぽい!
すごい! 前後からの攻撃を二本のダガーで必死に防いで。
いまの上手い! すごく高度な回避テクだよあれ!
けど… それでも…
だけど非情にもアルウルのHPゲージはさらに低下。
もうまもなくオレンジゾーンに突入する。
「な、ん――だ――と??」
ガントが大きく目を見開いた。
腰のあたりから上が、なんだか不自然に左にスライド。
真っ二つ…… 切り離された上半身が、地面に落下。
ピィィィィンン……
高い金属質の効果音。ガントのキャラクタグラフィックが四散。
虹色の粉になって散り消えた。
―― DEAD ――
赤色のデッド表示がそこにともった。
な、なにが起こったの??
ぜんぜん今の、よく見えなかった…
たちこめる砂ぼこりがすっかりおさまったとき、
誰かがそこに立っている。
剣撃のアフターモーションのまま静止した、そのヒト。
眉ひとつ動かさず、まったく平静そのもの。両手で持つのは、いかにも下位クラスの廉価版ブロンズソード。そしてあの、いかにも冴えない安物の旅人服。
「あ、すいません。ちょっと強く切り過ぎてしまいました」
剣撃ポーズを解いて、
職業不詳のルルコルルがきまり悪そうに言った。
「なっっ。。お、おまえ、今なにを――」
いままでひたすらにアルウルを攻め続けていた歌姫が、その場で動きを止めた。顔には明らかな狼狽が浮かんでる。
「すいません。まだあんまり、力の加減がよくわからなくて」
ニコッとイノセントに微笑んで、ルルコルルが歌姫に謝った。
「あの~、続けて攻撃してもいいですか?」
「な??」
クリティカルヒット!!
縦の剣撃が歌姫の背中をふたつに割った。
はじけとぶ虹色の視覚効果。
歌姫ヘスキアのキャラクタービジュアルが、一瞬でフィールドから消えた。
そして赤を完全にふりきったHPゲージの上に、
――DEAD――
「んー、今度はけっこう加減したつもりだったんですけど。またちょっとやりすぎてしまいました。このゲーム、力の加減がけっこうムズカシイんですね… あの~、でもこれって、審査終了でいいんですよね? いちおう二人、勝ち残りということで?」
「…えっと、ん、そ、そうですね。は、はい。そうです。終わりです。。」
うわずった声でカトルレナが言った。
「分析結果は出た? あれもやはりサクルタス? 三体目が来ているの?」
あたしの肩の上で、黒のネコリスがこっそりささやく。
「いえ、それがその、ヨルド様、」
アタマの上では、化けガラスのダグが――、っていうか、いちいちアタマにとまるなって! なにげに重いしツメが頭皮に食い込んで痛っ!
「今現在、いっさいのイーグス反応がすでに消失しています。いまあそこにいるルルコルルというキャラクターに関しましては―― すべての数値が正常値。不正や外部侵入の形跡はいっさい感知できません」
「では、普通の人間のプレイヤーということね? 脅威ではなく?」
「…そうなりますね。手元の分析結果を見るかぎりでは。しかし、どうもなにか釈然としません」
「何が問題?」
「とくに問題というほどのこともないのですが――」カラスがクチバシの先で神経質そうに左の翼を掻いた。「いささか数値が綺麗すぎると言いますか。すべてのパラメーターやアルゴリズムが、あまりにも模範的すぎると言えば良いのでしょうか」
「では、引き続きモニターが必要ね。危険の兆候を感じれば、すぐに第四戦闘態勢に」
「はい。その点はぬかりなく」
「おい、なんかすげえの来ちまったな?」
こっちに戻ってきたアルウルが、回復ポーションを使いながら小声で言った。
「やばいぞあいつ。あの旅人。なんだあれ?」
「さっきの二人もやばかったよっ。ありえない速さ。ありえない打撃力」
「おいカナカナ、おまえ、いったいどんな募集したんだよ? なんか妙なバケモノプレイヤーばっかり集めてきやがって」
「し、知らないわよ! だって募集は普通にやったもん!」
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モアブ砂漠。
砂漠ってきくと単純にいちめんの砂丘とか砂ばっかりの場所を想像しちゃうけど。
ここはけっこう岩が多い。けっこうというか、「非常に多い」と「岩ばかりである」の中間ぐらいだ。村を出てからわりとかなり歩いてきた―― でっかい赤い岩山にはさまれた渓谷がクネクネ曲がりながらずっとひたすらに続いてる。谷の底の道には乾いた砂が厚く積もってて、なにげにかなり歩きにくい。けっこう足、疲れる。たまーに出現するでっかい岩サソリやサンドバイパーっていうヘビ型モンスター。そういうのをとにかくサクサクやっつけて、ときどき何とかっていう長い名前の砂虫の群れを蹴散らしながら。
先頭を行くのはアルウル。こいつが片っ端からひとりでモンスターをムダにぜんぶ倒していく。たまーに敵の数が多いと二番目を歩くカトルレナがちょっとだけ手伝う。でもそれで確実に終わり。三番目を歩いてるルルコルルっていうヒトはまだ一回もロングソードを振ってない。そしてそのさらにうしろのあたしは、もうほんと暇で暇で。
岩山の上の空は最初は明るかったけど、今はもうだいぶ暗い。かわりに星が、やけに明るく綺麗にまたたき始めた。
「ねえ、まだ着かないの~? その、なんとか神殿っていうのはまだ遠い~?」
「自分でマップ見て確認しろアホ」
前をいくアウウルがムカつく答えを返してきた。
「なによそれ~。マップ開いて見るのメンドクサイから訊いてるんでしょ~」
「おまえ一回も戦闘やってないだろ。せめてもうちょっと何か役に立てよ」
「だけど手伝ったら手伝ったで、おまえ足手まといだからうしろ下がってろ!とか言うでしょ」
「おお。よくわかってるじゃん。バカなりに学習してるってわけか」
「あんたにバカバカ言われる筋合いはないわ」
あたしはそいつに追いついて、そいつのアタマをバシッと叩こうと―― けど、ムカつくことに機敏にアルウルはかわした。だからもう一回こんどはフェイントを入れてから股間にガツンと蹴りをいれた。この動きは予想外だったらしくすごく綺麗にヒットした。
「ぐはっ! って、こら! いきなりパーティメンバー攻撃すんな!」
「あんたがバカバカ言うからよ。あたしこれでもけっこう学校の成績いいんだから。数学とか」
「ウソつけ。ほとんど学校行ってないだろ、リアルでは」
「行ってまーす。ま、ときどき休んだりはするけど」
「ははっ。週四回ぐらいがときどきかよ?」
「三回とかよ。週二回はちゃんと行ってるし」
「それはちゃんと行ってるとかいうレベルじゃないだろ」
「なによ。あんたも休みまくってるくせに」
「先週一回行った。昼までに帰ったけど」
「ははは、あははははははっ」
いきなり誰かが大声で笑ったからびっくりした。
何々? いきなり何このリアクション?
笑ったのは彼だ。ルルコルル。
なんだかムダにお腹をかかえて、でっかいリアクションで笑いまくってる。。
「なに? 何か面白い要素あった、今の会話に??」
あたしは意味がわからなくて本気で首をかしげた。
「あ、いえ、ごめんなさい。つい笑ってしまいました」
ルルコルルが、涙をふきながら苦しそうに言った。おい。。泣くほどの何かはぜったい今なかっただろ、ここには――
「とてもおもしろい会話でした。ふたりは仲がいいんですね」
「はぁ??」「なに言ってんだ??」
「いえ、ごめんなさい。ひとりでちょっと、受けてしまって。すいません。続けていきましょう。まだもうちょっと、先は遠いんでしょう?」
ルルコルルは言って、両手で髪の毛をかきあげ、ひたいに巻いたバンダナの位置を丁寧な手つきで直した。
「おーい! なにそこ、止まってるの? 何かそこ、あった?」
だいぶ前の方でカトルレナが呼んでる。
なんでもねーよ! と言ってアルウルが手をふった。
「なんか調子狂うよなあ、あいつ」
アルウルがボソッと言って、うしろのルルコルルをちらっと見た。
「なんか変なヒトよね。悪いヒトではなさそうだけど」あたしも小声でかえした。「でも、あのヒトなにが楽しくて参加したのかなぁ? ぜんぜん遊んでる雰囲気感じないし。」
「なにって、報奨金目当てだろ、そりゃ」
「けど、ゲームマネーをゲットしたとして、あの人が楽しそうにそれ使って遊んでる図がまったく浮かばないんだけど?」
「ん~、言えてるな、それは。でもま、やろうと思えば闇マーケットで地味にリアルマネーに換金もできなくはないし――」
ザッ!! いきなりアルウルがダガーをふるった。
バシュウウウウウウ……
キラキラピンクの視覚エフェクト。おそいかかってきた砂虫のビジュアルが一瞬で消えた。前をゆくカトルレナが狩りもらした残りのやつだ。さっきからなにげに砂虫の数が最初より増えてきてる。
あたしもそこに参戦。いちおう捨てずにアイテムストックに残してた小ぶりな片手ランスがいまここで役に立つ。あまり細かい動きは考えず、とにかくブンブン振り回す。ターゲットは充分大きいし、距離も近いし相手は遅い。適当に振っても面白いように当たる当たる。あたしの得意の火炎魔法は使わず温存。この先、魔法回復のマナポーションを売ってるNPCの店ってたぶんなさそうだし。
「おまえな~、そんなのは一撃で仕留めろよ!」
「うるさいな~、最終的に倒してるんだからそれでいいでしょ」
「みんなよけて!」
いきなりカトルレナが叫んだのと光が見えたのが同時。
夜の砂漠ステージ全部がいきなり発光して地面が揺れた。
ドオオオオオンンンッ…
衝撃。光。
なにこれ?? 何かよくわかんないけど――
いきなりビシビシけっこうなダメージが来てる来てる。
とりあえず防御姿勢で耐える。耐える。
「な、なにこれ? いったい何」
目の前の谷の形が完全に変わっていた。
とんでもない規模で岩が削れて、おおきな二つのクレーターが…
「走れ三人とも! 敵だ! 上からきてる!」
砂煙のむこうでカトルレナが叫んでる。
「上ってなんだよ?? どこだ? 見えねぇ!」
アルウルが切迫した声を出した。二本のダガーソードは臨戦態勢。
「ちょっとこれ何? アルウルってば!」
「なにってなんだよ??」
アルウルが噛みつくように叫びかえす。
「あれよ! あの岩の上!」
「なにって敵だろ! あれがいま撃ってきたんだろ!」
「そうだけど! いまターゲットしたら名前出た!」
「出たら何?」
「『ガント』って出た!」
「は?」
「もう一体も! あっちは『ヘスキア』!」
「誰だよそれ! 知らねーし!」
「あんた記憶力なさすぎ! さっきあそこの村であんた戦ったじゃない!」
「え、何?」
アルウルが全然わかんない様子で言葉をかえす。
「え? けど、あいつらあそこでDEADって出てたろ?」
「出てたわよ! 死んでた!」
「じゃ、だったらなんでまだプレーできてるんだ?」
「知らないわよ! わかんない!」
そう。ムリだ。絶対ムリ。この『アッフルガルド』っていうゲーム、一回死んだらそのあとリアル時間で24時間はダイブできない。そういうシビアな仕様になってる――
やばい! また撃ってきた!
ドオンンッ… ドオオオンン……
けど、今度は大きく外れた。どうやらあの魔法、こっちが動いてれば命中精度は高くない。だけどあまりの打撃に谷がえぐれて地形がかわる。バラバラと岩がふってくる。ゲームだから当たってもそんなに痛くはないんだけど―― だけどこの臨場感。。恐怖感がものすごい。
「だけどなにあれ? なんでいきなり襲撃とか??」
はげしい岩の雨の中、あたしはアルウルにむかって叫んだ。
「逆恨みってこと? パーティ選考に落ちちゃったからムカついて?」
「知らねーよ! けどあれ、あいつらまともじゃないぞあれ」
「なに、まともじゃないって?」
「フィールドの風景オブジェクトを破壊改変とか、そこまでのエフェクトある魔法ってないだろ、このゲーム」
「けど、今あれ、実際えぐれたじゃん」
「だから言ってんだよ! まともじゃないって!」
いきなりまた地面が揺れた。緑色の光エフェクトが広がっていく。
緑の光が―― どんどん外にむかって広がって――
「皆さま、先を急いでください。ここはわたくしが支えます」
「ダグ??」
そう。ダグだ。化けガラスのフォルムをまとった悪魔さん。アタマの上、五メートルくらいの髙さに静止して、なにか集中して力を使ってる。そこから出てくる緑の光。
バシュッ バシュッ
敵が撃ってきた魔法弾が、緑の光の壁にあたって四散する。
「間違いありません。サクルタスです。とうとう本気で来ましたね」
ネコリスのフォルムのヨルドが、あたしの肩にかけのぼってささやいた。
「あれってでも、どうなってるの??」
「どうなってるとは? 質問の意味がわかりませんが?」
ネコリスが首をまわして、つぶらな瞳をこっちに向けた。
「あのヒトたち、最初から全部演技だったってこと? 天使たちが、こっそりあたしたちを騙すために?」
「いいえ。おそらく最初の時点では、彼らは通常の人間のプレイヤーでした」
ヨルドがほっぺたのネコヒゲをぴくぴくさせた。
「わたくしとダグが最初に厳しく数値をチェックしましたが、特別不審なところは見当たりませんでした。ですので、途中のある時点から、キャラクターの操作権限を横取りする形でサクルタスが介入してきたのでしょう。考えてみればたしかに上手いやり方です。まったく新たに仮想フォルムを構築するより、はるかにリソースが少なくてすみますから―― さ、でも今は足を止めずに移動を続けてください。この場はダグが支えます。その間に皆さんは神殿の入り口へ」
「わ、わかった」あたしは素直にうなずいた。「カトルレナ! 行こう今のうちに!」
「わかった! 走るよアルウル!」
「おう! 何だかわかんねーけど、けっこう頼れる援軍だな。すげえ上位の防御魔法だぞあれ」
アルウルは言いながら、さっきよりスピードを上げて砂煙をあげて走りはじめた。
「おい、そっちのルルコルルってヒト! あんたも走れ! 今のうちだ」
「はい。走ります」
「おーいカナカナ! おまえおそいぞ! もっと必死こいて走れ!」
「走ってる~! これでもけっこう必死なんだから~」
うしろのほうで、何だかすごいスケールの音と光と地響きが絶賛展開中だ。天使と悪魔で、なにかすごい攻防をバシバシやってるっぽい。あんなの巻き込まれたら、普通のプレイヤーのあたしなんか一撃で終わりそう。まあでもとりあえずそっちは今は見ないことにする。あたしはとにかくひたすら前を向いて走りまくって――
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ブンッ
ガントのダガ―が空を切る。
速い。一瞬でアルウルのふところに切りこんだ。
アルウルが両手にもった二本のダガーで受ける。
ガントの連撃を正確に受け止め、いなして。
ん~、あいつってばこんなに上手かったっけ? いつも適当に手を抜いて遊んでるとこしか見たことないし、まさかこんなに動けるなんて。
アルウルの蹴りがとぶ。
組んだ両腕で防いだガント。でも衝撃でうしろにふきとぶ。
派手な土ぼこりが上がる。ガントのHPゲージがググッと下がった。
一気にアルウルが距離をつめる。そして攻める。攻める。
高速の連続キックの何発かが確実にヒット、
ガントのHPゲージが黄色点灯。さらに左にさがってさがって、
ぐらり。
そのとき一瞬、視界が揺れた。
なんだか目まいみたいな、
おっきな波が船をまるごと揺らしたみたいな――
「なにこれ? なんかいま、変な感じしたよね?」
あたしはカトルレナの顔を見た。
なんだろう?
違和感。よくわかんないけど、そこにある色とか空気の感じもなんだかさっきとちょっぴり変わったみたい。
ヘスキアがいきなり跳躍した、らしい。
あまりにのスピードに、正直あたしの目には、
その突進が淡いピンクの光の線にしか見えなかった。
「お? お? なんだこいつ?」
それを正面から受けたアルウルが防ぐ。防ぐ。
けど、全部は防ぎきれない。小さなダメージがひとつ、またひとつ。じわっ、じわっとHPゲージが左に動く。
「なにあれ?? あれって歌姫? ちょっとあれって速すぎない? ぜんぜん動きが見えないんだけど??」
あたしは叫んだ。いったい何なの? ムチャクチャなスピードだあの歌姫のヒト。あんなのありえない! ときどき視界に残る残像を見るかぎり、なんだかたぶん、なにか爪っぽい武器を両手につけてるような――
え、でもおかしいよ! 言ってたことと違いすぎる! なにが「前面にさえたたなければ大丈夫と思いまーす」だ?? めちゃくちゃ前面で近接戦やってる! さっき見たスキル値的には、ぜんぜんそういうタイプに見えなかったのに。
「ヨルド様、」
これまでずっと無言で通してきた化けガラスのヨルドが、はじめて声を出した。
「どうしたのダグ?」
ネコリスのシェイプをしたヨルドがふりかえる。このヒトも今の今まで、なにげにあたしの肩の上で退屈そうにあくびをしながら成りゆきを見てただけ。
「あの女性キャラクタの動きは、たしかに少し奇妙です。ゲーム中の技術的制約を、いくつか無視した不可解な動きがありました」
「つまり不正ということ? ではあれは敵?」
「はい。まだ断定はできませんが、その可能性が」
「うおッ??」
アルウル、姿勢がぐらついた。
派手な効果音。飛び散る銀色の視覚効果。
アルウルのHPゲージが一気に黄色ゾーンまで低下した。
あれはずるい!
ヘスキアとの攻防で手いっぱいのアルウルを、ガントが背後から斬撃。
アルウル不利の二対一の展開だ。しかもガント、なんかさっきと武器が違う。シミターみたいなでっかい曲剣でアルウルを背中を切りまくってる。しかもあれ何? 一撃ごとに飛び散る視覚効果… あれって魔法エフェクト? ただの物理的な剣撃じゃないっぽい。
「なにあれあの剣? あんなの、あのヒト装備に持ってたっけ??」
隣でカトルレナも、なんだかムズカシイ顏で戦闘を見つめてる。
「ヨルド様。出ました。新たなイーグス反応っ!」
ダグが鋭く言葉をとばした。
ザッ バシッ ガッ ドガッ ザシュッ
あまりにもスピードが行き過ぎて、わたしにはもはや、
そこにある音と砂埃としてしか認識できないシーンの連続だけど――
でもたぶん、防いでる。防いでる。それでも何とか防いでる!
アルウル、防いでるっぽい!
すごい! 前後からの攻撃を二本のダガーで必死に防いで。
いまの上手い! すごく高度な回避テクだよあれ!
けど… それでも…
だけど非情にもアルウルのHPゲージはさらに低下。
もうまもなくオレンジゾーンに突入する。
「な、ん――だ――と??」
ガントが大きく目を見開いた。
腰のあたりから上が、なんだか不自然に左にスライド。
真っ二つ…… 切り離された上半身が、地面に落下。
ピィィィィンン……
高い金属質の効果音。ガントのキャラクタグラフィックが四散。
虹色の粉になって散り消えた。
―― DEAD ――
赤色のデッド表示がそこにともった。
な、なにが起こったの??
ぜんぜん今の、よく見えなかった…
たちこめる砂ぼこりがすっかりおさまったとき、
誰かがそこに立っている。
剣撃のアフターモーションのまま静止した、そのヒト。
眉ひとつ動かさず、まったく平静そのもの。両手で持つのは、いかにも下位クラスの廉価版ブロンズソード。そしてあの、いかにも冴えない安物の旅人服。
「あ、すいません。ちょっと強く切り過ぎてしまいました」
剣撃ポーズを解いて、
職業不詳のルルコルルがきまり悪そうに言った。
「なっっ。。お、おまえ、今なにを――」
いままでひたすらにアルウルを攻め続けていた歌姫が、その場で動きを止めた。顔には明らかな狼狽が浮かんでる。
「すいません。まだあんまり、力の加減がよくわからなくて」
ニコッとイノセントに微笑んで、ルルコルルが歌姫に謝った。
「あの~、続けて攻撃してもいいですか?」
「な??」
クリティカルヒット!!
縦の剣撃が歌姫の背中をふたつに割った。
はじけとぶ虹色の視覚効果。
歌姫ヘスキアのキャラクタービジュアルが、一瞬でフィールドから消えた。
そして赤を完全にふりきったHPゲージの上に、
――DEAD――
「んー、今度はけっこう加減したつもりだったんですけど。またちょっとやりすぎてしまいました。このゲーム、力の加減がけっこうムズカシイんですね… あの~、でもこれって、審査終了でいいんですよね? いちおう二人、勝ち残りということで?」
「…えっと、ん、そ、そうですね。は、はい。そうです。終わりです。。」
うわずった声でカトルレナが言った。
「分析結果は出た? あれもやはりサクルタス? 三体目が来ているの?」
あたしの肩の上で、黒のネコリスがこっそりささやく。
「いえ、それがその、ヨルド様、」
アタマの上では、化けガラスのダグが――、っていうか、いちいちアタマにとまるなって! なにげに重いしツメが頭皮に食い込んで痛っ!
「今現在、いっさいのイーグス反応がすでに消失しています。いまあそこにいるルルコルルというキャラクターに関しましては―― すべての数値が正常値。不正や外部侵入の形跡はいっさい感知できません」
「では、普通の人間のプレイヤーということね? 脅威ではなく?」
「…そうなりますね。手元の分析結果を見るかぎりでは。しかし、どうもなにか釈然としません」
「何が問題?」
「とくに問題というほどのこともないのですが――」カラスがクチバシの先で神経質そうに左の翼を掻いた。「いささか数値が綺麗すぎると言いますか。すべてのパラメーターやアルゴリズムが、あまりにも模範的すぎると言えば良いのでしょうか」
「では、引き続きモニターが必要ね。危険の兆候を感じれば、すぐに第四戦闘態勢に」
「はい。その点はぬかりなく」
「おい、なんかすげえの来ちまったな?」
こっちに戻ってきたアルウルが、回復ポーションを使いながら小声で言った。
「やばいぞあいつ。あの旅人。なんだあれ?」
「さっきの二人もやばかったよっ。ありえない速さ。ありえない打撃力」
「おいカナカナ、おまえ、いったいどんな募集したんだよ? なんか妙なバケモノプレイヤーばっかり集めてきやがって」
「し、知らないわよ! だって募集は普通にやったもん!」
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モアブ砂漠。
砂漠ってきくと単純にいちめんの砂丘とか砂ばっかりの場所を想像しちゃうけど。
ここはけっこう岩が多い。けっこうというか、「非常に多い」と「岩ばかりである」の中間ぐらいだ。村を出てからわりとかなり歩いてきた―― でっかい赤い岩山にはさまれた渓谷がクネクネ曲がりながらずっとひたすらに続いてる。谷の底の道には乾いた砂が厚く積もってて、なにげにかなり歩きにくい。けっこう足、疲れる。たまーに出現するでっかい岩サソリやサンドバイパーっていうヘビ型モンスター。そういうのをとにかくサクサクやっつけて、ときどき何とかっていう長い名前の砂虫の群れを蹴散らしながら。
先頭を行くのはアルウル。こいつが片っ端からひとりでモンスターをムダにぜんぶ倒していく。たまーに敵の数が多いと二番目を歩くカトルレナがちょっとだけ手伝う。でもそれで確実に終わり。三番目を歩いてるルルコルルっていうヒトはまだ一回もロングソードを振ってない。そしてそのさらにうしろのあたしは、もうほんと暇で暇で。
岩山の上の空は最初は明るかったけど、今はもうだいぶ暗い。かわりに星が、やけに明るく綺麗にまたたき始めた。
「ねえ、まだ着かないの~? その、なんとか神殿っていうのはまだ遠い~?」
「自分でマップ見て確認しろアホ」
前をいくアウウルがムカつく答えを返してきた。
「なによそれ~。マップ開いて見るのメンドクサイから訊いてるんでしょ~」
「おまえ一回も戦闘やってないだろ。せめてもうちょっと何か役に立てよ」
「だけど手伝ったら手伝ったで、おまえ足手まといだからうしろ下がってろ!とか言うでしょ」
「おお。よくわかってるじゃん。バカなりに学習してるってわけか」
「あんたにバカバカ言われる筋合いはないわ」
あたしはそいつに追いついて、そいつのアタマをバシッと叩こうと―― けど、ムカつくことに機敏にアルウルはかわした。だからもう一回こんどはフェイントを入れてから股間にガツンと蹴りをいれた。この動きは予想外だったらしくすごく綺麗にヒットした。
「ぐはっ! って、こら! いきなりパーティメンバー攻撃すんな!」
「あんたがバカバカ言うからよ。あたしこれでもけっこう学校の成績いいんだから。数学とか」
「ウソつけ。ほとんど学校行ってないだろ、リアルでは」
「行ってまーす。ま、ときどき休んだりはするけど」
「ははっ。週四回ぐらいがときどきかよ?」
「三回とかよ。週二回はちゃんと行ってるし」
「それはちゃんと行ってるとかいうレベルじゃないだろ」
「なによ。あんたも休みまくってるくせに」
「先週一回行った。昼までに帰ったけど」
「ははは、あははははははっ」
いきなり誰かが大声で笑ったからびっくりした。
何々? いきなり何このリアクション?
笑ったのは彼だ。ルルコルル。
なんだかムダにお腹をかかえて、でっかいリアクションで笑いまくってる。。
「なに? 何か面白い要素あった、今の会話に??」
あたしは意味がわからなくて本気で首をかしげた。
「あ、いえ、ごめんなさい。つい笑ってしまいました」
ルルコルルが、涙をふきながら苦しそうに言った。おい。。泣くほどの何かはぜったい今なかっただろ、ここには――
「とてもおもしろい会話でした。ふたりは仲がいいんですね」
「はぁ??」「なに言ってんだ??」
「いえ、ごめんなさい。ひとりでちょっと、受けてしまって。すいません。続けていきましょう。まだもうちょっと、先は遠いんでしょう?」
ルルコルルは言って、両手で髪の毛をかきあげ、ひたいに巻いたバンダナの位置を丁寧な手つきで直した。
「おーい! なにそこ、止まってるの? 何かそこ、あった?」
だいぶ前の方でカトルレナが呼んでる。
なんでもねーよ! と言ってアルウルが手をふった。
「なんか調子狂うよなあ、あいつ」
アルウルがボソッと言って、うしろのルルコルルをちらっと見た。
「なんか変なヒトよね。悪いヒトではなさそうだけど」あたしも小声でかえした。「でも、あのヒトなにが楽しくて参加したのかなぁ? ぜんぜん遊んでる雰囲気感じないし。」
「なにって、報奨金目当てだろ、そりゃ」
「けど、ゲームマネーをゲットしたとして、あの人が楽しそうにそれ使って遊んでる図がまったく浮かばないんだけど?」
「ん~、言えてるな、それは。でもま、やろうと思えば闇マーケットで地味にリアルマネーに換金もできなくはないし――」
ザッ!! いきなりアルウルがダガーをふるった。
バシュウウウウウウ……
キラキラピンクの視覚エフェクト。おそいかかってきた砂虫のビジュアルが一瞬で消えた。前をゆくカトルレナが狩りもらした残りのやつだ。さっきからなにげに砂虫の数が最初より増えてきてる。
あたしもそこに参戦。いちおう捨てずにアイテムストックに残してた小ぶりな片手ランスがいまここで役に立つ。あまり細かい動きは考えず、とにかくブンブン振り回す。ターゲットは充分大きいし、距離も近いし相手は遅い。適当に振っても面白いように当たる当たる。あたしの得意の火炎魔法は使わず温存。この先、魔法回復のマナポーションを売ってるNPCの店ってたぶんなさそうだし。
「おまえな~、そんなのは一撃で仕留めろよ!」
「うるさいな~、最終的に倒してるんだからそれでいいでしょ」
「みんなよけて!」
いきなりカトルレナが叫んだのと光が見えたのが同時。
夜の砂漠ステージ全部がいきなり発光して地面が揺れた。
ドオオオオオンンンッ…
衝撃。光。
なにこれ?? 何かよくわかんないけど――
いきなりビシビシけっこうなダメージが来てる来てる。
とりあえず防御姿勢で耐える。耐える。
「な、なにこれ? いったい何」
目の前の谷の形が完全に変わっていた。
とんでもない規模で岩が削れて、おおきな二つのクレーターが…
「走れ三人とも! 敵だ! 上からきてる!」
砂煙のむこうでカトルレナが叫んでる。
「上ってなんだよ?? どこだ? 見えねぇ!」
アルウルが切迫した声を出した。二本のダガーソードは臨戦態勢。
「ちょっとこれ何? アルウルってば!」
「なにってなんだよ??」
アルウルが噛みつくように叫びかえす。
「あれよ! あの岩の上!」
「なにって敵だろ! あれがいま撃ってきたんだろ!」
「そうだけど! いまターゲットしたら名前出た!」
「出たら何?」
「『ガント』って出た!」
「は?」
「もう一体も! あっちは『ヘスキア』!」
「誰だよそれ! 知らねーし!」
「あんた記憶力なさすぎ! さっきあそこの村であんた戦ったじゃない!」
「え、何?」
アルウルが全然わかんない様子で言葉をかえす。
「え? けど、あいつらあそこでDEADって出てたろ?」
「出てたわよ! 死んでた!」
「じゃ、だったらなんでまだプレーできてるんだ?」
「知らないわよ! わかんない!」
そう。ムリだ。絶対ムリ。この『アッフルガルド』っていうゲーム、一回死んだらそのあとリアル時間で24時間はダイブできない。そういうシビアな仕様になってる――
やばい! また撃ってきた!
ドオンンッ… ドオオオンン……
けど、今度は大きく外れた。どうやらあの魔法、こっちが動いてれば命中精度は高くない。だけどあまりの打撃に谷がえぐれて地形がかわる。バラバラと岩がふってくる。ゲームだから当たってもそんなに痛くはないんだけど―― だけどこの臨場感。。恐怖感がものすごい。
「だけどなにあれ? なんでいきなり襲撃とか??」
はげしい岩の雨の中、あたしはアルウルにむかって叫んだ。
「逆恨みってこと? パーティ選考に落ちちゃったからムカついて?」
「知らねーよ! けどあれ、あいつらまともじゃないぞあれ」
「なに、まともじゃないって?」
「フィールドの風景オブジェクトを破壊改変とか、そこまでのエフェクトある魔法ってないだろ、このゲーム」
「けど、今あれ、実際えぐれたじゃん」
「だから言ってんだよ! まともじゃないって!」
いきなりまた地面が揺れた。緑色の光エフェクトが広がっていく。
緑の光が―― どんどん外にむかって広がって――
「皆さま、先を急いでください。ここはわたくしが支えます」
「ダグ??」
そう。ダグだ。化けガラスのフォルムをまとった悪魔さん。アタマの上、五メートルくらいの髙さに静止して、なにか集中して力を使ってる。そこから出てくる緑の光。
バシュッ バシュッ
敵が撃ってきた魔法弾が、緑の光の壁にあたって四散する。
「間違いありません。サクルタスです。とうとう本気で来ましたね」
ネコリスのフォルムのヨルドが、あたしの肩にかけのぼってささやいた。
「あれってでも、どうなってるの??」
「どうなってるとは? 質問の意味がわかりませんが?」
ネコリスが首をまわして、つぶらな瞳をこっちに向けた。
「あのヒトたち、最初から全部演技だったってこと? 天使たちが、こっそりあたしたちを騙すために?」
「いいえ。おそらく最初の時点では、彼らは通常の人間のプレイヤーでした」
ヨルドがほっぺたのネコヒゲをぴくぴくさせた。
「わたくしとダグが最初に厳しく数値をチェックしましたが、特別不審なところは見当たりませんでした。ですので、途中のある時点から、キャラクターの操作権限を横取りする形でサクルタスが介入してきたのでしょう。考えてみればたしかに上手いやり方です。まったく新たに仮想フォルムを構築するより、はるかにリソースが少なくてすみますから―― さ、でも今は足を止めずに移動を続けてください。この場はダグが支えます。その間に皆さんは神殿の入り口へ」
「わ、わかった」あたしは素直にうなずいた。「カトルレナ! 行こう今のうちに!」
「わかった! 走るよアルウル!」
「おう! 何だかわかんねーけど、けっこう頼れる援軍だな。すげえ上位の防御魔法だぞあれ」
アルウルは言いながら、さっきよりスピードを上げて砂煙をあげて走りはじめた。
「おい、そっちのルルコルルってヒト! あんたも走れ! 今のうちだ」
「はい。走ります」
「おーいカナカナ! おまえおそいぞ! もっと必死こいて走れ!」
「走ってる~! これでもけっこう必死なんだから~」
うしろのほうで、何だかすごいスケールの音と光と地響きが絶賛展開中だ。天使と悪魔で、なにかすごい攻防をバシバシやってるっぽい。あんなの巻き込まれたら、普通のプレイヤーのあたしなんか一撃で終わりそう。まあでもとりあえずそっちは今は見ないことにする。あたしはとにかくひたすら前を向いて走りまくって――
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