Welcome to Another Earth

八神獅童

文字の大きさ
47 / 83

第6章 第4話 ミレイの大ファン 現れる

しおりを挟む
日笠美玲はデビュー直後から、精力的にアナザーアースでライブを行っていた。足を止めてくれる人はまだ少ないが、それでも少しずつ話題になることが増えていた。

『一見可愛らしい感じなんだけど、結構歌声カッコいいよね』

『あんまり話題になってないけど、もっと人気出て欲しい』

エンシャント財団は、基本的にインターネット上の意見はポジティブなものだけを拾っていた。駄目だったところは、財団側で指摘すればいいからだ。

「今日のライブも良かったですわね」

「はい。もっと沢山の人に観てもらいたいです…」

少しのファンを得た美玲は、もっと大勢のファンが欲しいと思っていた。まだまだ、ファンの熱量が足りないと感じているのだ。

ーー

「ミレイちゃんサイコーッ!」

少ないファンの中でも、凄まじい熱量の人物が現れる事はある。黄色い髪の少女、風間メルは数曲聴いただけで美玲の可能性を感じて、彼女の熱狂的なファンになってしまった。

(次のライブ情報は…っと)

メルはミレイのライブを何度も繰り返し観に行っていた。もはやメルの生活の一部になっていたので、親からは心配されていた。

ーー

(ネット掲示板にミレイちゃんのスレが立ってる…アンチスレだったらぶっ潰してやる)

メルは偶々、ネット掲示板に立てられたミレイに関するスレッドを見つけた。彼女は不安を感じながらも、そのスレッドを見てしまう。

ミレイってアイドル、lunar eclipse projectってゲームやってるらしいよ。

何それ?

超マイナーなVRMMO

マイナーなアイドルがマイナーなゲームやってるwww

(ミレイちゃんをバカにしているのは許せないけど…私もlunar eclipse projectを始めなきゃ!)

メルはスレッドの情報を間に受けて、lunar eclipse projectを始める事にした。VRMMOは初めてだったが、それよりもミレイがやっているゲームを自分もやりたかったのだ。

ーー

(頼まれてないけど…これくらいやってもいいよね?)

ブラックエリアの賭場にいる桃香は、ネット掲示板に美玲に関するスレッドを立てていた。悪質なコメントは、すぐに排除できるように部下に見張らせていた。

「おい桃香、またイカサマだ何だって騒いで暴れてる奴がいるぞ」

「はいはい分かったよ。ボクがルールだって事が教えればいいんでしょ?」

久々に本来の仕事をしている桃香は、中々に忙しそうだった。裏社会の賭場を仕切って利益を得るのが、彼女の仕事なのだ。

ーー

(あんまりプレイヤーいない気がするけど…大丈夫?過疎ってる?)

メルは一般的なMMORPGで人が多い時間帯などは知らなかった。だが見かけたプレイヤーの数がかなり少なく感じたので、メルは不安になっていた。

(さて、ギルドに入れば良いのかな…って、ミレイちゃん?!)

ギルドのリストをチェックしていたメルがふと顔を上げると、視界にミレイがいた。周りに他のプレイヤーもいたので、彼女は既にギルドに所属している事が分かる。

(私もあのギルドに入りたい!)

メルはすぐにミレイが所属しているギルド“ビギニングスターズ”への加入を希望した。するとすぐに、ギルドハウスに来て欲しいというメッセージを受け取る事が出来た。

ーー

「君も初心者だね?我らビギニングスターズが歓迎するよ」

(ここなら、私もやっていけるかな)

ビギニングスターズのプレイヤー達は皆親切そうだった。優しそうな人たちばかりだったので、メルは安心していた。

「私も最近入ったばかりなんですが、よろしくお願いしますね」

「こちらこそ、はっ?!アアッ…」

他の初心者プレイヤーに話しかけられたメルだったが、彼女がミレイだったので歓喜と驚愕で固まってしまった。いきなり表情が固まったメルを見て、ミレイは不安になった。

「あの、大丈夫ですか?」

「あっいえっわっわわわたしっあなたの大ファファっ」

ミレイに心配されたメルだったが、相変わらず声が上ずっていた。ミレイの方は、ただメルが緊張しているだけだと思った。

「わたっ私はっあなたがデビューした時から観ててっ!」

「えっ私がアイドルって事知ってるんですね…?」

「そっそれはえっと…ひゃあああ!」

「えっ…何、私恨まれてるの?」

感極まりすぎたメルは、その場から逃げ出してしまった。その様子を見たミレイは、色々と誤解してしまっていた…

メルがギルドメンバー達の誤解を解く事が出来たのは、数週間後だった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

女神に頼まれましたけど

実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。 その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。 「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」 ドンガラガッシャーン! 「ひぃぃっ!?」 情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。 ※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった…… ※ざまぁ要素は後日談にする予定……

処理中です...