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洗面所で顔に張り付いた眠気を洗い流す。鏡に映った自分の顔はどう見ても寝不足のようだ。
早く寝たつもりだったが、あんな夢を見ていたせいか疲れが取れていない。それを隠すようにメイクで塗り固めていく。
「彼氏にでも会いに行くの?」
いつの間にか後ろに弟が立っていた。今誰かが背後に立つという事に過敏になっているのか、一瞬身体が硬直した。
「驚かせないでよ、ただの仕事。健吾は大学じゃなかったの?」
「今日はサボり。それより姉ちゃんがこっちでやる仕事ってなに?」
しまったと思った。今回の帰省の事を弟にうっかり口を滑らしてしまった。
「…別になんでもいいでしょ。健吾のサボりの件、お父さんには言わないであげるから私の仕事の事も誰にも言わないでよね」
「いいけど、どこ行くの?」
ここまで来たら、弟にはある程度話してしまった方が後々変な貸しを作らないで済むだろう。
「昔の事なんだけど、この家じゃない所に住んでいたの覚えてる?」
「あれだろ?団地みたいなアパートというか」
言われてみれば、確かにそんな記憶があるような気がする。
「なんで引っ越したんだっけ?」
「子供だったし詳しいことは知らないけど、親の都合とかだろ。そっちに行くの?」
「うん、その近辺にある小学校にね」
「吹見小?」
弟の口からその学校の名前が出てくる事に驚いた。なんで知っているのか問い詰めたかったが、間が悪い事に母親が様子を見に来た。するとさっきまでペラペラと喋っていた弟が、仮病を使って自室に引っ込んだせいで、私の中のモヤモヤがまた一つ増えてしまった。
そんなに有名な小学校って事は、心霊スポットとしても有名なのだろう。行くのが嫌になってきた。
それでも時間は刻一刻と進み、待ち合わせ場所までタクシーで行くとしても、もう少ししたら家を出ないといけない。この家から車で一時間ほどかかる距離だ。
持ち物をチェックしつつ、玄関に向かうと母親のいつ帰ってくるのかという煩い確認が始まった。学生時代を思い出す。
「今日中に帰れるか分かんないから、私の事は気にしないで」
「そんな訳にはいかないでしょ!」
何故そんな訳にはいかないのか説明してもらいたい、私はもう二十歳を越えたいい大人なのだ。
「友達と会ってご飯食べてくるから遅くなる。時間無いからもう行くね」
時間的にはまだ余裕があったが私を引き止める母親を無視して家を出ると、運良く大通りに出たタイミングでタクシーをつかまえられた。
目的地を告げると、やる気のない運転手の返事が聞こえて、タクシーが走り出した。
早く寝たつもりだったが、あんな夢を見ていたせいか疲れが取れていない。それを隠すようにメイクで塗り固めていく。
「彼氏にでも会いに行くの?」
いつの間にか後ろに弟が立っていた。今誰かが背後に立つという事に過敏になっているのか、一瞬身体が硬直した。
「驚かせないでよ、ただの仕事。健吾は大学じゃなかったの?」
「今日はサボり。それより姉ちゃんがこっちでやる仕事ってなに?」
しまったと思った。今回の帰省の事を弟にうっかり口を滑らしてしまった。
「…別になんでもいいでしょ。健吾のサボりの件、お父さんには言わないであげるから私の仕事の事も誰にも言わないでよね」
「いいけど、どこ行くの?」
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言われてみれば、確かにそんな記憶があるような気がする。
「なんで引っ越したんだっけ?」
「子供だったし詳しいことは知らないけど、親の都合とかだろ。そっちに行くの?」
「うん、その近辺にある小学校にね」
「吹見小?」
弟の口からその学校の名前が出てくる事に驚いた。なんで知っているのか問い詰めたかったが、間が悪い事に母親が様子を見に来た。するとさっきまでペラペラと喋っていた弟が、仮病を使って自室に引っ込んだせいで、私の中のモヤモヤがまた一つ増えてしまった。
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それでも時間は刻一刻と進み、待ち合わせ場所までタクシーで行くとしても、もう少ししたら家を出ないといけない。この家から車で一時間ほどかかる距離だ。
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