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月詠ノ鎮魂歌

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そら渡る月の舟に
寄せ返す波は
歴史に揉まれ、消えてゆく
名も無き人の慟哭

航路を照らす玉響は
大地を往く死せる者達の夢
瞬いては消えゆく様は
まるで、蛍火のよう…

キミが流した涙を 庇った傷口を
癒すことは出来ないけれど
キミが迷わぬように
道を照らすことは出来るから…

どうか、良き旅路を
願い続ける―

闇夜往く月の舟は
寄せ返す波に
儚く散り逝く者達の
叫びを看取り続ける

歴史という大河に
弄ばれ尚、抗い続けた
勇敢なる戦士達よ
どうか、静かに眠れ

キミが抱えた痛みを 背負う哀しみを
癒すことは出来ないけれど
キミが眠れるように
唄い続ける事は出来るから…

どうか、良き夢路を
祈り続ける―

キミが流した涙を 庇った傷口を
癒す事は出来ないけれど―
キミが迷わぬように
道を照らすことは出来るから…

どうか良き旅路を
願い続ける―

どうか良き黄泉路を
祈り、願い続ける…
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