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16.~光明への道~
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ガタゴトと音を立てながら、馬車が走っている。灰色の雲間から雨粒が落ち始めた。
サンタロウ少年とお供の者達は、フランシア王国の首都・サンブルクへと急いでいた。
「坊っちゃん、サンブルクの城下町が見えてきました!」
「僕が魔法を使うと、魔王や魔物に気付かれちゃうから使えないね。」
そんな会話を交わしていると、馬車は町の入口まで到着した。レインコートを羽織った一行は馬車から降りると、辺りを見回した。
「雨が強くなってきたなぁ!あれがお城だな」
サンタロウは町の中心部に位置する城を見つけると、さっさと歩き始めた。
「……坊っちゃん、この城下町は魔物に占領されてると聞きます。気をつけましょう。」
側近で執事のオオノが心配して言った。
「オオノは心配性だなぁ!雨降ってるから、モンスターも人もいないじゃん。」
降りしきる冷たい雨の中、サンブルク城の近くまで進む……。
「正面からだと魔物に気付かれるので、裏口を探しましょう、坊っちゃん。」
執事のオオノは手際良く城の裏手に回り込み、
別の出入口を探し始めた。
「ここから入れそうだ。大人数だと動きにくいから、私と坊っちゃんだけで城内に潜入する。いいな?」
オオノは残りの四人の供回りに言うと、鍵の掛かってない木製の裏口扉をゆっくりと開けた。
薄暗く長い通路の先、左手に厨房の入口らしき
ものが見える。二人は慎重に、静かに黙って進んだ。
その時、丁度厨房から一人の少女が銀製のトレーに食事を乗せて運ぼうとしている場面に遭遇した。
「………あっ!?」
少女は漆黒の高貴なゴシックドレスのマリアだった。突然の人影に吃驚したのか、思わず声をあげてしまった。
「私達は怪しい者ではありません。この城に囚われている魔女を救出に…」
すると、執事のオオノの言葉を遮る様にサンタロウが言った。
「ちょっと待って!……。」
マリアの顔をジッと凝視する魔法少年と、それを不思議そうな、どこか不安げに見つめ返すマリア。
「あー、大丈夫だね。このお姉ちゃんから魔王の気を感じたからさ、ヤバイかな~って思ったんだけど。」
キョトンとするマリアにオオノが補足説明する。
「いえ、実はこちらのサンタロウ坊っちゃんは
我が国きっての大魔法使いでして、何でも大抵の事は直感的に分かるのですよ。」
「そ、そうなんですか……」
マリアは銀のトレーを両手で持ったまま動揺していた。少し全身がプルプル震えている。
「あの…今から地下牢の魔法少女の所に行きますので、ご案内致します 。」
マリアとサンタロウとオオノは、所々ランプに照らされた暗くて陰湿な石の階段を降りると、最下層の地下牢に到着した。
「はぁはぁはぁ……」
中年太りで肥満体型のオオノは息苦しそうだ。
しかしその時、マリアがピタリと足を止めて言った。
「あの………すぐそこの鉄格子の中に魔法少女の
ルネちゃんとお姉さんのサラさんがいるのですけど、見張りが……」
目をやると看守とおぼしき爬虫類顔の怪物が、
木製の椅子に腰掛けたまま居眠りをしていた。
「坊っちゃん、この鉄格子を開ける鍵はそこの怪物の腰のキーホルダーに付いてますな…」
「よし、僕がそーっと鍵を外して取るからもしもこいつが起きちゃったらぶん殴って気絶させてよ。」
サンタロウは音を殆ど立てずにゆっくりと近付き、グーグー眠りこけている魔物の腰から牢屋の鍵を奪取する事に成功した。
「シーッ!……今出してあげるね!」
少年は小声で牢の中にいたルネとサラに言った。
カチャカチャ…キィ……鉄格子が静かに開く。
一行が沈黙のまま足早に地下牢から脱出しようとしたその瞬間、突然爬虫類野郎が目を覚ました!!
「いかん!フンッ!!!」
バコーン!!! オオノは素早く隠し持っていた
樫の木の棍棒で、怪物の頭を殴りつけた。
怪物はそのまま泡を吹いて倒れている……
今度こそ一行は、地上への道を急いだ。
みんな城外に出た所で、改めてオオノが言う
「貴女方お二人が、かの高名な大魔女・
サリアクロエ様のお孫さんですね?」
「……そうです、でも祖母は今魔王によって封印されてしまって…」
サラが言うとルネも続けて
「お婆ちゃんを助けるのを手伝って頂けますか?」と懇願した。
「もちろんさ!強い魔法使いみんなで魔王をやっつけよう!」
意気揚々とサンタロウが言う。
「僕はサンタロウ。サンタって呼んでよ。」
「私はルネ、こっちが姉のサラです。」
「よろしくね、坊や♪」
魔法使い三人が和気あいあいと話す。
その様子を見ていたマリアにルネが声をかける。
「マリアちゃんも、一緒に行こうね。」
「………私はこのお城から離れられないの。」
マリアはそう言うと、とても悲しそうな表情を浮かべた。
「魔王が怖いの?でも、逃げるなら今が絶好のチャンスだよ!魔王はまだ私達の行動に気付いていないし」
ルネは必死にマリアを説得した。
「魔王は私が居なくなったら、きっと血眼で探して追いかけて来ると思うの……私、怖い…」
不安なマリアにオオノが言った。
「お嬢さん、大丈夫です。こちらのサンタロウ坊っちゃんは我が国一のいえ、東洋一の大魔法使いです。きっと皆様のお役に立ちますよ。」
「え~すごい、まだほんの子供なのにそんな魔法が使えるんだ?………確かにその子からは強い魔力を感じるわね…」
サラは興味深そうにサンタロウを見つめた。
「マリアちゃん、今度こそみんなで守るから……
一緒に行こうよ!お婆ちゃんを復活させて合流すれば、きっと魔王もやっつけられるよ!だから……ね、」
ルネはマリアの両手を握ると、一生懸命想いを伝えた。
「………ルネちゃん、そこまで言うなら…」
マリアはルネの想いに応え、遂には恐怖心を振り払って共に城下町を後にする事を決意した。
そして一行は、サリアクロエの封印されている
北の小島の古代神殿遺跡へと向かうのだった。
サンタロウ少年とお供の者達は、フランシア王国の首都・サンブルクへと急いでいた。
「坊っちゃん、サンブルクの城下町が見えてきました!」
「僕が魔法を使うと、魔王や魔物に気付かれちゃうから使えないね。」
そんな会話を交わしていると、馬車は町の入口まで到着した。レインコートを羽織った一行は馬車から降りると、辺りを見回した。
「雨が強くなってきたなぁ!あれがお城だな」
サンタロウは町の中心部に位置する城を見つけると、さっさと歩き始めた。
「……坊っちゃん、この城下町は魔物に占領されてると聞きます。気をつけましょう。」
側近で執事のオオノが心配して言った。
「オオノは心配性だなぁ!雨降ってるから、モンスターも人もいないじゃん。」
降りしきる冷たい雨の中、サンブルク城の近くまで進む……。
「正面からだと魔物に気付かれるので、裏口を探しましょう、坊っちゃん。」
執事のオオノは手際良く城の裏手に回り込み、
別の出入口を探し始めた。
「ここから入れそうだ。大人数だと動きにくいから、私と坊っちゃんだけで城内に潜入する。いいな?」
オオノは残りの四人の供回りに言うと、鍵の掛かってない木製の裏口扉をゆっくりと開けた。
薄暗く長い通路の先、左手に厨房の入口らしき
ものが見える。二人は慎重に、静かに黙って進んだ。
その時、丁度厨房から一人の少女が銀製のトレーに食事を乗せて運ぼうとしている場面に遭遇した。
「………あっ!?」
少女は漆黒の高貴なゴシックドレスのマリアだった。突然の人影に吃驚したのか、思わず声をあげてしまった。
「私達は怪しい者ではありません。この城に囚われている魔女を救出に…」
すると、執事のオオノの言葉を遮る様にサンタロウが言った。
「ちょっと待って!……。」
マリアの顔をジッと凝視する魔法少年と、それを不思議そうな、どこか不安げに見つめ返すマリア。
「あー、大丈夫だね。このお姉ちゃんから魔王の気を感じたからさ、ヤバイかな~って思ったんだけど。」
キョトンとするマリアにオオノが補足説明する。
「いえ、実はこちらのサンタロウ坊っちゃんは
我が国きっての大魔法使いでして、何でも大抵の事は直感的に分かるのですよ。」
「そ、そうなんですか……」
マリアは銀のトレーを両手で持ったまま動揺していた。少し全身がプルプル震えている。
「あの…今から地下牢の魔法少女の所に行きますので、ご案内致します 。」
マリアとサンタロウとオオノは、所々ランプに照らされた暗くて陰湿な石の階段を降りると、最下層の地下牢に到着した。
「はぁはぁはぁ……」
中年太りで肥満体型のオオノは息苦しそうだ。
しかしその時、マリアがピタリと足を止めて言った。
「あの………すぐそこの鉄格子の中に魔法少女の
ルネちゃんとお姉さんのサラさんがいるのですけど、見張りが……」
目をやると看守とおぼしき爬虫類顔の怪物が、
木製の椅子に腰掛けたまま居眠りをしていた。
「坊っちゃん、この鉄格子を開ける鍵はそこの怪物の腰のキーホルダーに付いてますな…」
「よし、僕がそーっと鍵を外して取るからもしもこいつが起きちゃったらぶん殴って気絶させてよ。」
サンタロウは音を殆ど立てずにゆっくりと近付き、グーグー眠りこけている魔物の腰から牢屋の鍵を奪取する事に成功した。
「シーッ!……今出してあげるね!」
少年は小声で牢の中にいたルネとサラに言った。
カチャカチャ…キィ……鉄格子が静かに開く。
一行が沈黙のまま足早に地下牢から脱出しようとしたその瞬間、突然爬虫類野郎が目を覚ました!!
「いかん!フンッ!!!」
バコーン!!! オオノは素早く隠し持っていた
樫の木の棍棒で、怪物の頭を殴りつけた。
怪物はそのまま泡を吹いて倒れている……
今度こそ一行は、地上への道を急いだ。
みんな城外に出た所で、改めてオオノが言う
「貴女方お二人が、かの高名な大魔女・
サリアクロエ様のお孫さんですね?」
「……そうです、でも祖母は今魔王によって封印されてしまって…」
サラが言うとルネも続けて
「お婆ちゃんを助けるのを手伝って頂けますか?」と懇願した。
「もちろんさ!強い魔法使いみんなで魔王をやっつけよう!」
意気揚々とサンタロウが言う。
「僕はサンタロウ。サンタって呼んでよ。」
「私はルネ、こっちが姉のサラです。」
「よろしくね、坊や♪」
魔法使い三人が和気あいあいと話す。
その様子を見ていたマリアにルネが声をかける。
「マリアちゃんも、一緒に行こうね。」
「………私はこのお城から離れられないの。」
マリアはそう言うと、とても悲しそうな表情を浮かべた。
「魔王が怖いの?でも、逃げるなら今が絶好のチャンスだよ!魔王はまだ私達の行動に気付いていないし」
ルネは必死にマリアを説得した。
「魔王は私が居なくなったら、きっと血眼で探して追いかけて来ると思うの……私、怖い…」
不安なマリアにオオノが言った。
「お嬢さん、大丈夫です。こちらのサンタロウ坊っちゃんは我が国一のいえ、東洋一の大魔法使いです。きっと皆様のお役に立ちますよ。」
「え~すごい、まだほんの子供なのにそんな魔法が使えるんだ?………確かにその子からは強い魔力を感じるわね…」
サラは興味深そうにサンタロウを見つめた。
「マリアちゃん、今度こそみんなで守るから……
一緒に行こうよ!お婆ちゃんを復活させて合流すれば、きっと魔王もやっつけられるよ!だから……ね、」
ルネはマリアの両手を握ると、一生懸命想いを伝えた。
「………ルネちゃん、そこまで言うなら…」
マリアはルネの想いに応え、遂には恐怖心を振り払って共に城下町を後にする事を決意した。
そして一行は、サリアクロエの封印されている
北の小島の古代神殿遺跡へと向かうのだった。
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