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その後

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「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

 

 ここは、モントレー公爵邸。レオの屋敷にオリビアは連れてこられていた。目の前には青磁のティーセットが並べられている。その絵柄は異国情緒ある柄でここ最近オリビアの貿易会社でも取り扱うようになったケイトク国の茶器である。その青磁のティーカップを綺麗に持ち上げ、レオはお茶を啜った。その貴族然とした美しい所作をオリビアはボーっと見つめていた。
 
 ふとレオのアイスブルーの瞳と目がかち合うとオリビアはすぐに目をそらしてうつむいた。

「私の事は、今でも嫌いか?」

 レオが少し辛そうな顔で問いかけた。

(いや、レオたんが嫌いってゆうか・・・。このイケメンの威圧が凄いというか。キラキラして眩しいというか。てかこのケイトク国のティーセットはうちの会社の専売で1年前くらいに取り扱ったやつやんな。ということは、その頃からモントレー公爵とうちの貿易会社は繋がりがあったってことや。そもそも国でも有数の保守派であるモントレー公爵家てこういう他国の卸売りするような事業をしてなかったはずで・・・)

 ぶつぶつとレオの言葉をスルーしてオリビアは考え始める。

「聞いてる?オリビア」

「え!?あ、すいません。今でも嫌いか?ですね。別に昔に嫌った覚えはないですよ。少し苦手ではありましたけど、ってあぁ!!!!!」

(まずい!!オリビアではありませんという他人のフリ作戦がぁ!!!!)

「本当かい???私の事を嫌って出て行った訳ではないんだね!!!」

 レオは立ち上がり、満面の笑みでオリビアの左手を両手でそっと握る。
 
「良かった本当に・・・。これで、何の問題もないね。結婚しよう!!」

 片膝をついて、レオはオリビアの手にキスをする。そしてふと気づくとオリビアの左薬指にはアイスブルーの色をしたブルーダイヤモンドの指輪が嵌められていた。

「え?えぇ!!!!ちょっと待ってや!婚約はとうの昔に破棄されたんとちゃうの?てかエミリーどこ行ったんよ???王子は????」
 
 あまりの動揺に関西弁が出てしまうオリビア

「オリビアって本当はそんな喋り方だったんだね。あぁもうかわいいいなぁ。でもなぜオリビアがエミリーなんていうふしだらな女の事を知っているのかな?あとあの馬鹿王子の事が好きだったなんてことないよね???ないよね??浮気なんて許さないよオリビア!!!」

「エミリーがふしだら?馬鹿王子???浮気??え?ええ?」

 オリビアは混乱しながらも、レオから学園での話を聞いた。そして、エミリーがハーレムエンドを目指し頓挫した事を知った。王子の廃嫡にまつわるこの一連の醜聞は、国外には伝わらないようにしていたらしい。いまでこそ、他国と交流を盛んに始めたフォレスト国だがそもそもは閉鎖的な国。醜聞は国内に留める事は可能かもしれない。
 
 オリビアとレオの婚約も未だに継続中で、解消する気はないらしい。オリビアがシーガイア国で仕事があるから結婚は出来ないと言うと、もうレオは1年も前に手回し済みでオリビアの貿易会社と調整し、モントレー公爵家との共同出資でフォレスト国に新しい支店を立ち上げていた。そこでオリビアは働いてねとペラリとレオから人事異動通知書を渡された。

 とことんレオに仕組まれていて、外堀が埋まっている。そしてレオはずっとオリビアの事を好きでいてくれたらしい。こんなんでええんかな、なんか流されてる気がするけどええんかな?とふとレオの顔を見る。
 
レオの右耳についているエメラルドグリーンのピアスがキラリと光った。

「絆されてええんかな?」

「絆されてよ!ずっと愛してるよオリビア!!」

そう言いながら抱きついてきたレオにオリビアは戸惑いながらも、おずおずとレオの背中に腕をまわした。


end 



  
















 





















 

 

 










 
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みんなの感想(1件)

tago
2021.06.13 tago
ネタバレ含む
158
2021.06.19 158

感想ありがとうございます。そうレオがヤンデレですよね笑私もそう思いました。

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