転移先で頑張ります!~人違いで送られたんですけど?!~

桜月雪兎

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第一章

21、違法ブローカー①

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 ギルドを出た俺はアリアさんに言われたように中央広場に向かて歩いていた。
 中央広場までの道は大通りが一本でなかなかわかりやすい作りになっている。
 中央広場につくとすぐに見えたのは大きな噴水だった。噴水の周りには休憩の出来るベンチやテーブルセットに色とりどりの花壇、中央というだけあってすべての道に繋がっているようだ。周りにはそれこそ軽食の食べ物屋なんかが軒を連ねている。
 うん、すごいわ。
「え~っと、北東の道、北東の道」
 俺が道を探しているとある人物に違和感を覚えた。
 それは別にこの日のある時間に深くフードを被っていることではない。日に弱い種族だっているだろうし、周りが気にしていないのがその証拠だ。
 じゃあ何かと言われると難しい。
 ただ、視界に入った時から気になる相手なのだ。その懐が大きく膨らんでいるのもそうだが、なんとなく逃がしてはいけない気がしたのだ。
 逃がしたら大事なものを失うようなそんな感じ。
 ここに来て日が浅い俺がなんでそんなことを思ったのかはこの時の俺には分からなかった。
 それでも見逃す気にはなれなかったし、偶然にもそいつは同じ宿泊街の道に入ったので不自然でない程度にあとを付けた。
 この後俺は本当に逃がさなくてよかったと思ったのだ。

 そいつはある一角の宿と宿の間に入っていった。
 そのわき道を進んだ先には建物と建物の間にある空き地のような場所に立つ大きめの小屋があった。
 そいつはその小屋の前でフードを脱いだ。そこにあった顔はついさっきアリアさんに見せて貰ったブローカーの顔写真とうり二つの顔だ。
 そいつは小屋の中に入っていった。
 俺はその小屋の高い位置にある窓に向かった。中の様子が知りたかった。その窓の前は人が乗っても問題ないほどの隣の建物のでっぱりがあり、俺はそこに飛び乗り様子を見た。
 小屋の中には多くの小さな生き物や卵があった。これはこのブローカーの商品ということなのだろう。
「これ全部が密売目的の魔獣。こいつの拠点はここだったってことか」
 俺はどうやってギルドに連絡したものかと悩んだ。下手に離れて時間を与えると逃げられる可能性が高い。
 俺は困った時のルールブックと思い、ルールブックを開いた。そこには秘密裏にギルドに連絡を入れる方法があった。
 指輪の冒険者ステータス画面の左端に『緊急連絡』という文字があった。それを押せばいい。
 うん、そこまで見てなかった。
 その『緊急連絡』を押すと、次に出てきたのは『通常通話』と『隠密通話』の二つだ。
 この『通常通話』というのは普通のテレビ電話みたいなものだ、一方の『隠密通話』というのは音を外部に漏らさず、向こうの言葉をチャットのように文字に置き換えて表示される。
 どちらも俺自身はしゃべるわけだがちゃんと言葉は拾ってくれるらしい。
 ここはばれるわけにいかないので俺は『隠密通話』を押した。
 すると出たのはアキラさんだった。
「マコトさん?どうかされましたか?」
「さっき見せて貰った指名手配のブローカーのアジトっぽい所を見つけたんです」
「え?!どういう事ですか?」
「いや、宿を探しに行ってなんとなく嫌な感じのする相手がいて後を付けてみたらそうだったっていう」
「分かりました。今から編成してそちらに向かいます。できるだけ、無理はしないでください」
「はい。あ、中には生き物も卵もあるので」
「わかりました」
 通話が切れると俺は再度中の様子を見た。
 向こうは特に気付いた様子はなかった。
 このまま気付かれにない様に気を付けながらブローカーが逃げないように見張ることに俺は専念した。
 ちょうどこの位置は広場の裏側で建物に囲まれているので見つけにくい。
 そう、この窓から見つからなければ大丈夫なのだ。
 俺は今か今かとギルドからの編成組が来るのを待っていた。
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