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慌てて立ち上がりかけて、カロクは躊躇した。こちらから連絡をやめたとはいえ、サイラスからも連絡が来ることはなかった。
元々手紙は苦手だと聞いていたが、戦争が終わった後もサイラスがエインズワース邸に訪れる事はなかった。
もしかしたらサイラスはもう、関係を切りたいのかもしれない。元々、監視対象として会っていたに過ぎなかったのだから。
その時、不意にサイラスが視線をあげた。
パチリと視線が合う。
「サイー‥」
「カロク様!!」
その時、高い声がカロクの名を呼んだ。
振り返れば、3人のご令嬢がカロクのそばに立っていた。
「‥こんにちは。」
仕方なくカロクは装いきの笑みを貼り付けて挨拶する。すると3人のご令嬢は、その頬を上気させた。
「貴女方は‥?」
「失礼致しました。わたくし、ヴァリス家の三女ディアドラ=ヴァリスと申します。」
そう言ってディアドラははにかんだ笑みを浮かべた。
ディアドラは強気な瞳の美しい女性だ。
ゲームにも彼女は登場していて、攻略対象との恋路を邪魔するライバル令嬢として描かれている。
「カロク様がこちらに向かうのが見えたものですから、ご挨拶をと思いまして‥。社交デビューは初めてでございましょう? わたくしで何か力になる事が出来ればとー‥」
ディアドラは滔々と喋り始めた。
ヴァリス公爵家は、オーヴァンに近づくなと言われていた家門だ。公国と繋がっていると噂されていたが、結局決定的な証拠をあげることが出来ずまんまと逃げられたとオーヴァンが語っていた。
だが、相手は公爵家。
格下であるカロクが邪険にしていい相手はない。
「それで、カロク様のお兄様方は婚約者を定めていないようですけれども、カロク様は?」
ディアドラが問う。
「‥私にも、婚約者はいませんよ。」
「まぁ‥!!」
カロクが答えると、ディアドラは喜色の声をあげた。あなたを選ぶことはないけれど、とカロクが心の中で付け加えた事には気づかずに。
一方的に喋り続けるディアドラを、カロクは笑顔を貼り付けたまま眺めていた。
共に来た2人のご令嬢は取り巻きか何かだろうか。ディアドラの言葉に、楽しげに相槌を打っている。
話を上手くかわす事が出来ずカロクが諦めかけた時、不意に影がかかった。
「ご歓談中、失礼。」
顔を上げれば、そこにはサイラスの姿があった。
「サイラス様‥!!」
きゃぁ、とディアドラが頬を染めながら声をあげた。イケメンなら誰でもいいのかと、カロクは内心呆れる。
「カロク、オーヴァンが呼んでいる。」
「父が‥?」
サイラスの言葉にカロクが答える。
カロクの名を呼び捨てるサイラスに、ディアドラがその長いまつ毛をはためかせた。
「おふたりはお知り合いで?」
「はい。オーヴァン、いえエインズワース侯爵と私が交流があるのでその時に。」
にこりとサイラスが微笑む。
「申し訳ありませんが、カロクをお借りしても?」
サイラスが問う。
「侯爵様にお呼びされているのであれば仕方ありません。カロク様、またお話させて下さいませ。」
そう言って頭を下げるディアドラに、カロクは微笑む。すると令嬢達の頬に赤みがさした。カロクとしては、愛想笑いを深めただけなのだが。
「はい、よろしければ。」
そう言って軽く頭を下げると、カロクは一礼してサイラスの後に続いてその場を後にした。
元々手紙は苦手だと聞いていたが、戦争が終わった後もサイラスがエインズワース邸に訪れる事はなかった。
もしかしたらサイラスはもう、関係を切りたいのかもしれない。元々、監視対象として会っていたに過ぎなかったのだから。
その時、不意にサイラスが視線をあげた。
パチリと視線が合う。
「サイー‥」
「カロク様!!」
その時、高い声がカロクの名を呼んだ。
振り返れば、3人のご令嬢がカロクのそばに立っていた。
「‥こんにちは。」
仕方なくカロクは装いきの笑みを貼り付けて挨拶する。すると3人のご令嬢は、その頬を上気させた。
「貴女方は‥?」
「失礼致しました。わたくし、ヴァリス家の三女ディアドラ=ヴァリスと申します。」
そう言ってディアドラははにかんだ笑みを浮かべた。
ディアドラは強気な瞳の美しい女性だ。
ゲームにも彼女は登場していて、攻略対象との恋路を邪魔するライバル令嬢として描かれている。
「カロク様がこちらに向かうのが見えたものですから、ご挨拶をと思いまして‥。社交デビューは初めてでございましょう? わたくしで何か力になる事が出来ればとー‥」
ディアドラは滔々と喋り始めた。
ヴァリス公爵家は、オーヴァンに近づくなと言われていた家門だ。公国と繋がっていると噂されていたが、結局決定的な証拠をあげることが出来ずまんまと逃げられたとオーヴァンが語っていた。
だが、相手は公爵家。
格下であるカロクが邪険にしていい相手はない。
「それで、カロク様のお兄様方は婚約者を定めていないようですけれども、カロク様は?」
ディアドラが問う。
「‥私にも、婚約者はいませんよ。」
「まぁ‥!!」
カロクが答えると、ディアドラは喜色の声をあげた。あなたを選ぶことはないけれど、とカロクが心の中で付け加えた事には気づかずに。
一方的に喋り続けるディアドラを、カロクは笑顔を貼り付けたまま眺めていた。
共に来た2人のご令嬢は取り巻きか何かだろうか。ディアドラの言葉に、楽しげに相槌を打っている。
話を上手くかわす事が出来ずカロクが諦めかけた時、不意に影がかかった。
「ご歓談中、失礼。」
顔を上げれば、そこにはサイラスの姿があった。
「サイラス様‥!!」
きゃぁ、とディアドラが頬を染めながら声をあげた。イケメンなら誰でもいいのかと、カロクは内心呆れる。
「カロク、オーヴァンが呼んでいる。」
「父が‥?」
サイラスの言葉にカロクが答える。
カロクの名を呼び捨てるサイラスに、ディアドラがその長いまつ毛をはためかせた。
「おふたりはお知り合いで?」
「はい。オーヴァン、いえエインズワース侯爵と私が交流があるのでその時に。」
にこりとサイラスが微笑む。
「申し訳ありませんが、カロクをお借りしても?」
サイラスが問う。
「侯爵様にお呼びされているのであれば仕方ありません。カロク様、またお話させて下さいませ。」
そう言って頭を下げるディアドラに、カロクは微笑む。すると令嬢達の頬に赤みがさした。カロクとしては、愛想笑いを深めただけなのだが。
「はい、よろしければ。」
そう言って軽く頭を下げると、カロクは一礼してサイラスの後に続いてその場を後にした。
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