60 / 82
60
しおりを挟む
その時、サイラスはカロクのその耳が真っ赤に染まっている事に気がついた。どうやら途中で目を覚ましたらしい。
サイラスはふむ、と少し考えてから、再度チュッと軽くカロクの唇を奪った。するとビクリとその肩が震える。
しかしそれでも瞳を開かぬ様子に、サイラスはニヤリと笑みを歪めた。
「‥いいのか?抵抗しないで。」
フッとカロクの耳に息を吹き込む。
そのまま外耳を弄ぶように歯を立てれば、フルリとカロクの肌が震えた。
「食っちまうぞ‥?」
「‥‥っ!!」
そう落としながら耳の形をなぞるようにべロリと舌を這わせれば、ビクンッと大きく体を跳ねさせたカロクが慌ててサイラスの唇を両手で塞いだ。
「な、なん‥‥っ!!」
頬を真っ赤に紅潮させて狼狽えるカロクに、サイラスは意地悪く笑みを広げる。
「誰かさんが狸寝入りなんかしているからだ。」
クックッとサイラスは喉の奥で笑った。
「で‥? 何処から聞いていた?」
サイラスが問う。
するとカロクは逃げるように視線を流しながら、おずおずとその手を引いた。そのままサイラスから離れようと体を引くも、それ以上に詰められ、とうとうソファーの端へと追い詰められてしまう。
「ぇ、と‥‥」
躊躇うカロクに、サイラスがん?と小首を傾げながらその顔を覗き込む。追い詰められた先でさらにジリジリと距離を詰められれば、ますますカロクの頬が赤く染った。
答えるまで引かないといったサイラスの様子に、カロクは観念したように口を開いた。
「その‥‥、俺が、貰っても‥‥の、所‥から‥‥?」
「‥上出来だ。」
そう言って、フッとサイラスは満足したように微笑んだ。
「それで‥?」
サイラスが問う。
続く言葉に、カロクは首を傾げた。
「返事は貰えないのか?」
分かっていないカロクに、ククッと喉の奥で笑いながら再度問うと、一拍置いてからビャッとカロクは赤く染った。
「そ、れは‥‥その‥っ」
「嫌ってはいないよな?」
サイラスが追い打ちをかければ、カロクはおずおずと頷いた。
だがカロクが返事を躊躇うのには理由があった。前世の乙女ゲームの記憶だ。
まだ起きていない未来。もちろんカロクは回避するつもりだが、強制力が働かないとも限らない。
それにもし、主人公がサイラスを攻略しようとしたら。そう考えるだけで、カロクの心はソワソワと落ち着かなくなる。
サイラスは本編では攻略対象ではない。だが、追加ディスクにその姿絵が載っていたはずだ。
心を通わせた上で奪われてしまえば、今度こそ魔王へ堕ちる自信がカロクにはあった。
そんなカロクの様子に、フゥとサイラスは一息つくとそのまま頭を撫でた。
「悩ませたな。忘れてくれてもいいぞ。」
そう言ってサイラスがいつもの笑みを浮かべれば、カロクはシュンと眉尻を下げた。
このまま何も言わなければ、サイラスはいつもの距離感に戻ってしまうのだろう。必要以上に連絡せず、顔も合わせない。それを考えると、カロクの胸はキュッと狭くなった。
「サイラス、様‥。」
おずおずとカロクが口を開く。
するとサイラスはその視線だけで先を促してくれた。
「その、嫌では‥‥ないんです‥。でも‥」
「でも‥?」
カロクは躊躇いがちに、騎士服の袖口を握った。
「サイラス様、モテるじゃないですか‥。僕なんかよりいい人がー‥」
「ははっ!!」
カロクの言葉を最後まで聞く前に、サイラスが声をあげて笑った。
「誰もそばに置く気がなかったから、独身だったんだぞ? 今更お前以上の存在に出会える気などしないな。」
「でも‥‥」
「それにな、カロク。お前は俺に最後を願っただろう? 当然俺はそれを叶える気でいる。」
続く言葉に、パチリとカロクはまつ毛をはためかせた。最初に出会った時に、確かにカロクはそう願った。サイラスも、それを承諾した。だがそれは、その場限りの約束ではなかったのだろうか。
そもそもその約束を覚えてくれていた事に、カロクの胸が震えた。
「なら、共にいる方が何かと都合がいいだろう? それが恋人や夫婦と言った形でも、問題はないと思わないか?」
「サイラス様‥」
「でもまぁ、お前がどうしても嫌だと言うのなら手放してやるが。」
「そんな事‥っ」
思わず返した言葉に、サイラスはニヤリと笑みを拡げた。
「観念しろ、カロク。オーヴァンには上手く言ってやるから。」
その言葉に、カロクの胸がじわりと暖かくなった。そのままサイラスの胸にポスッと頭を埋めれば、大きな手が背中へと回った。
「サイラス様‥」
カロクが同じようにサイラスの背に手を回しながら口を開く。
「その、そばに‥‥いて、下さい‥」
「‥あぁ、もちろんだ。」
そう言ってサイラスは、カロクの唇を塞いだ。
サイラスはふむ、と少し考えてから、再度チュッと軽くカロクの唇を奪った。するとビクリとその肩が震える。
しかしそれでも瞳を開かぬ様子に、サイラスはニヤリと笑みを歪めた。
「‥いいのか?抵抗しないで。」
フッとカロクの耳に息を吹き込む。
そのまま外耳を弄ぶように歯を立てれば、フルリとカロクの肌が震えた。
「食っちまうぞ‥?」
「‥‥っ!!」
そう落としながら耳の形をなぞるようにべロリと舌を這わせれば、ビクンッと大きく体を跳ねさせたカロクが慌ててサイラスの唇を両手で塞いだ。
「な、なん‥‥っ!!」
頬を真っ赤に紅潮させて狼狽えるカロクに、サイラスは意地悪く笑みを広げる。
「誰かさんが狸寝入りなんかしているからだ。」
クックッとサイラスは喉の奥で笑った。
「で‥? 何処から聞いていた?」
サイラスが問う。
するとカロクは逃げるように視線を流しながら、おずおずとその手を引いた。そのままサイラスから離れようと体を引くも、それ以上に詰められ、とうとうソファーの端へと追い詰められてしまう。
「ぇ、と‥‥」
躊躇うカロクに、サイラスがん?と小首を傾げながらその顔を覗き込む。追い詰められた先でさらにジリジリと距離を詰められれば、ますますカロクの頬が赤く染った。
答えるまで引かないといったサイラスの様子に、カロクは観念したように口を開いた。
「その‥‥、俺が、貰っても‥‥の、所‥から‥‥?」
「‥上出来だ。」
そう言って、フッとサイラスは満足したように微笑んだ。
「それで‥?」
サイラスが問う。
続く言葉に、カロクは首を傾げた。
「返事は貰えないのか?」
分かっていないカロクに、ククッと喉の奥で笑いながら再度問うと、一拍置いてからビャッとカロクは赤く染った。
「そ、れは‥‥その‥っ」
「嫌ってはいないよな?」
サイラスが追い打ちをかければ、カロクはおずおずと頷いた。
だがカロクが返事を躊躇うのには理由があった。前世の乙女ゲームの記憶だ。
まだ起きていない未来。もちろんカロクは回避するつもりだが、強制力が働かないとも限らない。
それにもし、主人公がサイラスを攻略しようとしたら。そう考えるだけで、カロクの心はソワソワと落ち着かなくなる。
サイラスは本編では攻略対象ではない。だが、追加ディスクにその姿絵が載っていたはずだ。
心を通わせた上で奪われてしまえば、今度こそ魔王へ堕ちる自信がカロクにはあった。
そんなカロクの様子に、フゥとサイラスは一息つくとそのまま頭を撫でた。
「悩ませたな。忘れてくれてもいいぞ。」
そう言ってサイラスがいつもの笑みを浮かべれば、カロクはシュンと眉尻を下げた。
このまま何も言わなければ、サイラスはいつもの距離感に戻ってしまうのだろう。必要以上に連絡せず、顔も合わせない。それを考えると、カロクの胸はキュッと狭くなった。
「サイラス、様‥。」
おずおずとカロクが口を開く。
するとサイラスはその視線だけで先を促してくれた。
「その、嫌では‥‥ないんです‥。でも‥」
「でも‥?」
カロクは躊躇いがちに、騎士服の袖口を握った。
「サイラス様、モテるじゃないですか‥。僕なんかよりいい人がー‥」
「ははっ!!」
カロクの言葉を最後まで聞く前に、サイラスが声をあげて笑った。
「誰もそばに置く気がなかったから、独身だったんだぞ? 今更お前以上の存在に出会える気などしないな。」
「でも‥‥」
「それにな、カロク。お前は俺に最後を願っただろう? 当然俺はそれを叶える気でいる。」
続く言葉に、パチリとカロクはまつ毛をはためかせた。最初に出会った時に、確かにカロクはそう願った。サイラスも、それを承諾した。だがそれは、その場限りの約束ではなかったのだろうか。
そもそもその約束を覚えてくれていた事に、カロクの胸が震えた。
「なら、共にいる方が何かと都合がいいだろう? それが恋人や夫婦と言った形でも、問題はないと思わないか?」
「サイラス様‥」
「でもまぁ、お前がどうしても嫌だと言うのなら手放してやるが。」
「そんな事‥っ」
思わず返した言葉に、サイラスはニヤリと笑みを拡げた。
「観念しろ、カロク。オーヴァンには上手く言ってやるから。」
その言葉に、カロクの胸がじわりと暖かくなった。そのままサイラスの胸にポスッと頭を埋めれば、大きな手が背中へと回った。
「サイラス様‥」
カロクが同じようにサイラスの背に手を回しながら口を開く。
「その、そばに‥‥いて、下さい‥」
「‥あぁ、もちろんだ。」
そう言ってサイラスは、カロクの唇を塞いだ。
22
あなたにおすすめの小説
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる