乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

文字の大きさ
37 / 239
第四章 『対話』する方法を見つけました!

とにかく私の義弟であるノエルは可愛い!

しおりを挟む
 通信用の魔導具をテーブルの上に置くとペンダントの魔法石と魔導具の魔法石が同時に光輝く。

 光が落ち着くとそこには銀色の髪。緑色の瞳をしている彼、ノエルの姿が映し出された。

 何日ぶりだろうか。元気そうで良かった。

「元気、だった?」
 〈はい。姉上も元気そうで良かったです〉

 ノエルは驚いた顔になったがすぐに頬を赤く染め、クスリと笑った。

 う.....か、可愛い。

 女の私から見てもノエルは可愛い!    男なのが残念ね。

「大変だったみたいね。聞いてるかもしれないけどイアン様、しばらく滞在することになったの」
 〈聞いています。留学までしたのに残念です〉
「そうよね」

 ノエルはイアン様の剣術に憧れて留学したのに、そのイアン様が居なくなってとても残念そう。状況が状況だから仕方ないと思うけど、なんとかならないものかな。

 ノエルがデメトリアス家に戻ってくる.....なんて簡単なことじゃないもの。

 今は戻ることは許されない。なにも解決してないもの。
 解決しないで戻っても新たな問題が生まれるだろうし、ノエルもそれがわかってるからなにも言わないのよね。

「イリア様は大丈夫?」
 〈イリア様ですか?   大丈夫ですよ。イアン様の無事がわかって安心したのか寝室でお休みになっています。彼女、イアン様が行方不明になってからずっと寝てなかったので〉
「そうなんだね。良かった」
 〈そういえば、この前イリア様に姉上の話をしたんです〉

 ノエルが嬉しそうに言うので私は、私のなんの話をしたのか少し気になって聞き返した。

「私の?」
 〈はい!   覚えてますかね。このハンカチ〉

 ノエルが見せてきたのは白のハンカチ。ハンカチの端には蛇のような刺繍が。

 私はそれを見た瞬間、青ざめた。

 これは忘れるはずがない。
 私が人生初の刺繍をしてノエルにプレゼントしたやつなのだから。

 刺繍は思ってたよりも難しく、薔薇を刺繍したかったのになぜか蛇に近くなってしまった。何回も刺繍に挑戦したけど蛇にしかならなくて渡すのを諦めたけど、いつの間にかノエルの手に渡ってたのよね。

 どういう経緯で渡ったのか、ノエルに聞いても教えてくれなかった。

 捨ててって言ったのに大切に持ってるなんて.....。
 どこまでも良い子なんだから。

「失敗作を間違えて渡したやつよね、なんで失敗作が良かったの?」
 〈姉上らしいから〉
「え!?    そ、それは私がドジだからとかそんな理由」

 義弟に遠回しに小馬鹿にされた気がしてグサッと胸に刺さった。

 ノエルは微笑んで首を左右に振った。

 〈可愛らしいという意味です〉

 頬を赤く染めて言うものだからこっちまで赤くなってしまう。

「ありがとう」

 可愛らしいって言われてちょっと照れくさい。でも、それが彼の優しさなのよね。

 なんだかちょっぴり複雑だけど。

 〈このハンカチのエピソードを少し話したら会ってみたいと言ってましたね〉
「そうなの。   私もイリア様に会ってみたい」

 私の失敗談を話して会いたいだなんて.....、よっぽどの物好きなのね。

 〈きっと喜びますよ。あっ.....姉上〉
「ん?」
 〈アレン殿下とは.....いえ、なんでもありません。忘れてください〉
「うん?   それじゃあもうそろそろ休みたいから失礼するわ」
 〈は、はい!   お休みなさい〉
「お休みなさい」

 映像が静かに消えていく。

 久しぶりに癒されたって感じがする。可愛いは罪ってこの事ね。

 可愛くて仕方ない。近くにいたら頭をわしゃわしゃして思いっきり抱きついてたわ。

 .....嫌がられそうだけど。

 あっ。ノア先生にも伝えたいことあるんだっけ。

 ノア先生、しばらく滞在するみたいだから私の属性のことを相談するには今なのかも。

 と、思ったが今は夜の九時ぐらい。
 この時間帯に出歩くと侍女たちがうるさそう.....。

 仕方ない。明日、ノア先生のところに行こう。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になったようなので、婚約者の為に身を引きます!!!

夕香里
恋愛
王子に婚約破棄され牢屋行き。 挙句の果てには獄中死になることを思い出した悪役令嬢のアタナシアは、家族と王子のために自分の心に蓋をして身を引くことにした。 だが、アタナシアに甦った記憶と少しずつ違う部分が出始めて……? 酷い結末を迎えるくらいなら自分から身を引こうと決めたアタナシアと王子の話。 ※小説家になろうでも投稿しています

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう

さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」 殿下にそう告げられる 「応援いたします」 だって真実の愛ですのよ? 見つける方が奇跡です! 婚約破棄の書類ご用意いたします。 わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。 さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます! なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか… 私の真実の愛とは誠の愛であったのか… 気の迷いであったのでは… 葛藤するが、すでに時遅し…

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

八年間の恋を捨てて結婚します

abang
恋愛
八年間愛した婚約者との婚約解消の書類を紛れ込ませた。 無関心な彼はサインしたことにも気づかなかった。 そして、アルベルトはずっと婚約者だった筈のルージュの婚約パーティーの記事で気付く。 彼女がアルベルトの元を去ったことをーー。 八年もの間ずっと自分だけを盲目的に愛していたはずのルージュ。 なのに彼女はもうすぐ別の男と婚約する。 正式な結婚の日取りまで記された記事にアルベルトは憤る。 「今度はそうやって気を引くつもりか!?」

〘完結〛ずっと引きこもってた悪役令嬢が出てきた

桜井ことり
恋愛
そもそものはじまりは、 婚約破棄から逃げてきた悪役令嬢が 部屋に閉じこもってしまう話からです。 自分と向き合った悪役令嬢は聖女(優しさの理想)として生まれ変わります。 ※爽快恋愛コメディで、本来ならそうはならない描写もあります。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

処理中です...