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第六章 皇帝陛下の思惑
女の子って大変だな
しおりを挟む今日は六時課の鐘(午後十二時)過ぎからずっとバタバタしている。
侍女たちが、だけど。
私もその侍女たちに振り回されて大変。
その理由は昨日突然、皇帝からの呼び出しをくらったから。
ノア先生の瞬間魔法で帝国まで行くのだが、謁見の時間が今日の九時課の鐘(午後三時)にしか予約が取れなかったらしい。
行く時間までに身だしなみやらドレスもいろいろ決めている訳なのだが……。
時間ギリギリになっても瞬間魔法で行くから間に合うんだけど。
「ソフィア様!! このドレスはどうでしょう?」
「いや、ソフィア様にはこちらでしょう」
ん~……。どうしたものか。
ドレスルームにて、着ていくドレスを決めてるのだが、沢山あり過ぎてかなり迷う。
もうそろそろで一時間は経つだろう。
女の子って大変だな。
前世も女子だったけどさ、女子力無かった。と、いうよりも喪女に近かったと思う。
基本、適当だったからなぁ。
今世はそうも言ってられないから真剣に着ていくドレスを決めてるんだけど……。
二人の侍女が用意したのはオレンジ色が基準のドレスと、白と黒が基準のドレスだ。
どちらもスカートがフレアスカートのようにふんわりしていて、レースが薔薇柄になっている。
可愛いと思う。可愛いと思うんだけど……。
「もうちょっと落ち着いたドレスはないの?」
正直、会いたくはないけど皇帝陛下と会うんだ。
ちょっと背伸びをして大人っぽいドレスを着たい。
第一印象は大切だからね!
殿下の時はド派手に失敗してしまったから、慎重に行かないと!!
二人はお互いに顔を見合わせた後、私を見る。
それも悲しそうな顔をするものだから、困ってしまう。
「ダ、ダメ……でしょうか?」
「ソフィア様なら、お似合いかと……」
二人は顔を曇らせながらさらに続ける。
「可愛らしく、ほんわかしているドレスはソフィア様にピッタリかと。ソフィア様は少しツリ目で大人っぽいドレスも似合うかと思いますが、私個人としてはソフィア様は性格がとても柔らかく温かみがあるので愛らしいデザインのドレスが良いかと思ったのですが」
えっ、私ってそんなイメージ!?
性格……、柔らかいか?
だって自分自身の今後のためにみんなに優しくしてるようなものだし。
この世界の人たちは大好きなんだけど、結局は自分のためなのよね。
好感度が上がってると思えば嬉しいけど……。
私が思ってる自分自身の性格と相手が思ってくれてるソフィアの性格が違うのって、なんだが複雑だな。
仕方ない。二人の熱意に負けたわ。
「ありがとう。なら、間を取ってこのドレスにするわ」
私は二人の間を通り、一着のドレスを手に取った。
そのドレスは、空色と白が基準のドレスだ。
お腹当たりの縹色(はなだいろ)の小さめリボンにレースが飾られていて、とても可愛らしい。
スカートの丈がくるぶしよりも少し上。
マキシ丈というよりもロングスカートのような長さ。
これなら転ける心配もなさそう(多分)
七分袖なので、長袖よりも暑すぎない。
二人がオススメしてくれるドレスもすごく可愛くて魅力的なの。
でもね、長袖と丈が足元を隠れるようなドレスは却下よ。
だって、転んじゃうもん!!
嫌よ。皇帝陛下の前でみっともなく転ぶの。
だから二人には悪いけど、第三の選択肢としてこのドレスを選ぶわ。
可愛くて柔らかい印象のこのドレス。二人の意見を尊重して(たまたま目の前にあった奴だけど)選んだのよ。
「……まぁ!!? 素敵です」
「流石、ソフィア様ですね」
二人は私が選んだドレスを見るなり、目を輝かせていた。
これで支度が出来る。
もうそろそろで約束の時間になるんだから早く支度を終わらせたい。
「では、次は髪留めですね。なにがよろしいでしょう。私はこちらがいいかと」
「私はこっちですね!」
ああ……、支度が終わるまでまだかかりそうだ。
私は深いため息をついた。
その後はアイリスが来てくれたことで、すぐに支度を終わらせることが出来た。
髪留めは花色の大きめリボンにしてくれた。
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