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第十六章 信頼
調べて……貰えますか?
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「一通り話も終わりましたし、お庭の薔薇を見ても宜しいでしょうか?」
「?? まだ話は終わってないと思いますが……」
私の手を握ってくれていたイリア様は提案してきたのだが、私はまだ話は終わってないと思っていたから強制的に終わったことにされてモヤッとしてしまった。
それはノア先生も思ったらしく私の代わりに聞いてくれた。
イリア様は深いため息をして呆れていた。
「これだから殿方は何もわかってないのですわ。ずっと緊迫していたら息が詰まるものです。ですので、折角のお泊まりなのですから、楽しみたいですわ」
私もノア先生と同じ考えだったので、なんとも言えずに乾いた笑いを出してしまった。
「私、薔薇を見てみたいです。一緒にお庭で散歩してほしいです」
イリア様は私の顔を覗くように首を傾げる。上目遣いと首を傾げる姿がなんともあざといが、可愛らしいかった。
気付くと頷いていた。
流れるように頷いてしまったことに驚いてハッとしたが、イリア様が満面な笑みを浮かべているので訂正出来なかった。
あっ、でもどうしよう。アイリスから意味がわからない手紙と宝石貰ってることを話すタイミングを逃してしまった。
今からでも勇気をだして言ってみようかな……。
そんなことを考えていたらノア先生は諦めたようにため息をついた。
「……仕方がありませんね、では護衛を……」
「護衛は必要ありませんわ。私がいるんですもの」
「そうはいきませんよ」
「でしたら護衛は一人で十分ですわ。どうせ、扉の前に立っている騎士様とノア様なのでしょう?」
「そうですが」
「ノア様にはまだやらなくてはならない仕事があるはずですわ」
「あ、あの……っ!!」
ノア先生とイリア様が言い合いしている中、私は頃合いを見て会話に割って入った。
「……ア、アイリスから何も書かれていない手紙と宝石を貰いました。何か意味があると思うんです。ですが、私には……何を意味するのか分からないです。調べて……貰えますか?」
「……わかりました」
勇気を出してノア先生に頼ったら、ノア先生は表情は変わらなかったが、何故か必要以上にモノクルをかけ直している。耳が若干赤くなってる気がしたが、きっと気のせいかもしれない。
意味深に一回咳払いをしたノア先生はその手紙と宝石がどこにあるのか聞いてきた。
その二つは私と寝室にあるので一回取りに行くことになった。
残されたイリア様が気になってチラりと見ると、イリア様はにこやかに手を振っていた。
私は安堵して、カーテシーをイリア様にした後、急いで寝室に向かった。
勿論、私の後ろからはノア先生が着いてきているのが足音や気配で分かる。
寝室に着いて中に入ろうとするとノア先生の唇が微かに動き呟いたので、聞き返したら「なんでもないですよ」と言われたので不思議に思いながらも寝室に入り、手紙と宝石を取りに向かう。
だけど、その時は忘れていた。オリヴァーさんの忠告を。
外の敵よりも中の敵がいることを……。
「?? まだ話は終わってないと思いますが……」
私の手を握ってくれていたイリア様は提案してきたのだが、私はまだ話は終わってないと思っていたから強制的に終わったことにされてモヤッとしてしまった。
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イリア様は私の顔を覗くように首を傾げる。上目遣いと首を傾げる姿がなんともあざといが、可愛らしいかった。
気付くと頷いていた。
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あっ、でもどうしよう。アイリスから意味がわからない手紙と宝石貰ってることを話すタイミングを逃してしまった。
今からでも勇気をだして言ってみようかな……。
そんなことを考えていたらノア先生は諦めたようにため息をついた。
「……仕方がありませんね、では護衛を……」
「護衛は必要ありませんわ。私がいるんですもの」
「そうはいきませんよ」
「でしたら護衛は一人で十分ですわ。どうせ、扉の前に立っている騎士様とノア様なのでしょう?」
「そうですが」
「ノア様にはまだやらなくてはならない仕事があるはずですわ」
「あ、あの……っ!!」
ノア先生とイリア様が言い合いしている中、私は頃合いを見て会話に割って入った。
「……ア、アイリスから何も書かれていない手紙と宝石を貰いました。何か意味があると思うんです。ですが、私には……何を意味するのか分からないです。調べて……貰えますか?」
「……わかりました」
勇気を出してノア先生に頼ったら、ノア先生は表情は変わらなかったが、何故か必要以上にモノクルをかけ直している。耳が若干赤くなってる気がしたが、きっと気のせいかもしれない。
意味深に一回咳払いをしたノア先生はその手紙と宝石がどこにあるのか聞いてきた。
その二つは私と寝室にあるので一回取りに行くことになった。
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私は安堵して、カーテシーをイリア様にした後、急いで寝室に向かった。
勿論、私の後ろからはノア先生が着いてきているのが足音や気配で分かる。
寝室に着いて中に入ろうとするとノア先生の唇が微かに動き呟いたので、聞き返したら「なんでもないですよ」と言われたので不思議に思いながらも寝室に入り、手紙と宝石を取りに向かう。
だけど、その時は忘れていた。オリヴァーさんの忠告を。
外の敵よりも中の敵がいることを……。
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