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一章 終わりから始まりへ
ついにこの時がやってきた
しおりを挟む「オリビア・ペレス。貴公は、聖女を亡き者にしようとするだけじゃなく、エドワード・ラミレス・スコット王を毒殺しようとした罪により、獣害の刑に処す」
ついにこの時がやって来た。
闘技場のような巨大な円形空間。客席からは「悪女」「早く殺せ!」と罵声を浴びせられる。
それもそのはず。私は罪を犯し、処刑される罪人なのだから。
ーーいや、正しくは罪を擦り付けられたんだ。
手首を拘束され、目の前にはお腹を空かしたドラゴンが。
ギョロっと血走るような目。大きな口からはヨダレと鋭く尖った歯が私のことを獲物と認識しているようだ。
すぐにでも取って食べられそうなのだが、頑丈に繋がれた鎖によってドラゴンは私をまだ食べることは出来ないでいる。
獣害の刑は、獣に生きたまま食べられる処刑なのだが、その罪の大きさに寄って、獣の種類が代わる。
私の罪は未遂なもののこの国の王を毒殺しようとしたのでドラゴンになった。
ドラゴンの食事は特に悲惨だ。獲物をすぐに殺さずに痛みつけ、その苦痛の表情を見て弄び、最後には丸呑みしてしまう。
だけど不思議と恐怖は無い。
だって、この処刑を上手く利用して逃亡するんだもの。
ドラゴンに繋がれた鎖が外れた。
鼓膜が敗れそうなほどの雄叫びをあげたドラゴンはゆっくりと私に近づいた。
大きな口を開けて徐々に近づくが、ドラゴンの牙と鱗に何かが当たりボロっと取れ、落ちる直前に黒い穴へと吸い込まれていった。
だが、周りの人達はその事に気付いていないのか気に止める様子は無い。
そんな周りの様子を見て、クスッと笑う。
もうすぐだ。
あの方を信じるんだ。
大丈夫、きっとうまくいく。
私はこんな所で死にたくない。
前のように処刑されてたまるものか。
私は抵抗することなく、ゆっくりと目を閉じたのだった。
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