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7章(終章) 美しいホシ
104.ホシ(7/9)
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なんで藤井君がここにいるの⁉︎
お店が出ている参道から外れた、ひと気のない暗いベンチだよ?
「こんばんは。久しぶり。その……一緒に帰らない? 遅い時間だし、暗いし」
藤井君は私を気づかうように、遠慮がちにこちらを見ていた。
「なんだかこの前と逆だね」
「うん……恩返し? みたいな」
「……銀太郎が……呼んだの?」
藤井君は少し迷うような表情をしてから小さくうなずいた。
「頼まれたんだ。今日、どうしても実家に帰らないといけなくて、飛行機の時間の都合があるから川上さんを迎えに来てほしいって」
飛行機、ね。
「藤井君には今日帰るって話したんだね?」
「え……と。連絡をもらったのは今日の夕方なんだ。銀太郎さん、自分が帰ることを川上さんに教えなかったの? あ、川上さん、怒っている?」
「なんだか私がワガママ言って銀太郎を無理やり連れ歩いて、それで私が怖いから銀太郎は帰ることを言い出せなかったみたいに聞こえただけ」
「あははは……。そうじゃないからって、銀太郎さん言っていた」
「……」
どこまで至れり尽くせり先回りして気が利く宇宙人なのよっ!
「藤井君と銀太郎、いつのまにか仲良くなっていたんだね」
「どうだろう? 「万貫の森」に行ったすぐ後くらいに川上さんのお父さんから僕のおじいさんに電話があったんだ。銀太郎さんが僕の連絡先を知りたがっているって……。でも実際に銀太郎さんから電話があったのは今日が初めてで。この前のことで借りを作ったと思うなら返してほしいって。それだけ。銀太郎さんと仲良くなれたら、僕はうれしいけれどね」
そうだった。適性検査中の子とは接触したくないと言っていたっけ。
「ありがとう、藤井君。暗くて怖いから、来てくれて助かっちゃった」
藤井君はホッとしたようにうなずいた。
ごめんね、私イライラしていたよね。反省。
「あおーいーっ! おっひさーっ」
「元気してたあー?」
えっ? 美央? ひな子⁉︎
美央とひな子が参道に面したお店の間を抜けて近づいてきた。手には浮く風船のヒモをぐるぐる巻きつけている。二人の後ろから、イルカとダックスフンドがふわふわとゆれながらついてきた。
「ええっ、なんでいるの⁉︎」
「あはっ、ごっめーん。これから藤井とデートなのにおじゃまだったあ?」
「あたしたちも迎えに来たよーっ!」
「えーっ、どういうこと?」
「なーんか、藤井が銀太郎さんに頼まれて葵を迎えに行くのに、一人じゃなんだからって私に声かけてきてさ」
「で、ひな子が藤井と二人で行くのもなんだからって言ってあたしを呼んでさ」
「それでみんなで来てくれたの?」
「そう!」
キャーーーーッ!!!!
三人で手を取りあってピョンピョンとびはねて回るのを藤井君は後ずさりしながらながめている。
「ひゃーっ、葵の浴衣カワイイ! 似合ってるよお、すっごくキレイ!」
「ホント⁉︎ うれしいーっ」
これこれ! これなの。どう、銀太郎? 私、カワイイって言ってもらったよ? 似合っているってほめられたよ!
銀太郎もそれくらい言ってから帰ればよかったのに!
「見て、あたしのイルカ! キラキラのピンクでキュートでしょう? ひとめぼれして買っちゃった!」
「美央が買ってたから私は犬! 足みじかーっ。なんかUFOもあったから藤井に教えてあげたのに、恥ずかしがっていらないって言うんだよねえ」
「そうなの? 私、UFOほしいなあ」
「きっとまだ残っているよ? これから買いに行こうよ!」
「うん!」
銀太郎が藤井君を呼んでくれたから、美央とひな子にも会えて……おかげでいきなり笑えたよ? 元気が出てきたよ!
銀太郎ってば本当に至れり尽くせりなんだから……もうっ!
銀太郎、ありがとう。
それから……
銀太郎、大大大好きだよ!
お店が出ている参道から外れた、ひと気のない暗いベンチだよ?
「こんばんは。久しぶり。その……一緒に帰らない? 遅い時間だし、暗いし」
藤井君は私を気づかうように、遠慮がちにこちらを見ていた。
「なんだかこの前と逆だね」
「うん……恩返し? みたいな」
「……銀太郎が……呼んだの?」
藤井君は少し迷うような表情をしてから小さくうなずいた。
「頼まれたんだ。今日、どうしても実家に帰らないといけなくて、飛行機の時間の都合があるから川上さんを迎えに来てほしいって」
飛行機、ね。
「藤井君には今日帰るって話したんだね?」
「え……と。連絡をもらったのは今日の夕方なんだ。銀太郎さん、自分が帰ることを川上さんに教えなかったの? あ、川上さん、怒っている?」
「なんだか私がワガママ言って銀太郎を無理やり連れ歩いて、それで私が怖いから銀太郎は帰ることを言い出せなかったみたいに聞こえただけ」
「あははは……。そうじゃないからって、銀太郎さん言っていた」
「……」
どこまで至れり尽くせり先回りして気が利く宇宙人なのよっ!
「藤井君と銀太郎、いつのまにか仲良くなっていたんだね」
「どうだろう? 「万貫の森」に行ったすぐ後くらいに川上さんのお父さんから僕のおじいさんに電話があったんだ。銀太郎さんが僕の連絡先を知りたがっているって……。でも実際に銀太郎さんから電話があったのは今日が初めてで。この前のことで借りを作ったと思うなら返してほしいって。それだけ。銀太郎さんと仲良くなれたら、僕はうれしいけれどね」
そうだった。適性検査中の子とは接触したくないと言っていたっけ。
「ありがとう、藤井君。暗くて怖いから、来てくれて助かっちゃった」
藤井君はホッとしたようにうなずいた。
ごめんね、私イライラしていたよね。反省。
「あおーいーっ! おっひさーっ」
「元気してたあー?」
えっ? 美央? ひな子⁉︎
美央とひな子が参道に面したお店の間を抜けて近づいてきた。手には浮く風船のヒモをぐるぐる巻きつけている。二人の後ろから、イルカとダックスフンドがふわふわとゆれながらついてきた。
「ええっ、なんでいるの⁉︎」
「あはっ、ごっめーん。これから藤井とデートなのにおじゃまだったあ?」
「あたしたちも迎えに来たよーっ!」
「えーっ、どういうこと?」
「なーんか、藤井が銀太郎さんに頼まれて葵を迎えに行くのに、一人じゃなんだからって私に声かけてきてさ」
「で、ひな子が藤井と二人で行くのもなんだからって言ってあたしを呼んでさ」
「それでみんなで来てくれたの?」
「そう!」
キャーーーーッ!!!!
三人で手を取りあってピョンピョンとびはねて回るのを藤井君は後ずさりしながらながめている。
「ひゃーっ、葵の浴衣カワイイ! 似合ってるよお、すっごくキレイ!」
「ホント⁉︎ うれしいーっ」
これこれ! これなの。どう、銀太郎? 私、カワイイって言ってもらったよ? 似合っているってほめられたよ!
銀太郎もそれくらい言ってから帰ればよかったのに!
「見て、あたしのイルカ! キラキラのピンクでキュートでしょう? ひとめぼれして買っちゃった!」
「美央が買ってたから私は犬! 足みじかーっ。なんかUFOもあったから藤井に教えてあげたのに、恥ずかしがっていらないって言うんだよねえ」
「そうなの? 私、UFOほしいなあ」
「きっとまだ残っているよ? これから買いに行こうよ!」
「うん!」
銀太郎が藤井君を呼んでくれたから、美央とひな子にも会えて……おかげでいきなり笑えたよ? 元気が出てきたよ!
銀太郎ってば本当に至れり尽くせりなんだから……もうっ!
銀太郎、ありがとう。
それから……
銀太郎、大大大好きだよ!
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