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カフェをめぐる物語(1)続
プロポーズ
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一週間後、マキノは敏ちゃんから午後の半日、お休みをもらって、春樹さんのお宅におじゃますることになっていた。
最近は、敏ちゃんにシフト管理を全面的にまかせてしまっている。
みんなの都合にあわせて、自分も含めてバランスよくお休みを入れてくれるから、ほんとに公平で安心で、とてもありがたい。
春樹さんに招待されたけれど、先日指輪のサイズを聞かれたこともあるから、プロポーズ・・あるのかなーと思ったり。まだ一週間しかたってないし、さすがにもうちょっと先かなと思ったり。
ま、でも、考えていることがあるって言ったから、そのことを話してくれるのだろうなと思う。
たぶん、それだな。ちょっぴり楽しみ。
春樹さんの家は、イズミさんのお宅から国道を少し行ったところで横道に入り坂を少し上がったところにある。マキノのお店は国道から一段下がるけれども、イズミさんの家や春樹さんの家は、国道よりも山側にある。
どの家なのかは、ずっと前から知っていたけれども、上がらせていただくのは初めてだ。
歩けない距離でもないし自転車でも行ける距離だけれど、今日は車で来た。
もうご両親はいないから・・、緊張は少ない。
ピンポン。とベルを鳴らすと、春樹さんが笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい。」
「こんにちは。」
ここには自分の知らない春樹さんの日常があるのだ。ちょっとだけ不思議な気持ち。
玄関前には車3台ほど停められる広さがあり、家の横には小屋のようなものがあって、春樹さんの車とバイクが停まっている。マキノがきょろきょろと意識散らしているのに気が付いて春樹さんの解説が始まった。
「その車庫は、昔、オヤジと兄貴とオレと三人で建てたんだ。」
「へぇ・・。」
「こっちは、おふくろが元気だったときに自家菜園をしてた畑。」
「へー。広いね。」
「家族では食べきれないぐらい、ピーマンやトマトができたよ。」
「春樹さんはしないの?」
「あ‥自分でするのは考えたことなかったな。」
春樹さんは玄関を開けて、家の中に招いてくれた。
「ちらかってるけど、どうぞ。」
とスリッパを出してくれた。
「この家は、兄貴が3歳の時に建てたらしい。だから家自体はそんなに新しくない。骨董品的に古いわけでもない。」
台所、居間、和室、と案内される。和室にはお仏壇があった。
マキノは何も言わずに、その前に座って手を合わせた。
「こっちがオレの寝室。オレが中学の時に兄貴が家を出て、その間に乗っ取って、その頃から変ってないんだ。ここから2階へ上がる。」
2階には2部屋あって、春樹さんはその一室の国道側の窓を開けた。
「ここからの景色どう思う?」
「うん。いいね。」
素朴な風景だ。家の屋根がポツンポツンと見えて、畑があって、川も少し見える。
2階に上がって目線が高くなっているから、まわりの木々が低くなり視界が開けていて明るい。ここからでも、少し離れた国道を車が走るのを感じることはできた。気のせいか川のせせらぎが聞こえるような気がする。不思議に遠くの音がよく聞こえる。
「居心地良さそうな、おうちだね。」
「そう?そういうことも意識したことなかったな。」
リビングに戻ってくると、春樹さんはマキノをソファーに座らせて、自分も隣に座った。
「さてと・・・何から言うべきなのかなぁ・・・オレどこかでセリフの順番間違えちゃったみたいなんだ。」
「・・?」
「これ。」
「え・・?」
差し出された春樹さんの手に、四角いグレーの小さな指輪のケースがあった。
なんなのー。唐突過ぎる!!
あっでも、そうか、順番間違えてる自覚はあったのか。
マキノがまだどうリアクションしていいのかわからずフリーズしていると、春樹さんがケースのふたを開けた。ダイヤと・・ピンクの宝石の、かわいらしいデザインリングが光っていた。
「オレと、結婚、してください。」
「は・・は・・・はぃ。」
消え入るような声になってしまった。
・・嬉しい。
春樹さんがマキノの指に指輪をはめてくれた。サイズはぴったりだ。
嬉しいよ。・・泣きそう。
嬉しいけど、混乱中。混乱中。
「ほ・・宝石のことはよく知らないけど、素敵。これはなんて言うの?」
「一応真ん中のはダイヤ。ピンクのはなんて言ったっけ忘れたな。よくわかんないけど、直感でマキノに似合いそうだと思ったのにした。」
プラチナの流れるようなラインのアームに大きめのダイヤがあって、小さい石がいくつかバランスよく並んだデザインリングだ。
「可愛くて、きれい・・。ありがとう。」
「プロポーズしてからじゃないと、マキノの家のことも、お店の将来のことも、オレが考える資格がないでしょ?」
「・・?」
「オレは、この家にマキノが来てくれるだけで・・それだけで、多分満足する。マキノはどう?」
「えと・・・けっ・・けっ・・結婚したあとの、私の仕事のこと?」
「うん。」
「わたし、借金もあるし。るぽのカフェは・・やっていかないとダメなの。」
「わかってるよ。」
「春樹さんの為だけに、生きていければそれはそれで・・幸せかもしれないけど・・。」
「オレ、仕事を辞めろなんて言ってないよ。もちろん専業主婦がしたければ、安月給だけど、家族を養うぐらいできるとは思うけど。」
「・・・。」
「まずね・・・例えばの話だよ。マキノがここからルポに通えば、遊があの店の下に下宿できるんだ。宿直室みたいにね。」
「あ・・・うん。」
「そしたら、あの店はね・・・リョウちゃんや、マキノの家族や友達が来たときに、ランチを食べることは出来ても、マキノとゆっくり交流できる場所ではなくなる。」
「あぅ・・」
「たとえばの話だからね。」
「うん・・」
「マキノ、自分だけのお城が、欲しくない?」
「・・お城・・?」
「じゃあこっちきて。」
春樹に手を引かれて玄関から出る。そして駐車場の横の空き地の前に立った。
「ここにコテージを建てたらどう思う?」
「コテージ?」
「そう。あくまでも仮計画だよ。1階に小さい台所とリビング。2階はロフトで宿泊可。って感じのログハウスを建てる。さっきも見たでしょう?二階からの景色の感じを。それイメージしてみて。」
「あ・・うん。」
「そういうコテージがあれば、ゲストハウスとして誰かに貸し出してその代金をもらう営業ができる。オレも昔の友達を呼んだりできそうだし、マキノの実家の家族や友達を呼んだり・・・いろいろ使えると思うんだよね。」
「それ、すごく楽しそうだね。」
「マキノは自分が心を砕いてる人間を抱え込みすぎるんだ。」
「そ・・そうかな。 そうかも。」
「こういうのがあれば、マキノのやりたいことを叶えながら、それと自分の生活とは切り離す線引きができる。と、オレは思う。」
私のやりたいこと?
やりたいこと・・。
カフェ・・
カフェを開業することだった。
でも、少しだけ軌道がずれた・・と思ったのだ。
リョウとゆっくり過ごすことができなかった。それだけのことだけど。
カフェのカウンターを挟んで、ではなく、それよりもう少しだけ、深く関わることができる場所があれば・・。
そう思っていたのだ。
「あっ・・それが、・・・この間言ってたアイディアというものですか。」
「そう。」
春樹さんは、まだつきあって間もない私との未来を、どれほど具体的に考えてそんな事を言ってるのか・・。でも、冗談を言っているとは思えない。本気に見えるし、子どもみたいに楽しそうだ。
「はあ。なるほど・・・ほんとに順番がめちゃくちゃだね・・。」
「でもまだ、何も決定してなからね。思いついただけ。」
「カフェは順調とはいえ、まだまだ始まったばかりだし・・。でも、とっても魅力的。・・時間をかけて考える。今日ここに来てから、一気に未来のこと考えなきゃいけなくなって、ちょっと混乱しちゃってるよ私。」
「わかるよ。慌てることは何もないしね。」
「・・。」
マキノは慎重にうなずいた。
「オレたち、結婚するんだよね?」
えっ?・・そんなこと確認する? と思わず春樹さんの顔を見た。
春樹さんは、いたずらっぽく笑っていた。
「・・・今、私、そう返事したよね。」
マキノがそう言うと、春樹さんは笑顔をもっと笑顔にしてうなずいた。
「これから、よろしくね。」
「はい。こちらこそよろしく、お願いします。」
二人は、互いにぺこりとお辞儀をして笑いあった。
最近は、敏ちゃんにシフト管理を全面的にまかせてしまっている。
みんなの都合にあわせて、自分も含めてバランスよくお休みを入れてくれるから、ほんとに公平で安心で、とてもありがたい。
春樹さんに招待されたけれど、先日指輪のサイズを聞かれたこともあるから、プロポーズ・・あるのかなーと思ったり。まだ一週間しかたってないし、さすがにもうちょっと先かなと思ったり。
ま、でも、考えていることがあるって言ったから、そのことを話してくれるのだろうなと思う。
たぶん、それだな。ちょっぴり楽しみ。
春樹さんの家は、イズミさんのお宅から国道を少し行ったところで横道に入り坂を少し上がったところにある。マキノのお店は国道から一段下がるけれども、イズミさんの家や春樹さんの家は、国道よりも山側にある。
どの家なのかは、ずっと前から知っていたけれども、上がらせていただくのは初めてだ。
歩けない距離でもないし自転車でも行ける距離だけれど、今日は車で来た。
もうご両親はいないから・・、緊張は少ない。
ピンポン。とベルを鳴らすと、春樹さんが笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい。」
「こんにちは。」
ここには自分の知らない春樹さんの日常があるのだ。ちょっとだけ不思議な気持ち。
玄関前には車3台ほど停められる広さがあり、家の横には小屋のようなものがあって、春樹さんの車とバイクが停まっている。マキノがきょろきょろと意識散らしているのに気が付いて春樹さんの解説が始まった。
「その車庫は、昔、オヤジと兄貴とオレと三人で建てたんだ。」
「へぇ・・。」
「こっちは、おふくろが元気だったときに自家菜園をしてた畑。」
「へー。広いね。」
「家族では食べきれないぐらい、ピーマンやトマトができたよ。」
「春樹さんはしないの?」
「あ‥自分でするのは考えたことなかったな。」
春樹さんは玄関を開けて、家の中に招いてくれた。
「ちらかってるけど、どうぞ。」
とスリッパを出してくれた。
「この家は、兄貴が3歳の時に建てたらしい。だから家自体はそんなに新しくない。骨董品的に古いわけでもない。」
台所、居間、和室、と案内される。和室にはお仏壇があった。
マキノは何も言わずに、その前に座って手を合わせた。
「こっちがオレの寝室。オレが中学の時に兄貴が家を出て、その間に乗っ取って、その頃から変ってないんだ。ここから2階へ上がる。」
2階には2部屋あって、春樹さんはその一室の国道側の窓を開けた。
「ここからの景色どう思う?」
「うん。いいね。」
素朴な風景だ。家の屋根がポツンポツンと見えて、畑があって、川も少し見える。
2階に上がって目線が高くなっているから、まわりの木々が低くなり視界が開けていて明るい。ここからでも、少し離れた国道を車が走るのを感じることはできた。気のせいか川のせせらぎが聞こえるような気がする。不思議に遠くの音がよく聞こえる。
「居心地良さそうな、おうちだね。」
「そう?そういうことも意識したことなかったな。」
リビングに戻ってくると、春樹さんはマキノをソファーに座らせて、自分も隣に座った。
「さてと・・・何から言うべきなのかなぁ・・・オレどこかでセリフの順番間違えちゃったみたいなんだ。」
「・・?」
「これ。」
「え・・?」
差し出された春樹さんの手に、四角いグレーの小さな指輪のケースがあった。
なんなのー。唐突過ぎる!!
あっでも、そうか、順番間違えてる自覚はあったのか。
マキノがまだどうリアクションしていいのかわからずフリーズしていると、春樹さんがケースのふたを開けた。ダイヤと・・ピンクの宝石の、かわいらしいデザインリングが光っていた。
「オレと、結婚、してください。」
「は・・は・・・はぃ。」
消え入るような声になってしまった。
・・嬉しい。
春樹さんがマキノの指に指輪をはめてくれた。サイズはぴったりだ。
嬉しいよ。・・泣きそう。
嬉しいけど、混乱中。混乱中。
「ほ・・宝石のことはよく知らないけど、素敵。これはなんて言うの?」
「一応真ん中のはダイヤ。ピンクのはなんて言ったっけ忘れたな。よくわかんないけど、直感でマキノに似合いそうだと思ったのにした。」
プラチナの流れるようなラインのアームに大きめのダイヤがあって、小さい石がいくつかバランスよく並んだデザインリングだ。
「可愛くて、きれい・・。ありがとう。」
「プロポーズしてからじゃないと、マキノの家のことも、お店の将来のことも、オレが考える資格がないでしょ?」
「・・?」
「オレは、この家にマキノが来てくれるだけで・・それだけで、多分満足する。マキノはどう?」
「えと・・・けっ・・けっ・・結婚したあとの、私の仕事のこと?」
「うん。」
「わたし、借金もあるし。るぽのカフェは・・やっていかないとダメなの。」
「わかってるよ。」
「春樹さんの為だけに、生きていければそれはそれで・・幸せかもしれないけど・・。」
「オレ、仕事を辞めろなんて言ってないよ。もちろん専業主婦がしたければ、安月給だけど、家族を養うぐらいできるとは思うけど。」
「・・・。」
「まずね・・・例えばの話だよ。マキノがここからルポに通えば、遊があの店の下に下宿できるんだ。宿直室みたいにね。」
「あ・・・うん。」
「そしたら、あの店はね・・・リョウちゃんや、マキノの家族や友達が来たときに、ランチを食べることは出来ても、マキノとゆっくり交流できる場所ではなくなる。」
「あぅ・・」
「たとえばの話だからね。」
「うん・・」
「マキノ、自分だけのお城が、欲しくない?」
「・・お城・・?」
「じゃあこっちきて。」
春樹に手を引かれて玄関から出る。そして駐車場の横の空き地の前に立った。
「ここにコテージを建てたらどう思う?」
「コテージ?」
「そう。あくまでも仮計画だよ。1階に小さい台所とリビング。2階はロフトで宿泊可。って感じのログハウスを建てる。さっきも見たでしょう?二階からの景色の感じを。それイメージしてみて。」
「あ・・うん。」
「そういうコテージがあれば、ゲストハウスとして誰かに貸し出してその代金をもらう営業ができる。オレも昔の友達を呼んだりできそうだし、マキノの実家の家族や友達を呼んだり・・・いろいろ使えると思うんだよね。」
「それ、すごく楽しそうだね。」
「マキノは自分が心を砕いてる人間を抱え込みすぎるんだ。」
「そ・・そうかな。 そうかも。」
「こういうのがあれば、マキノのやりたいことを叶えながら、それと自分の生活とは切り離す線引きができる。と、オレは思う。」
私のやりたいこと?
やりたいこと・・。
カフェ・・
カフェを開業することだった。
でも、少しだけ軌道がずれた・・と思ったのだ。
リョウとゆっくり過ごすことができなかった。それだけのことだけど。
カフェのカウンターを挟んで、ではなく、それよりもう少しだけ、深く関わることができる場所があれば・・。
そう思っていたのだ。
「あっ・・それが、・・・この間言ってたアイディアというものですか。」
「そう。」
春樹さんは、まだつきあって間もない私との未来を、どれほど具体的に考えてそんな事を言ってるのか・・。でも、冗談を言っているとは思えない。本気に見えるし、子どもみたいに楽しそうだ。
「はあ。なるほど・・・ほんとに順番がめちゃくちゃだね・・。」
「でもまだ、何も決定してなからね。思いついただけ。」
「カフェは順調とはいえ、まだまだ始まったばかりだし・・。でも、とっても魅力的。・・時間をかけて考える。今日ここに来てから、一気に未来のこと考えなきゃいけなくなって、ちょっと混乱しちゃってるよ私。」
「わかるよ。慌てることは何もないしね。」
「・・。」
マキノは慎重にうなずいた。
「オレたち、結婚するんだよね?」
えっ?・・そんなこと確認する? と思わず春樹さんの顔を見た。
春樹さんは、いたずらっぽく笑っていた。
「・・・今、私、そう返事したよね。」
マキノがそう言うと、春樹さんは笑顔をもっと笑顔にしてうなずいた。
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