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恋愛シュミレーション

第12話

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まぁこれを気にシレっと流そうと思ったが、どうやら私のその理由を聞きたい状態に皆入っているので、私は仕方なく話す事にした。

「今までってなんていうかありきたりって言うか、あくまでも妄想の世界で『こうなったらいいなー』的な内容だったじゃん?」

私の言葉に他が相槌をし、私はそれを見るとそのまま話しを続ける。

「でも今回はもうちょっと入り込んでる感じで、言わば付き合っての初めてのデートって感じがして、その初デートで相手が私の為に念入りにプランを考えて来たと考えたらなんだか嬉しくない?内容がリアルだからこそ、凄く新鮮味があるから‥って何よ!?」

私が想いを語り、ふとみんなを見るとクスクスと笑っていた。すると有希が

「フフフ‥だって、歌詞を受け取った時も思ったけどさ、ここまでどっぷり共感するなんて見た事なかったから、凄く珍しいなって思って」

「確かに、どちらかというと咲ちゃんて恋愛に対してはあまり興味なさそうなイメージだから」

有希の言葉で共感したのか伊織が反応する。確かに今までの私は恋愛<アイドルであった。というか、10歳からこの世界に入って来てるもんだから恋愛もくそもない。好きな人は当時居たけど、この世界に入るとなった途端、最初は凄く祝ってくれたけど、暫くしてからその人に限らずみんな私から距離を置く様になっていた。

てっきりみんなが皮肉に思っていたのかと思ったらそうではなく、どうやら話を聞くと、私がアイドルの道に進むとなった時、その噂が学校中に広まったお陰で一足早く、一時的に学校のアイドルになっていた。それもあってクラスの周りからは『特別な人』として近付きずらくなってしまい、いつの間にか距離を置いていたとの事。だから私はその僅かな期間だけ孤独を感じていて、必然的に好きな人とも会話がなくなってしまっていた。

そういう状態のままこの世界に入って今に至ってる訳だから、恋愛の『れ』すら経験した事がない。そう。俗にいう『処女』だ。逆にメンバーの中には、所謂『経験者』というのがシェリミキと嬉々がある。これは丁度rainbowが発足して僅かな時にネットで晒されていた。

しかし会社の意向としては、『モープロに所属してから』を言うから別に何も言わなかった。まぁ、こういった感じで『印象を悪くする為の暇な輩」みたいなのは必ずあるっぽいので、会社もそうだが、本人にも気にしない様にと言っている。
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