上 下
111 / 150
式場パンフレットの完成試作

第4話

しおりを挟む
何故そこまで恋愛に執着しているかは別にして、確かに新高さんの言う通りだ。アイドルとはいえ中身はただの人間で、過去に何度も言っている様に、アイドルという仮面を脱げば、その辺にいる普通の女子高生で恋愛に興味無い訳はない。我々が独自でやっている握手会での『イケメン探し』。これも実際は異性に興味あるからこそ、密かな楽しみになっている訳である。

入った当初では感じなかったこの感情。アイドルという言葉1つに、人として必要な『恋愛』を捨てないといけないのは中々の苦である。勿論、中には本当に恋愛興味ゼロの人もいるだろう、だが私は違う。普通に恋愛したいしデートもしたい。だから今、彼氏となっている西くんが存在する。寧ろ、大好きな人がいるからという理由でモチベーションが上がるから、全体的なパフォーマンスも向上してる。

現に今回の新曲に関しては、今までにないくらいの出来と自分でも思う。これは今の恋愛事情と重なる部分もあったりするからであろう。だからあながち恋愛は悪い事でななく、寧ろプラスに動くと私は思う。よって新高さんの意見は賛同できる。ただ…


「どうしてそこまで恋愛に拘るんです?」

私は内容より、どうしてそこまで恋愛に執着を持つのかを尋ねた。すると新高さんはこう答えた。

「拘ってる訳ではないんだけど、ここだけの話、私こう見えて若い頃は地下アイドルをやってたのよ?」

「え!そうだったんですか!?」

「うん、まぁその恋愛のせぃで3年という短い期間だったんだけどね」

話を聞くに新高さんはその恋愛が関係していて、元々恋愛禁止なアイドルではなかったらしく、それもあって新高さん自身がスタッフに対して片思いしている所から始まった。いつの日かその人と付き合う事が出来た‥のは良いんだけど、誰だが分かんないけどそれが良く思わない人がいたらしく、ありもしない噂を立てたりとちょっとした問題になっていた。

これ以上続けると他の方に迷惑が掛かるという事で新高さん個人と会社で会議になった。ただその会議は明らかに新高さんが非がある様な言い方で、その時ははっきりと言われなかったそうだが、新高さん自身は丸で「別れろ」と言われている様だったと語る。ただ当時の新高さんはアイドルよりも恋愛だったので、新高さんが自棄になって「要は恋愛を続けたいなら辞めれば良いんですよね?じゃー喜んで辞めます!」と言ってその一週間後に退職。まぁ表上は『新しい夢が出来た為に卒業』って事になったらしい。

「‥今となっては当時の彼氏が旦那になっちゃってるし、元々アイドル時代に趣味でやっていた写真撮影が1つの写真集としてなったのが切っ掛けで、今は写真家になってるんだけどね…、話は逸れたけど、要はアイドルとはいえ1人の人間。恋の1つや2つしちゃうもんだからね。だから、私がこうだからって言うつもりはないんだけど、今の子達にはアイドルは勿論、普通に恋愛して欲しいんだよね。まぁ、私がそう願った所で何の意味もないんだけど(笑)」

そう新高さんは笑顔で言った。
しおりを挟む

処理中です...