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ここまでのあらすじ。1話~10話

第2話

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 そんな新曲の関係で仕事尽くしだった為、1週間の休日を得ての仕事始め。今回は以前に式場パンフレットの撮影でお世話になった新高さんの仕事の一つでもある、旅行雑誌とrainbowのコラボでとある観光地の最新版を作るべく、地元の潤城駅に来ていて、ここから職場の最寄り駅に当たる『茶水駅』に向かう。因みに新高さんの案で私が選ばれた。電車が来ると西がすでに乗車しており、

「隣、来ますか?」

そう言った。実は今回の話の前にパンフレット撮影の出来具合を確認する日があったんだが、その際に恋愛相談をしていた。その時に新高さんもアイドル経験があるんだけど、恋愛で滞在出来なくなった過去の持ち主でもあった。それもあり、新高さんの仕事の契約に契約に『仕事を受けた被写体の個人情報を漏らしてはいけない』という事を信じ、上原と西との関係を話した。その中であまりデートが出来ていない事を話したら、なんと西も新高さんに相談しており、同じデートが出来ていない事を話しており、今回の仕事兼、デートが実現された。

目的地の蕾山神社商店街に着く。商店街の奥には蕾山という神様が住んでいるという言い伝えがある小さな山があり、神社が建っている。そこに向けて気持ち坂道に続いており、山の入り口には鳥居が立っている。坂道になっているので鳥居がはっきりと見える。そこに行くまで約200mの道のりに商店街がづらりと連なっている。

デート兼、仕事をこなしていると、そこにクルミン事、江原玖瑠実が友人を連れてこの商店街に遊びに来ていた。江原も含め、メンバーには勿論、今回の事は伝えていたが、場所までは伝えていなかった。そこに偶然席を外していた西が戻って来て江原の存在に気付く。又、江原自身も西の存在に気付いており、なんと初めてrainbowの握手会に来ていた事を知っていた。私はパンフレットの出来具合を見に行った際、撮影時に撮った記念撮影写真を持ち帰り、その写真をメンバーに見せた時、全員握手会に来た人とは話題になっておらず、てっきり気付いていないと思っていた。ていうか、西が上原推しでもある為、変に疑われるのも面倒だから、敢えて言わない事にしていた。だが、江原は握手会に来ていた人というのを気付いていた。と言っても、江原はrainbowのリーダーでもある為、人よりも気遣いや記憶力などが優れている。多分今回もそれで覚えていたと思われるが、流石に半年前の出来事だった為、忘れていると油断していた。その江原と西との会話の中で

「彼女はいるんですか?」

そう江原が聞いてきた。その答えに西は

「えっと…居ないわけではないんですが…まぁ仕事ですから、その…彼女も俺が咲良さんのファンというのは知っていて理解があるので大丈夫です。”折角の推しとの仕事だから行ってきな”って」

そう言う西。丸でこれを想定したかの様な完璧な受け答えだった。上原はこれ以上立ち往生していると根掘り葉掘り聞かれてしまうと不味いと思い、逃げる様に西の袖を引っ張り、その場を去った。その後、完全に出る幕を失っていた新高さんが来て事情を説明する。取り敢えずバレなかった事に胸を撫で下ろすが、上原には気掛かりがあった。それは先程も言った通り、江原が気遣い等ができ、メンバーの変化にいち早く気付くからだ。上原がそう嘆いていると西は、

「うーん、まぁ付き合っている事は間違いないけど、仕事で来ているのも間違いないし、取り敢えずここは今まで通り撮影に取り組みましょう」

そう言って仕事を続けるが、正直、江原に対しての意識が強過ぎて仕事(デート)所ではなかった。そして撮影は終了し、最後に神社の恋みくじを引くことになった。そこで出たのは上原と西共に半吉という結果。気になる内容は先ず上原。

『楽しむ程度なら吉』

現状の恋愛は吉。しかし、今は充実して楽しいと思うが現を抜かさず、現状はそのままにしておいた方が吉という事だった。一方の西は

『茨の道です』

現状の恋愛は吉。しかし、相手が厄介な事になり得る可能性があり、乗り越える壁が大きいという事だった。なんだかこの先を悟っている様な内容に流石に怖くなった。そしてそのみくじを持ち帰る事になり、商店街を後にした。
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