キミと痛みはどうやらセットらしいよ?

あんみつ~白玉をそえて~

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キミの香りと胸の痛みと【ノーマルエンド】

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 でも、やっぱり俺には無理だったみたいだ。

 祝福のベルや人々の笑い声が遠くから聞こえる。皮肉なくらいの晴天、まるで空ですら二人を祝福しているかのようだ。芝生に上にゴロリと寝転がって、雲ひとつない空を見上げる。あいつたっての希望で、結婚式は外で行われることになった。

「あ、やっと見つけた! 来たら声かけろって言っただろ?」

 太陽を背に俺を覗き込む彼の顔は、逆光で見えない。でもこいつの表情は、声からも、仕草からも、容易に想像できた。俺の大好きなあのくしゃくしゃな顔で、笑ってるんだろ? なあ、俺にはお前が、眩しすぎるみたいだ。俺の太陽、俺の救い。壊せなかったよ。全部を壊して始める勇気なんて、俺にはなかった。何かが始まるって、信じられなかった。けど、だから俺はお前に惹かれたのかな。無鉄砲で、後先考えないお前。未来を自分の手で作れるお前。
やれやれといった顔を作りながら、ゆっくりと立ち上がる。

「……はいはい、すみませんでした……っておい、なんか頭についてるぞ。ったく、式始まる前から新郎様がそんなで大丈夫か?」
「えっマジか。全然気づかなかった」

 わしゃわしゃと、まるで犬のように自身の頭をかく。そんな些細な仕草一つですら、俺にはどうしようもなく愛おしく思えてしまうのだから、もうどうすればいいのか。

「ああーもうほら、変に触るなって。せっかく綺麗に整えてもらったんだから……ほら、俺が取ってやるから」

 じゃあ頼むぞ! と俺を見上げるその瞳は、俺への信頼で満ちていた。ふと、それに腹が立って。でも、同時にそれがすごくすごく嬉しくって。気づけば、俺はこいつの髪に唇を押し当ててた。ああ、どうして今更。ずっとずっと、我慢してたのに。一度だって、その間違いだけは犯さなかったのに。甘い匂い。魅惑的で俺の心をかき乱すお前の香り。ああ、好きだ。好きだ。お前が好きだ。どうしようもなく好きなんだ。この想いは誰にだって漏らさないから、誰にだって触れさせないから。せめて持っていることだけは、許してくれよ。なあ、なあ。

「……よし、とれたぞ」

 ありがとな、と照れたように頬をかく君の姿を、きっと俺は一生忘れない。抗いようのないこの胸の痛みと共に。
そう、ずっと、共に。
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