映画感想 十月

犬束

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袋小路

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滑稽で奇っ怪 または奇っ怪さが滑稽



 相変わらず、音楽はいいし、モノクロの画面も美しい。最初に観た時は、ゴタゴタと揉めてつまらない、でも海辺の古いお城は素敵。とくに散らかった様子が。くらいの感想でした。とりあえず、話の筋がよく理解出来なかったわけです。
 何が起こっているのか分からなければ、登場人物達の言動も意味が分からず、まあ、退屈でしかない、と、二度目の鑑賞で思いました。
 設定と主要な人物は、『水の中のナイフ』と似ていて、ブルジョワの夫婦と招かれざる侵入者。舞台は満潮になると島の外に出られない古城。つまり閉じられた空間。
 『水の中のナイフ』で、ヨランタが活き活き活動していたのと同じように、今作でもフランソワーズ・ドルレアックが威勢が良く、奔放で、美しくて、うっとりする。ずっと年上の、風采の上がらない夫と、あんな田舎の孤島で隠遁生活を送らせるのは、もったいない。
 その夫は、『大脱走』『007は二度死ぬ』『刑事コロンボ』の名作『別れのワイン』等で印象深いドナルド・プレサンス。全くもって、気の小さい男を演じています。
 二人の暮らすお城に押し入るギャングがライオネル・スタンダー。ケガをして車に残した相棒共々、凄みを効かせる割に、頓馬な感じなんですよ。夫婦を人質に取っているのに、お客が訪ねて来ると、素性がバレないように使用人のフリをするなど。
 軟禁状態であっても、スリリングではなく、言動がトンチンカンで。人間は滑稽なものではあるのでしょうけれども。ビザール(褒め言葉)フィルム、と呼んでおきます。
 本音としては、ポランスキーの作品とは、あまり相性が良くはないっぽい気がします。

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