小説練習帖 九月

９月７日（水）

お料理仲間

　大粒の栗のぎっしり詰まった箱が　親戚から送られてきた　栗拾いに行って　ハッスルしたらしい
　家の者が　茹でて　半分にカットして　スプンで中をすくって　クリームと砂糖を混ぜて　モンブランケーキみたいに　ぐるぐる搾りたい　と　いいだしたので　任せることにした
　仕事から帰ると　ほかほかで　つやつやの　茹であがった栗が　籔ざるに入れられ　テーブルに置かれていた　どうしてだか　テーブルには小さな木のまな板とナイフも　四つ並んでいる
　家の者に質問する前に　そっと窓が開き　コアラが入ってきた　右手にスプンを持ち　胸に赤ちゃんを抱っこしている　家の者と目礼しあい　まな板のそばに坐った
　すると　次のコアラがやってきて　同じくテーブルに坐り　そして　次のコアラも現れた
　家の者と　赤ちゃんを抱いたり　おんぶした三匹のコアラとは　黙ったまま　穏やかに　栗を切って　中身をすくい始めた