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シュークリーム
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美少女三人組は「プチバトル」のようにあっさり終わらせていたが、俺にとっては人生初の、命がけの一大バトルだった……撮影以外、特に何にもしていないけど。
ごくあっさり、午前中の簡単なお仕事を終わらせたような様子で、彼女たちは館へと戻っていく。俺もそれについていった。
館では、三人は食堂でアイゼンに戦いの様子を報告しようとしていたが、俺が動画を撮っていることを報告すると、それを見た方が手っ取り早いということになり、アイゼンがそれを確認する。
画面が小さいので彼にしか詳細は見えないようなのだが、それでも大体の状況は分かったようだった。
「……うむ、皆、強くなったな。簡単にこなしているように見えるが、三年前なら、この数のスライムだと大苦戦していたじゃろう」
「えっ……私たちって、そんなに弱かったのですか?」
エルフのソフィアが意外そうに口にした。
「そうじゃな……いや、ソフィアは剣ではまだ戦えたかもしれんが、当時は弓の精度が悪かった。それがこの『エイゾウ』を見る限り……」
なんか、俺の撮影した情報が役に立っているようでちょっと嬉しい。
あとの二人も真剣に聞いているが、俺にはよくわからないので、持ち込んでいたシュークリームをリュックから取り出し、並べた。
まだ個別包装の袋に入ったままだったが、目ざとくそれに気づいたシルヴィが、耳をピコピコ動かしたので、他の三人もこちらをじっと見て、無言になってしまった。
「あ、すみません、邪魔をするつもりはなかったのですが、話が終わったら皆さんで食べてもらおうと思って……」
「そんなものを見せられては、集中できんじゃろう……毎度すまんのう。まだ昼前じゃが、まあ、構わんじゃろう……ミク、お茶を入れてくれるか?」
「……かしこまりました」
アイゼンの言葉に、シルヴィはしっぽを振って満面の笑みを浮かべ、ソフィアもほっとしたような、嬉しそうな顔になり、ミクは相変わらず無表情だった……うーん、ひょっとして仕事を増やされて怒っている?
「……ミクも、嬉しそうですね……やっぱり、ニホンの食べ物、おいしいですからね……」
シルヴィがそう解説してくれた……あれで嬉しそうなんだ。
コンビニのスイーツとはいえ、ケロリーメルトと違って本格的なお菓子だ。その反応が気になったのだが……。
「……これは、まるで別世界の食べ物です! あ、別世界の食べ物でしたね!」
シルヴィは、ちょっと意味不明の表現で絶賛してくれるが、たぶん相当な誉め言葉なのだろう。
「確かに……これは想像を絶する味だ……昨日食べた焼き菓子より甘く、柔らかく、口の中でとろけるようだ……外側の衣も、内側の甘いのも……」
ソフィアも驚愕の表情で、それ以上言葉が続かない。
「……昨日のよりおいしい……」
ミクはやっぱり表情を変えないが、言葉から察するに、喜んでいるのだろう。
「ふうむ……確かにうまい上に、栄養もありそうじゃ。特に戦った後の甘いものは体にもよさそうじゃ」
「そうですけど、あまり甘いものを食べすぎると太りますよ」
さりげなく俺が言った一言に、女性陣三人はピクリ、と動きを止めた。
「同じ量を食べたなら、野菜よりも甘いものの方が確実にカロリー……栄養価が高いので。まあ、今回持ってきた『シュークリーム』程度なら大丈夫だとは思うけど、それでも毎日食べるのは控えた方がいいかな」
うーん……みんな微妙な表情になってしまった……。
とりあえず、この日はスライムとの戦いの様子、それも電撃魔法を使うという非常に貴重な動画を撮影できたので、俺としては満足して、早々に元の世界に帰ることにした。
まだ昼過ぎぐらいだったので、近所の定食屋で昼飯を食べてアパートに帰り、トゥイッターを確認してみると……前日でも驚異的な反響だったのに、その倍以上のリツイートやコメントで溢れていた。
その内容も、単なる驚きではなく、シルヴィの正体について、まるで推理小説の犯人を予想するかのような深い考察に満ち溢れていた。
ごくあっさり、午前中の簡単なお仕事を終わらせたような様子で、彼女たちは館へと戻っていく。俺もそれについていった。
館では、三人は食堂でアイゼンに戦いの様子を報告しようとしていたが、俺が動画を撮っていることを報告すると、それを見た方が手っ取り早いということになり、アイゼンがそれを確認する。
画面が小さいので彼にしか詳細は見えないようなのだが、それでも大体の状況は分かったようだった。
「……うむ、皆、強くなったな。簡単にこなしているように見えるが、三年前なら、この数のスライムだと大苦戦していたじゃろう」
「えっ……私たちって、そんなに弱かったのですか?」
エルフのソフィアが意外そうに口にした。
「そうじゃな……いや、ソフィアは剣ではまだ戦えたかもしれんが、当時は弓の精度が悪かった。それがこの『エイゾウ』を見る限り……」
なんか、俺の撮影した情報が役に立っているようでちょっと嬉しい。
あとの二人も真剣に聞いているが、俺にはよくわからないので、持ち込んでいたシュークリームをリュックから取り出し、並べた。
まだ個別包装の袋に入ったままだったが、目ざとくそれに気づいたシルヴィが、耳をピコピコ動かしたので、他の三人もこちらをじっと見て、無言になってしまった。
「あ、すみません、邪魔をするつもりはなかったのですが、話が終わったら皆さんで食べてもらおうと思って……」
「そんなものを見せられては、集中できんじゃろう……毎度すまんのう。まだ昼前じゃが、まあ、構わんじゃろう……ミク、お茶を入れてくれるか?」
「……かしこまりました」
アイゼンの言葉に、シルヴィはしっぽを振って満面の笑みを浮かべ、ソフィアもほっとしたような、嬉しそうな顔になり、ミクは相変わらず無表情だった……うーん、ひょっとして仕事を増やされて怒っている?
「……ミクも、嬉しそうですね……やっぱり、ニホンの食べ物、おいしいですからね……」
シルヴィがそう解説してくれた……あれで嬉しそうなんだ。
コンビニのスイーツとはいえ、ケロリーメルトと違って本格的なお菓子だ。その反応が気になったのだが……。
「……これは、まるで別世界の食べ物です! あ、別世界の食べ物でしたね!」
シルヴィは、ちょっと意味不明の表現で絶賛してくれるが、たぶん相当な誉め言葉なのだろう。
「確かに……これは想像を絶する味だ……昨日食べた焼き菓子より甘く、柔らかく、口の中でとろけるようだ……外側の衣も、内側の甘いのも……」
ソフィアも驚愕の表情で、それ以上言葉が続かない。
「……昨日のよりおいしい……」
ミクはやっぱり表情を変えないが、言葉から察するに、喜んでいるのだろう。
「ふうむ……確かにうまい上に、栄養もありそうじゃ。特に戦った後の甘いものは体にもよさそうじゃ」
「そうですけど、あまり甘いものを食べすぎると太りますよ」
さりげなく俺が言った一言に、女性陣三人はピクリ、と動きを止めた。
「同じ量を食べたなら、野菜よりも甘いものの方が確実にカロリー……栄養価が高いので。まあ、今回持ってきた『シュークリーム』程度なら大丈夫だとは思うけど、それでも毎日食べるのは控えた方がいいかな」
うーん……みんな微妙な表情になってしまった……。
とりあえず、この日はスライムとの戦いの様子、それも電撃魔法を使うという非常に貴重な動画を撮影できたので、俺としては満足して、早々に元の世界に帰ることにした。
まだ昼過ぎぐらいだったので、近所の定食屋で昼飯を食べてアパートに帰り、トゥイッターを確認してみると……前日でも驚異的な反響だったのに、その倍以上のリツイートやコメントで溢れていた。
その内容も、単なる驚きではなく、シルヴィの正体について、まるで推理小説の犯人を予想するかのような深い考察に満ち溢れていた。
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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