異世界傭兵の救国記

える

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プロローグ

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「今日の相手は…なかなか手強いな… でもその分やり甲斐がある!」

 部屋の片隅でPCと睨めっこをしている俺は桐生 仁、21歳の大学生3年生で実家を出て一人暮らしをしている。

「よし、攻め込んでやるか…!」

 …で、なにをしているかというと、簡単に言えばオンラインゲームだ。

 『Tale of Messiah Online』、通称TMOという名のMMORPGで、自由度が高いことを売りにしているゲームだ。広大なマップ、重厚感のあるストーリー、ギルド単位でのモンスター討伐、他のプレイヤーとのコミュニティ、毎月行われるイベントなどプレイヤーを飽きさせぬたくさんの要素があり、リリースされて5年以上経過しているがユーザーは増える一方で、現在日本だけでも500万人近くの人達がプレイしている。

 リリースされた当時、俺は高校に入学したばかりだったがこのゲームに魅せられてすぐに始めた。いわゆる最古参プレーヤーだ。

 このゲームはタイトルの通り、救世主となって自分が選択した国を強大にしていくというストーリーがある。どこかの国に属し、兵士から始め最終的には英雄となれる。
 しかし、俺はどこの国にも属さず『傭兵』というジョブを選んだ。
 『傭兵』は各国のストーリークエストを進めることはできないが代わりに高難易度のクエストを受注しやすい。そして何より得られる経験値と報酬が普通より多い。
 ギルド単位での対人戦やモンスター討伐を好む俺としてはまさにうってつけのジョブだった。

 こうして俺はストーリーを進めることなくただひたすらに強さを求めて毎日プレイしていた。

 こういうゲームに課金は付き物で、俺も既にバイト代を注ぎ込んで何十万もの額を入れている。ギルドのメンバーも俺と同じ様な人達で、重課金勢が多かった。そのため俺の所属していたギルドは瞬く間に強くなり、一時期は最強ギルドとして君臨していたこともあった。

 時は過ぎ、同じギルドのメンバー達もリアルの忙しさを理由に辞めていく者や隠居する者が増え、最終的にギルドには俺だけが残った。
 かつて最強を誇り、数々のイベントを制覇してきたこのギルドでも一人で残るのは寂しく思い、このギルドを出て他のギルドに短期で戦力として雇ってもらい報酬を得る、自身のジョブと同じ傭兵稼業をしていた。

 最強ギルドの一員として活動していた俺は気づけばレベルはカンスト、スキルやアビリティも全制覇しており既にトッププレイヤーの一人だった。
 そのためギルドを出た後もたくさんのギルドから勧誘された。現在最強ギルドだったり、昔よく対戦していたギルドだったり、発展途上のギルドだったり…

 そんなギルドを転々としてきて、今はかつての知り合いがマスターをしているギルドに世話になっていた。

「よし!今日も勝ち!」

 無事に対人戦に勝利し、チャットで一言、「お疲れ様!」と入力した。

「そういえば今日でここも1ヶ月か… 楽しかったけどまた別の所に行くか…!」

 そう決めて、ギルドバトルの報酬を受け取り別れの挨拶をチャットで済ませた後、ギルドを脱退した。

「次はどんな所へ行こうか…」

 久しぶりに発展途上のギルドのお手伝いでもするか… そんなことを考えながら勧誘待ちをしていた。

「…ん?」

 たくさん来る勧誘の中で一つ、目を引くものがあった。

『JIN様、どうかこの国をお助けください』と短い文章。よく勧誘に使われる定型文でもなく、わざわざ俺のプレーヤーネームである”JIN”と入れて、しかもこの”ギルド”ではなく”国”と書かれていることが違和感を覚える。
 普通なら迷惑メールの類として流す様なものかもしれないが今回はどうしてか興味が湧いた。

「とりあえず入るだけ入ってみるか」

 興味本位でギルドへ加入のボタンを押した時だった。突然一面は白い光に包まれ、俺の意識は遠のいていった…
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