厨二病には荷が重い！

第1章

入学式への道のり

国王を見返すと決意してから一週間が過ぎました。

今日はなんの日かみんなは知ってる？

私の入学式だよ蓄生。

悲しい気持ちを紛らわす為に空を見上げた。

目も眩むような快晴。

雲なんて一つもない。

まるで私の心と反対だ。

いや、恐らくここ学園に来る生徒たちはみんなこんな気持ちなんだろう。

天気までが多数決で決まるとは。

そこは勇者とみんなから言われる私に合わせて貰いたいものだが。

そういえば天気はいつも私の心と真逆を行っていたな。

悲しみを紛らわす為に見上げた空なのに、寧ろ悲しくなって来るだなんて。

それにしても、まるでアニメやゲームの入学式みたいな光景だ。

綺麗な空に、桜の花が舞う。

ん？桜？

私は暗い気持ちにさせた空を見ないために下げかけた頭を思い切り上に戻した。

なんか首からおかしな音が鳴ったが気にしない。

そうして周りを見てみると、沢山ともいえないが一
応あるなという位の数の桜の花が舞っていた。

とりあえず私はその中で目についた花びらをキャッチした。

もっと近くにも花びらがあった気がするが、気にしない。

恐らくまだ後ろで舞っているであろう花びらに対し
て、心の中でそう付け足しておく。

キャッチした花びらはこの掌の中にある。

何故かドキドキする心を抑えながらも、花びらを見る。

その花びらはぐしゃりと歪んでいたが、形は日本の桜と同じだった。

だが、色が少しだけ違っていた。

中心が赤色で、そこから薄まるように桃色が広がっ
ているのはいいのだ。

ただ、雄しべと雌しべの部分が紫色という配色なのだ。

期待していただけあって残念だ。

よし、これからはこの花を桜もどきと呼ぼう。

そんなことを考えていると目の前で人が転んだ。

その子は肩までのふわふわした桃色の髪に、当たり前だがこの学園の制服を着ていた。

ヤバイな、もしかして私が桜もどきの確認をしていたのを見られたのか？

それにしても小動物みたいな雰囲気で可愛いな。

転んだけど、怪我はしていないかな。

というかこういうヒロインみたいな子が転んだ時って、王子様みたいな無駄にキラキラした奴が来るんじゃないっけ。

そんでもって｢大丈夫ですか？お嬢さん｣的なことを言うんだよ。

発想が古いかな？

でも周りにはそんなキラキラした人間っぽくない奴は居ないしな。

どうすんだこの子。

…とりあえず助ければいいのか？

いや、ここは華麗にスルーをするか。

どちらにしようかな。

………

決めた！

もうかなり時間が経っているから、今助けても微妙だしスルーしよう。

きっと君みたいな可愛い子には、無駄にキラキラしたカッコいい人が助けてくれるよ。

それまで頑張ってね。

アデュー!!