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第1章・『姫君を狙う者』:ウィーテネ編
#20. 姫様の呪い
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『我が?好きに?そんな必要は無い!何故あんな呪い持ちなんかうお───っ!』
副騎士団長の顔を見て、途中まで開き掛けていた口を閉じる。
『ふんっ!これは互いの利益の為だ。跡継ぎの居ないこの国を我が収めてやると言って居るのだ!』
「姫様への好意は一切無いのですか?」
『我々王族に恋愛など必要無い』
毎日のアプローチは一体何のつもりだろうか?
そもそも国が無ければ王族でも何でもないのだが。
『ケイナリ、帰るぞ!!』
王子は従者を連れて城の方へと向かった。
『やっと帰ったか……次は私が相手になってやる』
すると今度は後ろから副騎士団長のイルァが声を掛けて来る。
正直疲れたからもう終わりにしたい。
「『呪い持ち』とは何なんですか?」
『お前が知る必要の無い事だ……』
ミハイリパイセンも似た様な事を言っていたのだが、結局教えてはくれなかった。
「……では姫様に直接聞いてきます」
訓練をサボる口実に姫様の元へ向かおうとした所を副騎士団長に後ろから頭を鷲掴みにされてしまう。
一般男性と比べるとあまりにも小さいその手で被っている兜ごとアイアンクローを食らわされる。
「アタイ裸体死体見たい対裸体屋台したい部隊対」
被っている兜は形を変え頭の形を象ろうとしている。
「──────ダークライッ!!」
多分、握りつぶされる-1秒程前に手を離してもらえたのだろう。
少し頭の形が変わっただけで済んだ。
「本人に聞かないですから教えて下さいよ……手に力入れるのは止めて下さいよ」
『姫様は非補助魔術のみが扱える』
「……ひぃ、ほじょまじゅつうぅ?」
気になった部分をゆっくりオウム返しする。
『相手の魔力や筋力、身体能力などを一時的に低下させる魔術だ』
所謂デバフと言うやつだ。
『だが、姫様はその魔術の制御がままならないのだ。その為周囲の人間を巻き込んでしまい、呪い持ちとして勘違いされている』
「……」
『勿論呪い持ちである事を否定しているが周囲はそれを信じて居らず良くない噂が流れている』
「……」
『言葉を失う気持ちも分かるが、姫様の事を決して恐れないでもらいたい。姫様は普通の人間なんだ……』
「……のろいもちって、なあぁにぃ?」
一瞬知ったかぶろうかと悩んだが、どうやら能力下降が原因では無く『呪い持ち』と言うのに意味があるみたいだ。
『……本来魔法と言うのは悪魔やエルフなど人間以外の種族が扱える術だった』
この国には魔法騎士団と言われる部隊が存在する事からも魔法は人間にと使える事が伺える。
『始まりの勇者が魔王を倒した時魔王の魔力を大量に浴びてしまった勇者は魔法を扱える身体に呪われてしまったと言う』
それが呪い持ちだとすると目の前の彼女も忌み嫌われて居るのだろうか?
正直そんな風には見えなかった。
姫様だけが特別避けられている気がする。
『その勇者は世界を救った事で国を収め王になった。勇者の子孫達も又魔力を持ち生まれて来る様になった』
勇者以外にも呪いの影響が……。
『自分達の国でも魔法を使える者を増やしたいと思い、勇者の血を求め各国の王族が勇者の子孫との婚姻に名乗り出た』
こうして各国の王族に魔力が宿り始めたのか。
『こうして各国の王族に魔力が宿り始めた』
頭で考えた事と全く同じ事言ってるよ……。
『だが、稀に王族とは関係無い人間にも魔力を宿して生まれて来る者が居る』
それは隠し子とかじゃ無くて?
『いいや、王族の血縁者では決して無い人間だ』
今、口に出して無かったよね?質問したっけ?
『その者は昔から悪魔の生まれ変わりと言われ』
もしかして魔法で心読めるのこの人?
そうだったら何か言ってみて下さい!
『今では「呪い持ち」と呼ばれている』
「えぇぇぇ!?嘘っ!?」
心の声の返事が帰って来てつい驚いてしまった。
『驚くのも無理は無い。呪い持ちの特徴として人間の身体ではとても扱え着れず魔法が暴発する特徴がある』
では姫様は悪魔の生まれ変わりだと思われて居るのですね?
『それ故に周りの人間は姫様の事を悪魔だと勘違いしているのだ』
だからオレの言葉にオウム返ししなくても良いですって!!
『魔法が制御できて無いだけなんだ。貴様は姫様を悪魔だなんて思うまい?』
どちらかと言うと貴女の方ぐあっ!違う!副騎士団長様が悪魔だなんて思って無くて!今悪魔って思ったのは思ったんじゃなくて違いますよって意味で考えた訳で───。
『おい!さっきから黙って無いでなんとか言え!』
「…………ふぇ?」
『「なんとか言え」とは言ったが適当に答えるな』
「あれ?心の声読んでる訳では無くて?」
『何を言っている。私がそんな魔法使える訳無いだろう』
「なんだ……脅かさないで下さいよ!」
『えっ!?』
「つまり姫様はどこにでも居る普通の女の子って事ですね?」
『いやっ、この国のお姫様だ!』
「でも、本当は一般兵とも仲良くなりたいけどあえて距離を取り突き放す事で相手を守っているそんな女の子なんですね?」
『貴様何を言っ───』
「姫様ぁあ!!!ずっと見てるだけでは退屈でしょう?何か一緒に身体動かしましょうよ!!」
『えっ───!?』
姫様のデバフは身体能力を下げる事よりも大きな問題があった。
姫様の元まで駆け付けたオレは座ってる彼女の手を取り立ち上がらせた結果───他の騎士の弾かれ飛んで来た剣が頭に激突したのだった。
剣の切っ先部分では無く柄の部分だったのが不幸中の幸いだ。
彼女のデバフ魔法は幸運値も左右するそうだ。
副騎士団長の顔を見て、途中まで開き掛けていた口を閉じる。
『ふんっ!これは互いの利益の為だ。跡継ぎの居ないこの国を我が収めてやると言って居るのだ!』
「姫様への好意は一切無いのですか?」
『我々王族に恋愛など必要無い』
毎日のアプローチは一体何のつもりだろうか?
そもそも国が無ければ王族でも何でもないのだが。
『ケイナリ、帰るぞ!!』
王子は従者を連れて城の方へと向かった。
『やっと帰ったか……次は私が相手になってやる』
すると今度は後ろから副騎士団長のイルァが声を掛けて来る。
正直疲れたからもう終わりにしたい。
「『呪い持ち』とは何なんですか?」
『お前が知る必要の無い事だ……』
ミハイリパイセンも似た様な事を言っていたのだが、結局教えてはくれなかった。
「……では姫様に直接聞いてきます」
訓練をサボる口実に姫様の元へ向かおうとした所を副騎士団長に後ろから頭を鷲掴みにされてしまう。
一般男性と比べるとあまりにも小さいその手で被っている兜ごとアイアンクローを食らわされる。
「アタイ裸体死体見たい対裸体屋台したい部隊対」
被っている兜は形を変え頭の形を象ろうとしている。
「──────ダークライッ!!」
多分、握りつぶされる-1秒程前に手を離してもらえたのだろう。
少し頭の形が変わっただけで済んだ。
「本人に聞かないですから教えて下さいよ……手に力入れるのは止めて下さいよ」
『姫様は非補助魔術のみが扱える』
「……ひぃ、ほじょまじゅつうぅ?」
気になった部分をゆっくりオウム返しする。
『相手の魔力や筋力、身体能力などを一時的に低下させる魔術だ』
所謂デバフと言うやつだ。
『だが、姫様はその魔術の制御がままならないのだ。その為周囲の人間を巻き込んでしまい、呪い持ちとして勘違いされている』
「……」
『勿論呪い持ちである事を否定しているが周囲はそれを信じて居らず良くない噂が流れている』
「……」
『言葉を失う気持ちも分かるが、姫様の事を決して恐れないでもらいたい。姫様は普通の人間なんだ……』
「……のろいもちって、なあぁにぃ?」
一瞬知ったかぶろうかと悩んだが、どうやら能力下降が原因では無く『呪い持ち』と言うのに意味があるみたいだ。
『……本来魔法と言うのは悪魔やエルフなど人間以外の種族が扱える術だった』
この国には魔法騎士団と言われる部隊が存在する事からも魔法は人間にと使える事が伺える。
『始まりの勇者が魔王を倒した時魔王の魔力を大量に浴びてしまった勇者は魔法を扱える身体に呪われてしまったと言う』
それが呪い持ちだとすると目の前の彼女も忌み嫌われて居るのだろうか?
正直そんな風には見えなかった。
姫様だけが特別避けられている気がする。
『その勇者は世界を救った事で国を収め王になった。勇者の子孫達も又魔力を持ち生まれて来る様になった』
勇者以外にも呪いの影響が……。
『自分達の国でも魔法を使える者を増やしたいと思い、勇者の血を求め各国の王族が勇者の子孫との婚姻に名乗り出た』
こうして各国の王族に魔力が宿り始めたのか。
『こうして各国の王族に魔力が宿り始めた』
頭で考えた事と全く同じ事言ってるよ……。
『だが、稀に王族とは関係無い人間にも魔力を宿して生まれて来る者が居る』
それは隠し子とかじゃ無くて?
『いいや、王族の血縁者では決して無い人間だ』
今、口に出して無かったよね?質問したっけ?
『その者は昔から悪魔の生まれ変わりと言われ』
もしかして魔法で心読めるのこの人?
そうだったら何か言ってみて下さい!
『今では「呪い持ち」と呼ばれている』
「えぇぇぇ!?嘘っ!?」
心の声の返事が帰って来てつい驚いてしまった。
『驚くのも無理は無い。呪い持ちの特徴として人間の身体ではとても扱え着れず魔法が暴発する特徴がある』
では姫様は悪魔の生まれ変わりだと思われて居るのですね?
『それ故に周りの人間は姫様の事を悪魔だと勘違いしているのだ』
だからオレの言葉にオウム返ししなくても良いですって!!
『魔法が制御できて無いだけなんだ。貴様は姫様を悪魔だなんて思うまい?』
どちらかと言うと貴女の方ぐあっ!違う!副騎士団長様が悪魔だなんて思って無くて!今悪魔って思ったのは思ったんじゃなくて違いますよって意味で考えた訳で───。
『おい!さっきから黙って無いでなんとか言え!』
「…………ふぇ?」
『「なんとか言え」とは言ったが適当に答えるな』
「あれ?心の声読んでる訳では無くて?」
『何を言っている。私がそんな魔法使える訳無いだろう』
「なんだ……脅かさないで下さいよ!」
『えっ!?』
「つまり姫様はどこにでも居る普通の女の子って事ですね?」
『いやっ、この国のお姫様だ!』
「でも、本当は一般兵とも仲良くなりたいけどあえて距離を取り突き放す事で相手を守っているそんな女の子なんですね?」
『貴様何を言っ───』
「姫様ぁあ!!!ずっと見てるだけでは退屈でしょう?何か一緒に身体動かしましょうよ!!」
『えっ───!?』
姫様のデバフは身体能力を下げる事よりも大きな問題があった。
姫様の元まで駆け付けたオレは座ってる彼女の手を取り立ち上がらせた結果───他の騎士の弾かれ飛んで来た剣が頭に激突したのだった。
剣の切っ先部分では無く柄の部分だったのが不幸中の幸いだ。
彼女のデバフ魔法は幸運値も左右するそうだ。
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