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2.ふたりの「父」
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俺の名前はカバレロドラド(Caballero Dorado)だ。この名前は、スペイン語で「黄金の騎士」を意味する。親父の名前に「ゴールド」という単語がつくところからの連想で、この名がつけられた。
俺は北海道日高のサラブレッド生産牧場で産まれた。母馬は今の俺と同じ大きな芦毛馬で、さらに母方の祖父は名門牧場出身の名馬だった。おふくろから乳離れした後は、人間社会における小中学校に相当する施設である育成牧場で、他の子馬たちと一緒に育てられた。
そして、デビュー戦の数か月前に、あの大地震が起こった。人間界では、インターネット回線がマトモに働かない状況だったらしく、どんなサイトにアクセスしようにも出来ない状況にいらついた人間は、少なくなかったようだ。当時の競馬界では、マトモにレースが出来る状況ではなかった。俺はあちこちを移動させられ、ストレスに悩まされていた。
あの激震によって、俺の中の何かがなくなり、別の何かが生まれたかのようだった。今の俺の自我は、あの天変地異と共に生まれたのかもしれない。人間と同じ知能と言語能力、そして色覚。普通の馬にはない能力が俺には宿っていた。しかし、それを知るのは、競馬界の中でもほんの一握りどころか、一つまみの関係者だけだった。
種牡馬として牧場で大切にされている今でも、どこかからサイレンの音が鳴り響くたびに、俺はあのシッチャカメッチャカな事態を思い出して、激しくいら立つ。ただ単に「音」として不愉快なだけじゃない。その音に込められた「意味」こそが、俺を不安にさせる。
「ドラド、眠れないのかい?」
「あ、おっちゃん…」
デビュー戦の前日、当時の俺の担当厩務員である恩人〈おっちゃん〉が語りかける。この人は、俺が言語能力を持つ馬だというのを知っている人物の一人だ。
「俺も受験前は、お前と同じく緊張していたよ」
「他の馬も同じように緊張してるのかな? 何だか、心の中でサイレンの音が鳴っているような気がするんだ」
「お前なら、きっと勝てる。お前には幸運の女神様がついているよ」
幸運の女神。どんな幸運をもたらしてくれる女神様なのか分からないが、〈おっちゃん〉が言うなら、信じよう。
〈おっちゃん〉は俺の頭を撫でて微笑む。俺の脳裏からサイレンの音が遠ざかる。俺にとって「父親」と呼べるのは、一頭の馬と二人の人間だが、馬はもちろん、俺の実父である親父。人間二人のうち、一方は競走馬としての俺のオーナーで、もう一方がこの〈おっちゃん〉だ。
「ありがとう、おっちゃん。おやすみなさい」
〈おっちゃん〉は落ち着きを取り戻した俺に安心し、馬房から立ち去った。寝藁に座る俺は、じっと目を閉じ、故郷日高の草原の様子を思い浮かべた。
翌日のデビュー戦で、俺はレコード勝ちした。
俺の競走馬としての生きる道を支えてくれた人、〈おっちゃん〉。俺が競走馬を引退し、日高に戻って種牡馬になってからも、あの人はスケジュールが許す限り、たびたび俺に会いに来てくれる。俺たちは他の見学客がいないのを見計らって、色々と話す。
「おっちゃんの知り合いで、バブル期に武勇伝があった人がいるんでしょ? その人の話をまた聞きたい」
「あの頃は異常だったよ。今の世の中の若い人たちの方が、冷静で賢明だね。例の人の話はあまり気分が良くないから、別の話にしようか」
「俺の親父の現役時代の話は、牧場の人たちから色々と聞いているけど、親父と俺が同じレースで走ったら勝てるかな?」
「もちろん、お前に勝ってほしいよ」
見学時間の終わりが近づき、〈おっちゃん〉と奥さん〈おばちゃん〉は、牧場の近くのホテルに戻っていった。以前〈おっちゃん〉から聞いた話に出てきたバブル期の実業家…いや、虚業家は、〈おっちゃん〉の中学時代のクラスメイトの遠い親戚だったらしい。その人は常に、違う若い美人を連れて歩いていたという。そして、怪しい若い女に騙されて、無一文になってしまったそうだ。
もちろん、〈おっちゃん〉はその人とは違って、真面目で良識がある堅実な人だから、バブル期でも浮ついた暮らしなどしていなかったし、〈おばちゃん〉との馴れ初めは、中学校入学時だった。バブル期とは、あまりにも特異な時代だったのだ。
「俺はバブル期の東京で、人間の男として生きていたのかもしれない」
21世紀に生まれた馬が知る由もない事を、俺はなぜか知っていた。
「どうだ、ドラド。うまいだろ?」
夢の中で、人間の姿になった親父は言う。親父は還暦前後のおっさんで、俺はアラサーの男だった(バブル期には「アラサー」という造語はなかったが)。俺と親父は、鯛の刺身を肴にして酒を飲んでいた。
人間としての親父は、北海道のある町の漁師の息子で、中学校卒業後、兄たちと共にしばらく家業手伝いだった。しかし、都会への憧れを捨てられずに上京した。あちこちの仕事を転々とし、下町のネジ工場の社長に気に入られて、その娘婿になった。俺の二人の異母兄たちの母親である伯母が癌で亡くなってから、その妹と再婚し、産まれたのが俺だ。俺は早稲田大学第一文学部を中退し、フリーライターとして飯を食っていた。そして、この夢の中では久しぶりに実家に帰って、親父と酒を酌み交わしている。
テレビでは、今では考えられないくらいに潤沢な予算を惜しげなく使っているバラエティ番組をやっている。当時のテレビ業界は後の時代とは違って、予算も企画力も満ち足りていたのだ。それに比べて、今の日本の人間社会はどうか? 下手な人間の政治家よりも、俺の方がよっぽど総理大臣にふさわしいぜ。そういえば、ローマ帝国には元老院の議員に任命された馬がいたらしいな。
ただ、その後の政治の「エンタメ化」がこの国をダメにした要因の一つだろう。どこぞやのお坊ちゃん政治家の度重なる暴言失言がいい例だ。反省だけなら馬でも出来る。
親父はお猪口の酒を飲み干し、言う。
「ドラド、お前は好きなように生きろ。勝ちたいときだけ、勝てばいい」
そうだ。親父の言う通り、俺は要点だけをがんばって種牡馬になった。ただ、ダービーを逃して三冠馬になれなかったのは心残りだったが、そのような栄誉は暴君異母兄の方がふさわしい。正統派ヒーローのイメージはあちらに任せる。
俺は居間で横たわり、寝た。誰かが毛布をかけてくれたが、多分おふくろだろう。
ずいぶんと生々しい夢を見た。あまりにも具体的で、実体験みたいだ。それはさておき。
あの大地震から10年以上経ったんだ。俺はあの大地震で「神」を感じた。「神」という奴は、生きとし生けるものの事など知ったこっちゃない。だから、当然「有神論」と「無神論」の区別なんて無意味だ。
そう、俺は一頭の生き物として生きるだけ。限りある生を満喫しよう。
俺は北海道日高のサラブレッド生産牧場で産まれた。母馬は今の俺と同じ大きな芦毛馬で、さらに母方の祖父は名門牧場出身の名馬だった。おふくろから乳離れした後は、人間社会における小中学校に相当する施設である育成牧場で、他の子馬たちと一緒に育てられた。
そして、デビュー戦の数か月前に、あの大地震が起こった。人間界では、インターネット回線がマトモに働かない状況だったらしく、どんなサイトにアクセスしようにも出来ない状況にいらついた人間は、少なくなかったようだ。当時の競馬界では、マトモにレースが出来る状況ではなかった。俺はあちこちを移動させられ、ストレスに悩まされていた。
あの激震によって、俺の中の何かがなくなり、別の何かが生まれたかのようだった。今の俺の自我は、あの天変地異と共に生まれたのかもしれない。人間と同じ知能と言語能力、そして色覚。普通の馬にはない能力が俺には宿っていた。しかし、それを知るのは、競馬界の中でもほんの一握りどころか、一つまみの関係者だけだった。
種牡馬として牧場で大切にされている今でも、どこかからサイレンの音が鳴り響くたびに、俺はあのシッチャカメッチャカな事態を思い出して、激しくいら立つ。ただ単に「音」として不愉快なだけじゃない。その音に込められた「意味」こそが、俺を不安にさせる。
「ドラド、眠れないのかい?」
「あ、おっちゃん…」
デビュー戦の前日、当時の俺の担当厩務員である恩人〈おっちゃん〉が語りかける。この人は、俺が言語能力を持つ馬だというのを知っている人物の一人だ。
「俺も受験前は、お前と同じく緊張していたよ」
「他の馬も同じように緊張してるのかな? 何だか、心の中でサイレンの音が鳴っているような気がするんだ」
「お前なら、きっと勝てる。お前には幸運の女神様がついているよ」
幸運の女神。どんな幸運をもたらしてくれる女神様なのか分からないが、〈おっちゃん〉が言うなら、信じよう。
〈おっちゃん〉は俺の頭を撫でて微笑む。俺の脳裏からサイレンの音が遠ざかる。俺にとって「父親」と呼べるのは、一頭の馬と二人の人間だが、馬はもちろん、俺の実父である親父。人間二人のうち、一方は競走馬としての俺のオーナーで、もう一方がこの〈おっちゃん〉だ。
「ありがとう、おっちゃん。おやすみなさい」
〈おっちゃん〉は落ち着きを取り戻した俺に安心し、馬房から立ち去った。寝藁に座る俺は、じっと目を閉じ、故郷日高の草原の様子を思い浮かべた。
翌日のデビュー戦で、俺はレコード勝ちした。
俺の競走馬としての生きる道を支えてくれた人、〈おっちゃん〉。俺が競走馬を引退し、日高に戻って種牡馬になってからも、あの人はスケジュールが許す限り、たびたび俺に会いに来てくれる。俺たちは他の見学客がいないのを見計らって、色々と話す。
「おっちゃんの知り合いで、バブル期に武勇伝があった人がいるんでしょ? その人の話をまた聞きたい」
「あの頃は異常だったよ。今の世の中の若い人たちの方が、冷静で賢明だね。例の人の話はあまり気分が良くないから、別の話にしようか」
「俺の親父の現役時代の話は、牧場の人たちから色々と聞いているけど、親父と俺が同じレースで走ったら勝てるかな?」
「もちろん、お前に勝ってほしいよ」
見学時間の終わりが近づき、〈おっちゃん〉と奥さん〈おばちゃん〉は、牧場の近くのホテルに戻っていった。以前〈おっちゃん〉から聞いた話に出てきたバブル期の実業家…いや、虚業家は、〈おっちゃん〉の中学時代のクラスメイトの遠い親戚だったらしい。その人は常に、違う若い美人を連れて歩いていたという。そして、怪しい若い女に騙されて、無一文になってしまったそうだ。
もちろん、〈おっちゃん〉はその人とは違って、真面目で良識がある堅実な人だから、バブル期でも浮ついた暮らしなどしていなかったし、〈おばちゃん〉との馴れ初めは、中学校入学時だった。バブル期とは、あまりにも特異な時代だったのだ。
「俺はバブル期の東京で、人間の男として生きていたのかもしれない」
21世紀に生まれた馬が知る由もない事を、俺はなぜか知っていた。
「どうだ、ドラド。うまいだろ?」
夢の中で、人間の姿になった親父は言う。親父は還暦前後のおっさんで、俺はアラサーの男だった(バブル期には「アラサー」という造語はなかったが)。俺と親父は、鯛の刺身を肴にして酒を飲んでいた。
人間としての親父は、北海道のある町の漁師の息子で、中学校卒業後、兄たちと共にしばらく家業手伝いだった。しかし、都会への憧れを捨てられずに上京した。あちこちの仕事を転々とし、下町のネジ工場の社長に気に入られて、その娘婿になった。俺の二人の異母兄たちの母親である伯母が癌で亡くなってから、その妹と再婚し、産まれたのが俺だ。俺は早稲田大学第一文学部を中退し、フリーライターとして飯を食っていた。そして、この夢の中では久しぶりに実家に帰って、親父と酒を酌み交わしている。
テレビでは、今では考えられないくらいに潤沢な予算を惜しげなく使っているバラエティ番組をやっている。当時のテレビ業界は後の時代とは違って、予算も企画力も満ち足りていたのだ。それに比べて、今の日本の人間社会はどうか? 下手な人間の政治家よりも、俺の方がよっぽど総理大臣にふさわしいぜ。そういえば、ローマ帝国には元老院の議員に任命された馬がいたらしいな。
ただ、その後の政治の「エンタメ化」がこの国をダメにした要因の一つだろう。どこぞやのお坊ちゃん政治家の度重なる暴言失言がいい例だ。反省だけなら馬でも出来る。
親父はお猪口の酒を飲み干し、言う。
「ドラド、お前は好きなように生きろ。勝ちたいときだけ、勝てばいい」
そうだ。親父の言う通り、俺は要点だけをがんばって種牡馬になった。ただ、ダービーを逃して三冠馬になれなかったのは心残りだったが、そのような栄誉は暴君異母兄の方がふさわしい。正統派ヒーローのイメージはあちらに任せる。
俺は居間で横たわり、寝た。誰かが毛布をかけてくれたが、多分おふくろだろう。
ずいぶんと生々しい夢を見た。あまりにも具体的で、実体験みたいだ。それはさておき。
あの大地震から10年以上経ったんだ。俺はあの大地震で「神」を感じた。「神」という奴は、生きとし生けるものの事など知ったこっちゃない。だから、当然「有神論」と「無神論」の区別なんて無意味だ。
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