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14 デートのあとは

第43話

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 特に予定のないゴールデンウィークは長く、ヒマだった。

 だから、毎日のように学校へ行って、花壇のお花に水やりをした。
 小百合センパイに出くわして、咲也くんとのデートについて質問攻め! さらに妄想話を聞かされたけど、まあ、なんとかやりすごした。

 バスケ部の練習で忙しい里桜は、スマホのメッセージで、これまた質問攻め!
 教えちゃいけない部分(魔物関連)とか、教えたくない部分(泣いちゃったり、おでこにキスされたこと)をのぞいて、簡単に説明した。
 里桜いわく、わたしと咲也くんは、もうつきあってるらしい!


 メッセージといえば、デートの帰りに咲也くんとIDを交換していたから、何度かやりとりをしていた。
 旅行先の北海道の写真を送ってくれたよ。

 函館の五稜郭ごりょうかく。ちょうどお花見シーズンで、お堀には、桜のソメイヨシノが満開になっていて。
 札幌の百合が原公園。お花がいっぱいの公園で、スイセンが見頃みごろをむかえていたよ。
 大空町の「ひがしもこと芝桜しばざくら公園」。芝桜の名所で、ピンク色に染まった丘が絶景で、とっても素敵!

 咲也くんは、「旅行好きの親につきあってる」みたいな口ぶりだったけれど、北海道のフラワースポットを楽しんでいるみたい。
 ――いつか一花千センパイと来てみたいな。
 なんて書いてきたから、ふたりで北海道を旅する未来を妄想してしまった。
 すっかり小百合センパイの影響を受けちゃってるなぁ、わたし。


「おはよう、一千花センパイ」

 咲也くんは、わたしより先に来ていた。
 休みあけの朝八時――開花第一公園。
 公園の真ん中にある、巨大なクスノキの下で、咲也くんは待っていた。

「咲也くん、おはよう。一週間ぶりね」

 向かいあう、わたしたち。
 なんだか照れくさい。

「わたしの呪いを消してくれたんだってね。どうして言ってくれなかったの?」

 じろりと上目づかいでたずねると。

 咲也くんは頬をかいて、
「やっぱりブルームスにはわかっちゃうよな」
 と、苦笑いした。

「まだ用心が必要なの?」

 わたしがたずねると、咲也くんは眉根をよせた。

「呪いは消せたけど、気になることがあるんだ」
「気になること?」

 こくりとうなずく咲也くん。

「観覧車を止めたり、立て看板を飛ばしたりした、あの強風……。呪いが一時的に、とてつもなく強くなった。わんさかといるザコの魔物のしわざじゃないよ」
「えっ……?」
「強力な魔物のせいだ。呪いを消しても、そいつはまだ一千花センパイをねらってる」
「まだねらってるって、わかるの?」
「ああ、一千花センパイのことを遠くから見てるからな」
「ええっ!?」

 背中がぞくりとして、あたりを見まわした。
 特に異常はないし、そもそも、わたしには魔物は見えないけど……。

「おれにもハッキリと姿は確認できないんだ。かすかに気配は感じるけど……。まあ、呪いが消えた以上、見てるだけだと思うけど」
「ええっ、見られてるなんて不気味だよお」
「……だよね」

 頭をかく咲也くん。

「でも……相手が実体をあらわして、一千花センパイを襲うようなら、そのときは容赦はしない」

 うーん。
 いくら魔眼をもっているからって、魔力のない咲也くんが魔物と戦えるとは思えない。
 わたしの不安げな表情を見て、フッと笑みをこぼす咲也くん。

「だいじょうぶだから。そんな顔しないでよ」

 そう言って、カバンからなにかを取りだした。

「はい、おみやげ」
「ええっ、いいの!?」

 咲也くんから受けとったのは――。
 女の子に人気で、わたしも大好きなキャラクター・フローララの小さな人形がついたスマホのネックストラップだ! 猫がモチーフのフローララが、ラベンダー色のドレスを着ている。

「北海道限定らしいよ。よかったら使って」

「ありがとう! ぜったい使うよ!」

 うれしいよ~。
 帰ったら、さっそくつけようっと。

「一千花センパイ、そろそろ行こうか」
「うん!」

 わたしたちは、ならんで歩きだした。
 咲也くんのすぐ横を、鼻歌まじりに歩くわたし。

 ゴキゲンなわたしを見て、クスッとした咲也くんは、
「北海道では、ほかにも収穫があったんだ」
 と、うれしそうに言った。

「収穫って……?」
「教えない。ヒミツだよ」

 咲也くんのいじわるっ! 気になるよ!
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