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貢献の橋
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呼び出しされたのだから当然ではあるが。しばらく待たされて前回と同じように魔法陣から副長のベゼスさんが現れる。
「宿の方に伝言を頼んでまでお越しいただいて申し訳ない。昨日のことでのご報告と感謝を申し上げたいので、付いて来ていただけますかな」
「はいよ」
「わかりました」
「ではこちらへ」
俺たちはまたあのシックな内装の部屋に通される。だが前回来た時よりも書類が法外に増えており、デスクの上は山になった紙の束で一杯になっていた。忙しい中時間を割いてもらっているようだな。正直ダルいと思っていたのを改めないと……。
俺たちは座り心地の良い長椅子に座って話を始めた。ちなみに温かくて香りの良いお茶も用意してもらっている。
「改めまして、こうして来ていただいてありがとうございます。昨日の大雨の一件は魔術師のアメリアから報告を受けました。お二人が協力して川の増水に対処してくださっていたとか。街を救っていただいて感謝致します。王国からも感謝状が届いております」
ベゼスさんが差し出してきたのは、上質な厚めの紙に“感謝状”と書かれたもの。俺とノエラの名前が並行して書かれ、細かい文字でつらつらと功績の内容が書かれているようだ。何やら目立つ印章が押されているので、国家が認めてくれたのだという実感も湧いてくる。
ノエラも感激しているようで、俺の顔を見ながら嬉しそうにしている。
「なかなか豪華だな。ありがたくいただいておくよ」
「ありがとうございます!」
「喜んでいただけたようで何よりでございます。それから功績のきちんとした対価として、お一人様あたりパタス金貨十枚が贈られています。統治塔でもあなた方にはそれぞれ貢献度を二十五進呈致します」
「お、それは嬉しいな。頑張った甲斐があるよ」
「そうですね。対価のためにやったことではなくても、こうして認めてもらえるのはやっぱり嬉しいです」
「それだけのことをなさってくださったのですから当然ですよ。私からも再度感謝申し上げます」
「いやいや、できることをやっただけだからさ」
「志もお高いとは恐れ入ります。それでお話は変わりますが、サム様。あなたが邪神の神官であるということは念のため国には伏せております。今後もそれでよろしいでしょうか?」
「えっ。むしろ伏せておいてくれてるのか? もちろん話してほしいわけじゃないが、てっきりもう報告してるのかと思ったよ。そっちの立場としては黙っておくのはマズいんじゃないのか?」
「あまり良くはないのですが、サム様には月の暴走を止めるという目的がおありだとか。我々としましても、その邪魔をする訳にはいかないという判断でございます」
「そうか」
これは何となくだが建前のような気がしないでもない。俺に力があるとわかった以上、何かあったときのために関係を崩したくないのと、怒らせると何をするかわからないなんてことを思っているのかもしれないな。
邪神が力を取り戻すなんてのはきっと脅威だと考えるだろうし、俺の話の真偽を時間をかけて確かめるつもりに違いない。
まあ俺としては国に黙っていてくれるならありがたいからどうでもいいけど。それはそうとセレーヌからそのあたりも聞いているようだな。心置きなく名声を高めることができそうだ。
「それではこれにてご報告等は終わりとさせていただきます。サム様、ノエラ様からは用件等はございますか?」
「いや。ないぞ。ノエラはあるか?」
「私も特にはありません」
「そうですか。ではお気をつけてお帰りください。ありがとうございました」
この人は忙しそうなので、俺たちは挨拶もそこそこに魔法陣を使って部屋を出た。
「宿の方に伝言を頼んでまでお越しいただいて申し訳ない。昨日のことでのご報告と感謝を申し上げたいので、付いて来ていただけますかな」
「はいよ」
「わかりました」
「ではこちらへ」
俺たちはまたあのシックな内装の部屋に通される。だが前回来た時よりも書類が法外に増えており、デスクの上は山になった紙の束で一杯になっていた。忙しい中時間を割いてもらっているようだな。正直ダルいと思っていたのを改めないと……。
俺たちは座り心地の良い長椅子に座って話を始めた。ちなみに温かくて香りの良いお茶も用意してもらっている。
「改めまして、こうして来ていただいてありがとうございます。昨日の大雨の一件は魔術師のアメリアから報告を受けました。お二人が協力して川の増水に対処してくださっていたとか。街を救っていただいて感謝致します。王国からも感謝状が届いております」
ベゼスさんが差し出してきたのは、上質な厚めの紙に“感謝状”と書かれたもの。俺とノエラの名前が並行して書かれ、細かい文字でつらつらと功績の内容が書かれているようだ。何やら目立つ印章が押されているので、国家が認めてくれたのだという実感も湧いてくる。
ノエラも感激しているようで、俺の顔を見ながら嬉しそうにしている。
「なかなか豪華だな。ありがたくいただいておくよ」
「ありがとうございます!」
「喜んでいただけたようで何よりでございます。それから功績のきちんとした対価として、お一人様あたりパタス金貨十枚が贈られています。統治塔でもあなた方にはそれぞれ貢献度を二十五進呈致します」
「お、それは嬉しいな。頑張った甲斐があるよ」
「そうですね。対価のためにやったことではなくても、こうして認めてもらえるのはやっぱり嬉しいです」
「それだけのことをなさってくださったのですから当然ですよ。私からも再度感謝申し上げます」
「いやいや、できることをやっただけだからさ」
「志もお高いとは恐れ入ります。それでお話は変わりますが、サム様。あなたが邪神の神官であるということは念のため国には伏せております。今後もそれでよろしいでしょうか?」
「えっ。むしろ伏せておいてくれてるのか? もちろん話してほしいわけじゃないが、てっきりもう報告してるのかと思ったよ。そっちの立場としては黙っておくのはマズいんじゃないのか?」
「あまり良くはないのですが、サム様には月の暴走を止めるという目的がおありだとか。我々としましても、その邪魔をする訳にはいかないという判断でございます」
「そうか」
これは何となくだが建前のような気がしないでもない。俺に力があるとわかった以上、何かあったときのために関係を崩したくないのと、怒らせると何をするかわからないなんてことを思っているのかもしれないな。
邪神が力を取り戻すなんてのはきっと脅威だと考えるだろうし、俺の話の真偽を時間をかけて確かめるつもりに違いない。
まあ俺としては国に黙っていてくれるならありがたいからどうでもいいけど。それはそうとセレーヌからそのあたりも聞いているようだな。心置きなく名声を高めることができそうだ。
「それではこれにてご報告等は終わりとさせていただきます。サム様、ノエラ様からは用件等はございますか?」
「いや。ないぞ。ノエラはあるか?」
「私も特にはありません」
「そうですか。ではお気をつけてお帰りください。ありがとうございました」
この人は忙しそうなので、俺たちは挨拶もそこそこに魔法陣を使って部屋を出た。
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