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水の祭典
雷の衝撃
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それはそうと結構早いペースで進んで行くヤツら。さすがは武器を扱っているだけあって体力はあるようだ。男たちを見送りながら、俺はノエラに向き直った。
「ごめんなノエラ。俺も奴らを挑発しちゃったよ。スマートじゃなかったよな」
「いえ。いいんです。私も彼らのことは良い気がしなかったので」
「だよなあ。ノエラのことを俺に侍る女みたいな言い方してさ。それがどうしても許せなくて」
「えっ。そこに怒ってたんですか?」
「え、逆にどこに怒るの?」
「いえ、サムさんのことを悪く言っていたと思うんですが……」
「そうだっけ。まあ別にどうでもいいけど」
ノエラは何故かキョトンとしてる。思い出せば神殿で這いつくばってなとか野垂れ死ぬのがオチとか神のお告げがどうのとか言われた気がするけど、挑発が安すぎて何とも思わなかったかな。
それよりもノエラが卑しい女みたいなニュアンスを匂わせたのが腹立った。ノエラがどんな思いをしてきたか知りもしないで勝手な想像で物を言われるのは気分が悪いからな。
とにかくその男たちの姿はもう見えなくなったのでこれ以上考えないことにする。それこそ時間を割く価値はないのだ。せっかくのいい景色が台無しになりかけたが、俺たちは気を取り直して山を登った。道中奴らがやったと思われる魔物の死体を発見した。
水棲系の魔物だったようだが、素材ははぎ取られてしまっている。アイツらの仕事が早いせいで俺たちは殆ど魔物に遭えなかった。素材集めなのに魔物がいないのは困るが、頂上にある湖に期待することにして、また休憩を挟みながら進んでいるとついにその頂上に到達した。
眼前に広がるのはコバルトブルーの色をした澄んだ湖。透明度が高い水で、それが対面の景色を綺麗に映し出して鮮明に転写している。対岸には背の高い針葉樹が立ち並び、小さな森を形成していた。
湖の中を覗くと、何かの魚が泳いでいるのが見えるが、思いのほかその湖は深く、魚以外の何かも見える。俺がそんな風に辺りを見回っていると、突然ノエラがきゃっと悲鳴をあげた。
彼女が見ていたのは俺たちのいる場所から湖に沿って右手に進んだ先の森の入り口付近。その森の木の影のあたりに人の手らしきものがだらんと地面に落ちているのが見えた。しかも微かに動いているように見える。
俺はその光景に肝が冷える思いとともに驚いて、一体どうなっているのか確認しようと歩き出した直後。今度は左に広がる湖の方向から電撃が飛んできた。
展開していた【邪悪なる守り】によって防いだが、かなりの衝撃が来た。まともに喰らっていたら心停止ものだったかもしれない。電撃が来た軌道の先に視線を向けると、どうやってか知らないが、空中に浮いている巨大鰻のような生物が佇んでいた。
その魔物の周囲からは不思議にもポコポコと気泡が浮き、水の中にいるかのような光景の中に鰻は存在している。紋章に聞けば、ヤツの正体はイガットという生物だと言うことがわかった。
異様に長い体で巻き付いて身動きを封じ、口の大きな牙で捕食する魔物らしい。だがこいつはさっき電撃を放ってきた。そんな情報は出てきていないのだが、どうなっているのか――。
「サムさん、ここは私に任せてあの人たちの治療をお願いします!」
ノエラが真横に躍り出てきて、俺に突如そう言ってきた。一瞬戸惑ってしまったが、彼女はどうやら本気のようだ。口元を結んでイガットを真っ直ぐ見据えている。なるほど、さっきの電撃は多分精霊魔法だ。それならノエラもまた精霊魔法を使って相手の攻撃を妨害できるはず。
それを考慮してこうして魔物の相手をするのを買って出てくれたのだろう。それなら俺は――。
「わかった。治療が終わったらすぐに加勢するからな!」
彼女のこと信じて、倒れているであろう人たちを全力で治療しなければ。
「ごめんなノエラ。俺も奴らを挑発しちゃったよ。スマートじゃなかったよな」
「いえ。いいんです。私も彼らのことは良い気がしなかったので」
「だよなあ。ノエラのことを俺に侍る女みたいな言い方してさ。それがどうしても許せなくて」
「えっ。そこに怒ってたんですか?」
「え、逆にどこに怒るの?」
「いえ、サムさんのことを悪く言っていたと思うんですが……」
「そうだっけ。まあ別にどうでもいいけど」
ノエラは何故かキョトンとしてる。思い出せば神殿で這いつくばってなとか野垂れ死ぬのがオチとか神のお告げがどうのとか言われた気がするけど、挑発が安すぎて何とも思わなかったかな。
それよりもノエラが卑しい女みたいなニュアンスを匂わせたのが腹立った。ノエラがどんな思いをしてきたか知りもしないで勝手な想像で物を言われるのは気分が悪いからな。
とにかくその男たちの姿はもう見えなくなったのでこれ以上考えないことにする。それこそ時間を割く価値はないのだ。せっかくのいい景色が台無しになりかけたが、俺たちは気を取り直して山を登った。道中奴らがやったと思われる魔物の死体を発見した。
水棲系の魔物だったようだが、素材ははぎ取られてしまっている。アイツらの仕事が早いせいで俺たちは殆ど魔物に遭えなかった。素材集めなのに魔物がいないのは困るが、頂上にある湖に期待することにして、また休憩を挟みながら進んでいるとついにその頂上に到達した。
眼前に広がるのはコバルトブルーの色をした澄んだ湖。透明度が高い水で、それが対面の景色を綺麗に映し出して鮮明に転写している。対岸には背の高い針葉樹が立ち並び、小さな森を形成していた。
湖の中を覗くと、何かの魚が泳いでいるのが見えるが、思いのほかその湖は深く、魚以外の何かも見える。俺がそんな風に辺りを見回っていると、突然ノエラがきゃっと悲鳴をあげた。
彼女が見ていたのは俺たちのいる場所から湖に沿って右手に進んだ先の森の入り口付近。その森の木の影のあたりに人の手らしきものがだらんと地面に落ちているのが見えた。しかも微かに動いているように見える。
俺はその光景に肝が冷える思いとともに驚いて、一体どうなっているのか確認しようと歩き出した直後。今度は左に広がる湖の方向から電撃が飛んできた。
展開していた【邪悪なる守り】によって防いだが、かなりの衝撃が来た。まともに喰らっていたら心停止ものだったかもしれない。電撃が来た軌道の先に視線を向けると、どうやってか知らないが、空中に浮いている巨大鰻のような生物が佇んでいた。
その魔物の周囲からは不思議にもポコポコと気泡が浮き、水の中にいるかのような光景の中に鰻は存在している。紋章に聞けば、ヤツの正体はイガットという生物だと言うことがわかった。
異様に長い体で巻き付いて身動きを封じ、口の大きな牙で捕食する魔物らしい。だがこいつはさっき電撃を放ってきた。そんな情報は出てきていないのだが、どうなっているのか――。
「サムさん、ここは私に任せてあの人たちの治療をお願いします!」
ノエラが真横に躍り出てきて、俺に突如そう言ってきた。一瞬戸惑ってしまったが、彼女はどうやら本気のようだ。口元を結んでイガットを真っ直ぐ見据えている。なるほど、さっきの電撃は多分精霊魔法だ。それならノエラもまた精霊魔法を使って相手の攻撃を妨害できるはず。
それを考慮してこうして魔物の相手をするのを買って出てくれたのだろう。それなら俺は――。
「わかった。治療が終わったらすぐに加勢するからな!」
彼女のこと信じて、倒れているであろう人たちを全力で治療しなければ。
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