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邪な企み
捕縛
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しかし俺の用事はまだ終わってない。
【暗闇の束縛】
俺が行使した奇跡で、妖精男は闇に捕まる。がっちり体を拘束するように闇を展開したから、ヤツは空中で固まって動けてない。そこに俺は【漆黒の翼】で空を飛びつつ、近寄って笑いかけてやった。
「どこ行くつもりだ? 話は終わってないんだけど?」
「なっ。貴様、空を……いや、あ……」
完全にパニックになってバルトサールはしどろもどろになっている。しかも若干怯えているようで、顔が真っ青だ。良い気味だがこいつと遊んでいる暇はない。俺はランタンの炎を燃え上がれせて詰め寄る。
「バロンをどこにやった? 返答次第では酷い目に遭うかもな?」
「お、男は森のどこかで解放したぞ! は、ははは! 今頃魔物に追われて泣き叫んでるかもしれないぞ? 助けに行かなくていいのか?」
悔しいがそれならコイツの言う通りだ。バロンを解放したというのが嘘かもしれないが、本当の可能性を考えればここで時間はかけられない。
「探しに行ってくるからここで待ってろ。バロンがすぐに見つかれば、そこのイボンたちに喰われなくて済むかもな?」
俺はバルトサールを空中で磔にしたままバロンを探しに行くことにした。一瞬助かったと安堵したように見えたバルトサールの目の奥は絶望と恐怖に染まっている。やっぱり良い気味だな。
だがバロンが無事で済んでいなかったら良い気味どころで済ますつもりはないから覚悟しといてもらおう。そう心づもりをしつつ森を旋回しようとすると、見慣れた姿が森の奥から出てきたのがわかった。あれは――ババアだ!
「おーババア! 丁度良かった」
俺はバルトサールを完全に無視してババアの前に着地した。
「なんじゃ、やはりお前か。森の中で強力な奇跡を使いおって。少しは加減せんか!」
「加減したんだけど。それより赤髪のおじさんを見なかったか? バロンって言うヤツなんだけど」
「あ? それもお前の仕業か? 次から次へと面倒事を持ち込むでないわ!」
「なんだよ、そんな言い方しなくてもいいだろ。バロンはババアのとこにいるのか?」
「そうじゃよ。森の中で一人で彷徨っておったから保護したんじゃ」
「それは助かった。心配だったんだよ」
「それは本人に言ってやるんじゃな。ところであそこで固まっとる神官はどうするんじゃ?」
そうだった。どうしよう、あれ。
「うーん。一応罪人だから生かして牢屋にぶち込んでもらおうと思ってたんだけど、バロンを宿まで送らないといけないしなあ」
「罪人じゃと? ……ほう、なるほど。ありゃ知略と月の神の神官か」
「そうそう。なんでわかったんだ?」
「ワシには心強い味方大勢おるのよ。だからそこにいるのは分かっておるよ。出ておいで」
ババアが俺から離れた茂みに目を向ける。すると何もないところからいきなりノエラが現れた。うおっ。どうやって、いや、なんでこんなところにノエラがいるんだ?
「さすがですねシビルさん。かなり上手くいっていると思っていたんですが……」
「上手くいっておったよ。透明の精霊と闇の精霊を使って自分の存在を悟られんようにな。ワシじゃなければ気付かなかったじゃろう」
「ノエラ、付いてきたらダメじゃないか。宿で待ってるって言ってくれてたのに」
「バロンさんが危ないのに、私だけ留守番なんてできません。きちんと透明になってきたので、カロヌガンの神官に見られる心配もありませんし」
「そうじゃな。あれなら誰にも気付かれんよ。大したもんじゃ」
「シビルさん。会いたかったです!」
「ワシもじゃよ。ずいぶん精霊魔法が上達したな。鼻が高いわ」
シビルは駆け寄ったノエラを受け止めて抱きしめた。感動の再会だな。
【暗闇の束縛】
俺が行使した奇跡で、妖精男は闇に捕まる。がっちり体を拘束するように闇を展開したから、ヤツは空中で固まって動けてない。そこに俺は【漆黒の翼】で空を飛びつつ、近寄って笑いかけてやった。
「どこ行くつもりだ? 話は終わってないんだけど?」
「なっ。貴様、空を……いや、あ……」
完全にパニックになってバルトサールはしどろもどろになっている。しかも若干怯えているようで、顔が真っ青だ。良い気味だがこいつと遊んでいる暇はない。俺はランタンの炎を燃え上がれせて詰め寄る。
「バロンをどこにやった? 返答次第では酷い目に遭うかもな?」
「お、男は森のどこかで解放したぞ! は、ははは! 今頃魔物に追われて泣き叫んでるかもしれないぞ? 助けに行かなくていいのか?」
悔しいがそれならコイツの言う通りだ。バロンを解放したというのが嘘かもしれないが、本当の可能性を考えればここで時間はかけられない。
「探しに行ってくるからここで待ってろ。バロンがすぐに見つかれば、そこのイボンたちに喰われなくて済むかもな?」
俺はバルトサールを空中で磔にしたままバロンを探しに行くことにした。一瞬助かったと安堵したように見えたバルトサールの目の奥は絶望と恐怖に染まっている。やっぱり良い気味だな。
だがバロンが無事で済んでいなかったら良い気味どころで済ますつもりはないから覚悟しといてもらおう。そう心づもりをしつつ森を旋回しようとすると、見慣れた姿が森の奥から出てきたのがわかった。あれは――ババアだ!
「おーババア! 丁度良かった」
俺はバルトサールを完全に無視してババアの前に着地した。
「なんじゃ、やはりお前か。森の中で強力な奇跡を使いおって。少しは加減せんか!」
「加減したんだけど。それより赤髪のおじさんを見なかったか? バロンって言うヤツなんだけど」
「あ? それもお前の仕業か? 次から次へと面倒事を持ち込むでないわ!」
「なんだよ、そんな言い方しなくてもいいだろ。バロンはババアのとこにいるのか?」
「そうじゃよ。森の中で一人で彷徨っておったから保護したんじゃ」
「それは助かった。心配だったんだよ」
「それは本人に言ってやるんじゃな。ところであそこで固まっとる神官はどうするんじゃ?」
そうだった。どうしよう、あれ。
「うーん。一応罪人だから生かして牢屋にぶち込んでもらおうと思ってたんだけど、バロンを宿まで送らないといけないしなあ」
「罪人じゃと? ……ほう、なるほど。ありゃ知略と月の神の神官か」
「そうそう。なんでわかったんだ?」
「ワシには心強い味方大勢おるのよ。だからそこにいるのは分かっておるよ。出ておいで」
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「さすがですねシビルさん。かなり上手くいっていると思っていたんですが……」
「上手くいっておったよ。透明の精霊と闇の精霊を使って自分の存在を悟られんようにな。ワシじゃなければ気付かなかったじゃろう」
「ノエラ、付いてきたらダメじゃないか。宿で待ってるって言ってくれてたのに」
「バロンさんが危ないのに、私だけ留守番なんてできません。きちんと透明になってきたので、カロヌガンの神官に見られる心配もありませんし」
「そうじゃな。あれなら誰にも気付かれんよ。大したもんじゃ」
「シビルさん。会いたかったです!」
「ワシもじゃよ。ずいぶん精霊魔法が上達したな。鼻が高いわ」
シビルは駆け寄ったノエラを受け止めて抱きしめた。感動の再会だな。
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