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都市の行き来
飛び回る噂
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バボイラモとかイボンの食用肉になるやつだったから、【黒き排除】で解体して【闇の領域】に突っ込む。そしたらやっぱり彼女たちは驚いて話しかけてきた。
「ねえねえ、その奇跡って一体何なの? 凄いね! 魔物を一瞬でお肉にしちゃってそのあとどっかにやっちゃってさ」
「どんな効果がある奇跡なのですか? 他の神官の方はそんなことはなさっていませんでしたが」
「俺が要らないと判断したものを消し去る奇跡と、亜空間に物を収納する奇跡だよ。どっちも邪神の奇跡だから、光の神官は使えないかも」
「そうなんだ! 面白いし便利だね!」
「そうね。それに先ほどの攻撃も興味深いものでしたわ」
「そうやって反応してもらえると何だか嬉しいな。邪神の神官だってことで最初は苦労したからさ」
「そっか、そうだよね。良い噂しか聞かないから私も邪神だとか面白いなくらいにしか思ってないけどさ、それがなかったら警戒しまくりだったかも」
「私も貴族でいらっしゃることや、素晴らしい神官様だという噂がなければ、きっとこんな風に旅路を共にすることもなかったかもしれませんわ」
「それを考えると感慨深いな。でも新しい街に行ったらまたやり直しかもな」
「いいえ、そんなことはありませんよ。墜ちた邪神、マサマンディオスの神官が善行をして回っているという話は別の街で聞いたものですから」
「え? なんでそんな話が別の街まで流れてるんだ?」
「なんか重度の心臓病だったのを邪神の神官を名乗る人に治療してもらったって誰かが言ってたのを聞いたよ。自分は意識がなかったけど、高名な光の神官がそうだと教えてくれたって」
「私は邪神の神官と可憐な精霊使いがダロイの街の大洪水を治めたと聞きました」
心臓病ってどれのことだ? あ、あれか。セレーヌに力を証明しようとして治療した彼か。別の街の人だったのか?
それに大洪水は確かに時間稼ぎはしたけど、ほぼノエラの力だし、アメリアが天候を変えたから何とかなっただけなんだけどな。あれか、邪神の神官なのにそんなことしてるのが奇妙だから噂がひとり歩きしてるんだな多分。
何気なく俺たちに付いて来ているアンヘルも満足げに頷いている。
「それならまあ……いきなり酷い目に遭うことはないかもな」
「うん、そうだよ。邪神の神官だって名乗ったら、多分みんな噂の人だって気付くんじゃないかな? 悪い邪神の神官は自分から名乗ったりしないから」
「あー、確かにそうかもな」
俺が納得しながら彼女の話を聞いていると、後ろの方にいたノエラが駆け寄ってきて、もの申してきた。
「あ、あの、サムさん。もう少し早く進みましょう。三日で着かなくなってしまいますから……」
「ん? いや、大丈夫だぞ。三日あればゆっくり休憩を取っても余裕な距離だから、歩いてさえいれば問題ないはずだよ」
「え、あ、あの。そうではなくて……」
ノエラは何か言いたそうにするが、何故か言葉を呑み込んでしまう。俺は何のことやらわからなかったが、美女二人は何か察した感じでノエラのことを見ていた。何のことやらわからない俺はノエラに詰め寄ってみる。
「どうしたんだリア。何かあるんだろ? 言ってみてくれよ」
「いや、ノエラちゃんの言う通りかもしれないね。道中で危険な魔物に出会うかもしれないし!」
「そうですね。少しだけ急ぎましょう」
妙に納得した表情で依頼人二人は俺から離れて荷車のプライノのペースを上げさせた。よくわからないが、何やら急ぎたい用があるみたいなので、俺はスピードの上がった荷車の前を歩いて引き続き魔物の警戒をした。
道中、ミーナがノエラに何か耳打ちしているのを見たが、聞かれたくない内容なのだろうと思って放っておいた。
「ねえねえ、その奇跡って一体何なの? 凄いね! 魔物を一瞬でお肉にしちゃってそのあとどっかにやっちゃってさ」
「どんな効果がある奇跡なのですか? 他の神官の方はそんなことはなさっていませんでしたが」
「俺が要らないと判断したものを消し去る奇跡と、亜空間に物を収納する奇跡だよ。どっちも邪神の奇跡だから、光の神官は使えないかも」
「そうなんだ! 面白いし便利だね!」
「そうね。それに先ほどの攻撃も興味深いものでしたわ」
「そうやって反応してもらえると何だか嬉しいな。邪神の神官だってことで最初は苦労したからさ」
「そっか、そうだよね。良い噂しか聞かないから私も邪神だとか面白いなくらいにしか思ってないけどさ、それがなかったら警戒しまくりだったかも」
「私も貴族でいらっしゃることや、素晴らしい神官様だという噂がなければ、きっとこんな風に旅路を共にすることもなかったかもしれませんわ」
「それを考えると感慨深いな。でも新しい街に行ったらまたやり直しかもな」
「いいえ、そんなことはありませんよ。墜ちた邪神、マサマンディオスの神官が善行をして回っているという話は別の街で聞いたものですから」
「え? なんでそんな話が別の街まで流れてるんだ?」
「なんか重度の心臓病だったのを邪神の神官を名乗る人に治療してもらったって誰かが言ってたのを聞いたよ。自分は意識がなかったけど、高名な光の神官がそうだと教えてくれたって」
「私は邪神の神官と可憐な精霊使いがダロイの街の大洪水を治めたと聞きました」
心臓病ってどれのことだ? あ、あれか。セレーヌに力を証明しようとして治療した彼か。別の街の人だったのか?
それに大洪水は確かに時間稼ぎはしたけど、ほぼノエラの力だし、アメリアが天候を変えたから何とかなっただけなんだけどな。あれか、邪神の神官なのにそんなことしてるのが奇妙だから噂がひとり歩きしてるんだな多分。
何気なく俺たちに付いて来ているアンヘルも満足げに頷いている。
「それならまあ……いきなり酷い目に遭うことはないかもな」
「うん、そうだよ。邪神の神官だって名乗ったら、多分みんな噂の人だって気付くんじゃないかな? 悪い邪神の神官は自分から名乗ったりしないから」
「あー、確かにそうかもな」
俺が納得しながら彼女の話を聞いていると、後ろの方にいたノエラが駆け寄ってきて、もの申してきた。
「あ、あの、サムさん。もう少し早く進みましょう。三日で着かなくなってしまいますから……」
「ん? いや、大丈夫だぞ。三日あればゆっくり休憩を取っても余裕な距離だから、歩いてさえいれば問題ないはずだよ」
「え、あ、あの。そうではなくて……」
ノエラは何か言いたそうにするが、何故か言葉を呑み込んでしまう。俺は何のことやらわからなかったが、美女二人は何か察した感じでノエラのことを見ていた。何のことやらわからない俺はノエラに詰め寄ってみる。
「どうしたんだリア。何かあるんだろ? 言ってみてくれよ」
「いや、ノエラちゃんの言う通りかもしれないね。道中で危険な魔物に出会うかもしれないし!」
「そうですね。少しだけ急ぎましょう」
妙に納得した表情で依頼人二人は俺から離れて荷車のプライノのペースを上げさせた。よくわからないが、何やら急ぎたい用があるみたいなので、俺はスピードの上がった荷車の前を歩いて引き続き魔物の警戒をした。
道中、ミーナがノエラに何か耳打ちしているのを見たが、聞かれたくない内容なのだろうと思って放っておいた。
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