秘密の関係

椎奈風音

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犬猿の仲!?

第七話

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「二人とも、帰って来たんだ。おかえり」
 緊迫した空気を破ったのは、エプロン姿の戒兄ちゃんだった。

 両親がいない今、家事は兄弟で分担しているが、料理はほとんど戒兄ちゃんと暁ちゃんが作っている。
 まぁ、たまに春兄ちゃんが作ることもあるけど……。
 僕と響兄ちゃんが全く作らないのは、僕達の料理が破壊的だから……。

 僕は見た目がヤバイし、響兄ちゃんに至っては味が破壊的だ。
 響兄ちゃんの料理は、僕の料理とはいえない料理を何も言わずに食べてくれた春兄ちゃんでさえ、投げ出すようなものだった。
 それから僕と響兄ちゃんには料理を作らせないという条約が、他の兄ちゃん達の間で出来たらしい。
 人間、向き不向きはあるかもしれないけど、なんか心境は複雑だよ……。

「皆して、なんでそんなとこで突っ立ってんの?ご飯出来てるから早くおいでよ。響吾も待ってるし」
 戒兄ちゃんが、呆れた顔で僕達を促す。
(珍しい。響兄ちゃん、いるんだ)
 響兄ちゃんは、いつも大学のサークル活動やモデルのバイトで遅くに帰ってくることが多い。
 そんな響兄ちゃんが、こんな早い時間に家にいるなんて、明日は雪かも。
「わかった」
 僕はリビングに移動する兄ちゃん達の後をついていった。


「おっ、塔哉遅かったじゃん。おかえり」
「ただいま、響兄ちゃん」
 ソファーに座ってテレビを見ていた響兄ちゃんが、僕達の方を振り返った。
「俺も帰ってきたばっかだけど?」
 暁ちゃんが冷ややかな眼差しで響兄ちゃんを見る。
「ああ、暁もおかえり」
「俺はついでかよ……」
 ボソッと暁ちゃんが悪態をつく。

「そういうわけじゃないけど。珍しく帰ってくるのが早いじゃないか」
「その台詞、そっくりそのまま響兄に返すね」
(……確かに)
 響兄ちゃんは、人のことを言える立場じゃないよね。

「響兄ちゃんこそ、なんでこんなに早いわけ?」
 僕は疑問に思ったことを訊いてみる。
「明日、朝早くから撮影だから」
「へぇー、そうなんだ」

 響兄ちゃんは、雑誌やCMで活躍しているモデルだ。
 高校時代にスカウトされて以来、頻繁にメディアに出ていて、若い女の子からは絶大な人気を誇っている。
 響兄ちゃんから聞くまでは知らなかったけど、モデルって華やかさとは裏腹に、結構肉体労働なんだ。
 夏の暑い時にコートを着たり、逆に寒い時に半袖だったり……。
 朝も夜も関係ないしね。
 そんな世界に何年もいる響兄ちゃんは凄いと思う。
 僕はとてもじゃないけど、そんなこと出来ないよ。
 まぁ、それ以前にスカウトなんてされることはまずないけどね……。
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