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旋律
第二話
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「藤堂?」
意外な人物に、俺は目を見開く。
授業が終わってかなり時間が経つのに、まだ帰ってなかったのか。
「緋月、その曲……?」
「え?」
あまりにも藤堂の声が小さすぎて聞き取れず、思わず聞き返した。
「その曲、『ヴォイス』だろ?」
「……っ!」
俺は思わず、息を呑んだ。
『ヴォイス』は同じ名前の香水のCMに使われている曲だ。
全国から一般公募した数百という曲の中から選ばれ、作曲者の名前が『ソウ』ということ以外は公表されていない。
『ソウ』はCMのヒットで一躍『時の人』となったが、年齢も性別も非公開な謎の人物だ。
「緋月、どうして、その曲が弾けるんだ?楽譜は公表してないだろ?」
確かに藤堂の言う通り、楽譜は世の中に出回ってはいない。
内心、なんでこんなに詳しいんだ?と思いつつも簡潔に答える。
「暗譜したから」
「暗譜?」
あまり聞き慣れない言葉だったのか、藤堂は首を傾げた。
「うち音楽一家だから、昔から色々叩きこまれてきたんだよね。だから一回聞いた曲は大抵弾けるよ」
「凄いな」
「凄い?」
俺にとって出来て当たり前のことだったので、そう言われてもピンとこない。
「だって緋月が努力したから出来るようになったことだろ?いくら英才教育されたからって、誰もが出来ることじゃないし」
「……っ!」
そんなことを言われたのは初めてだった。
親が有名だから、出来て当たり前。
環境に恵まれているから、出来ない方がおかしいと言われ続けてきた俺に、藤堂の言葉は衝撃だった。
(こんな風に考えてくれる人もいるんだ)
「……ありがとう」
ちょっと照れてしまい、顔を赤くして俯いた。
「緋月~!お前可愛いね♪」
そんな俺を見て、藤堂が意地悪な笑みを浮かべる。
「からかわないでよ!」
明らかに藤堂は、俺の反応を見て楽しんでる。
「…やっと本音を見せたな」
「!!!」
それはこっちの台詞だ!
藤堂に対する印象が、変わった瞬間だった。
意外な人物に、俺は目を見開く。
授業が終わってかなり時間が経つのに、まだ帰ってなかったのか。
「緋月、その曲……?」
「え?」
あまりにも藤堂の声が小さすぎて聞き取れず、思わず聞き返した。
「その曲、『ヴォイス』だろ?」
「……っ!」
俺は思わず、息を呑んだ。
『ヴォイス』は同じ名前の香水のCMに使われている曲だ。
全国から一般公募した数百という曲の中から選ばれ、作曲者の名前が『ソウ』ということ以外は公表されていない。
『ソウ』はCMのヒットで一躍『時の人』となったが、年齢も性別も非公開な謎の人物だ。
「緋月、どうして、その曲が弾けるんだ?楽譜は公表してないだろ?」
確かに藤堂の言う通り、楽譜は世の中に出回ってはいない。
内心、なんでこんなに詳しいんだ?と思いつつも簡潔に答える。
「暗譜したから」
「暗譜?」
あまり聞き慣れない言葉だったのか、藤堂は首を傾げた。
「うち音楽一家だから、昔から色々叩きこまれてきたんだよね。だから一回聞いた曲は大抵弾けるよ」
「凄いな」
「凄い?」
俺にとって出来て当たり前のことだったので、そう言われてもピンとこない。
「だって緋月が努力したから出来るようになったことだろ?いくら英才教育されたからって、誰もが出来ることじゃないし」
「……っ!」
そんなことを言われたのは初めてだった。
親が有名だから、出来て当たり前。
環境に恵まれているから、出来ない方がおかしいと言われ続けてきた俺に、藤堂の言葉は衝撃だった。
(こんな風に考えてくれる人もいるんだ)
「……ありがとう」
ちょっと照れてしまい、顔を赤くして俯いた。
「緋月~!お前可愛いね♪」
そんな俺を見て、藤堂が意地悪な笑みを浮かべる。
「からかわないでよ!」
明らかに藤堂は、俺の反応を見て楽しんでる。
「…やっと本音を見せたな」
「!!!」
それはこっちの台詞だ!
藤堂に対する印象が、変わった瞬間だった。
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