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開院してからの毎日は本当に忙しく、子供の急な発熱から怪我から検診や予防接種まで患者さんはひっきりなし。
隣の産院の海里も忙しいことは忙しいけれどこちらほどではないらしく、時々手伝ってくれている。
患者さんの波もひと段落ついたところで2人でお茶を飲む。
「はー忙しいね。海里がいてくれなかったらどうなってたことか…本当に助かったよ。ありがとう。」
というと海里は
「朔の役に立てたなら良かった。朔が大変な時は僕がいつもそばにいたいからね。それにこっちの病院のバース科の手伝いもしてくれてるからおあいこだよ。」
産婦人科はアルファやオメガのフェロモン不全とか不妊とかバース性で悩む人の診察もしている。
僕は両性ベータという特殊な性だから自分のことを知るために小児科と共にバース科も専攻していてなんならバース科の診察の方が得意だったりもする。
実のところ普段高人と汐李が僕を甘やかして何もさせてくれないので、程よく僕を頼ってくれる海里の隣はそれなりに居心地が良い…何となくそのことは高人と汐李には言ってはいけないと感じているけど。
とはいえ友だちとはいえこんなに色々良くしてもらって申し訳ないよね。
「海里は誰かと結婚したいとか考えないの?僕のお世話ばっかりしてて良いの?」
「朔のお世話がしたいんだよ。高人や汐李では出来ないお世話もあるでしょ?」
えっ?お世話?
「たとえば今日みたいに病院の仕事を手伝ったり、この後市場に買い物行く時のボディガードとか。」
ボディガード?両性だけど僕ベータの男だよ?
高人と汐李が僕にフェロモンのマーキングをしっかりしてるから番のいない普通のアルファやオメガは寄り付けないんだよ。
上位は別みたいなんだけど、そうそう上位のアルファやオメガなんてお目にかからないしね。
「朔はさ、自覚が無いみたいだけど凄く美人で可愛らしい見た目をしているよ。笑顔も可愛くて受け答えも優しいから男女問わず性差問わず皆が朔に好意を寄せてるよ。」
そうなの?全然気付かなかった。
「そういう視線とか、話しかけようとする奴とか僕が全部ガードしてるのしらないでしょ?これ、もし僕いなかったら高人と汐李に監禁されちゃうからね。」
僕は思わずギョッとした顔になった。
それを見て海里はクスリと笑った。
「僕は自分で選んで朔のそばにいて朔を守ってる。結婚なんてするつもりはないから気にしないで。」
そう言われてしまうと僕は何も言えなかった。
そんな日々を送っているうちに結婚式の日が来た。
数日前から僕の両親や高人の家族が来てくれた。
汐李の両親は汐李が招待するのをしぶって、小鳥遊夫妻もちょっと遠慮がちになってしまってどうしたものか…と思ってたんだけど、僕のお母さんが汐李には国際電話で、小鳥遊夫妻には直接会って説得してくれた。
それでお互いが歩み寄って結婚式の前日に来てくれた。
式は王国の中心にある大聖堂で厳かに行われた。
高人のお祖母様も里帰りついでにと来てくれて、そしたら国王まで参列してくれて一部SPさんがいたりして物々しい感じになってしまったけど皆にお祝いしてもらえて本当に嬉しかった。
僕は白いタキシードで高人と汐李はシルバーのタキシード。
バージンロードは僕の両脇に両親が揃って、高人と汐李の所へ歩いた。
一歩ずつゆっくりと歩みを進める。
今まで両親には愛情を沢山かけてもらって僕は幸せな子供時代を過ごしてきた。
これからは高人と汐李と一緒に幸せになる。
両親から高人と汐李に引き継がれる。
僕は両親にありがとう…とつたえた。
両親はにっこりして携えた手を2人に渡した。
高人と汐李に手を取られて祭壇に進む。
牧師さんが僕たちに誓いの言葉を述べる。
「朔、高人、汐李、あなたたちは病める時も健やかなる時も喜びの時も悲しみの時も富める時も貧しい時もお互いを愛し敬い慰め合い、共に助け合いその命のある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「「「はい。誓います。」」」
そして指輪の交換。
高人からはゴールドの汐李からはプラチナのリングを贈られた。
少しねじったようなデザインのリングは一つでも素敵だけど重ね付けするとまた違った雰囲気になる。
僕も高人の薬指と汐李の薬指にそれぞれ指輪をはめる。
両方から頬にキスをされて皆に祝福された。
戸籍上は僕の戸籍に高人と汐李が入籍する形なんだけど、なぜだか僕がブーケトスをすることになり後ろを向いてブーケを投げた。
ブーケを受け取ったのは、国王の付き添いできた孫娘。
彼女は幼い頃から婚約者がいて近いうちに結婚するらしい。
こうして沢山のライスシャワーを浴びて皆に祝福されて僕たちは結婚式を挙げた。
隣の産院の海里も忙しいことは忙しいけれどこちらほどではないらしく、時々手伝ってくれている。
患者さんの波もひと段落ついたところで2人でお茶を飲む。
「はー忙しいね。海里がいてくれなかったらどうなってたことか…本当に助かったよ。ありがとう。」
というと海里は
「朔の役に立てたなら良かった。朔が大変な時は僕がいつもそばにいたいからね。それにこっちの病院のバース科の手伝いもしてくれてるからおあいこだよ。」
産婦人科はアルファやオメガのフェロモン不全とか不妊とかバース性で悩む人の診察もしている。
僕は両性ベータという特殊な性だから自分のことを知るために小児科と共にバース科も専攻していてなんならバース科の診察の方が得意だったりもする。
実のところ普段高人と汐李が僕を甘やかして何もさせてくれないので、程よく僕を頼ってくれる海里の隣はそれなりに居心地が良い…何となくそのことは高人と汐李には言ってはいけないと感じているけど。
とはいえ友だちとはいえこんなに色々良くしてもらって申し訳ないよね。
「海里は誰かと結婚したいとか考えないの?僕のお世話ばっかりしてて良いの?」
「朔のお世話がしたいんだよ。高人や汐李では出来ないお世話もあるでしょ?」
えっ?お世話?
「たとえば今日みたいに病院の仕事を手伝ったり、この後市場に買い物行く時のボディガードとか。」
ボディガード?両性だけど僕ベータの男だよ?
高人と汐李が僕にフェロモンのマーキングをしっかりしてるから番のいない普通のアルファやオメガは寄り付けないんだよ。
上位は別みたいなんだけど、そうそう上位のアルファやオメガなんてお目にかからないしね。
「朔はさ、自覚が無いみたいだけど凄く美人で可愛らしい見た目をしているよ。笑顔も可愛くて受け答えも優しいから男女問わず性差問わず皆が朔に好意を寄せてるよ。」
そうなの?全然気付かなかった。
「そういう視線とか、話しかけようとする奴とか僕が全部ガードしてるのしらないでしょ?これ、もし僕いなかったら高人と汐李に監禁されちゃうからね。」
僕は思わずギョッとした顔になった。
それを見て海里はクスリと笑った。
「僕は自分で選んで朔のそばにいて朔を守ってる。結婚なんてするつもりはないから気にしないで。」
そう言われてしまうと僕は何も言えなかった。
そんな日々を送っているうちに結婚式の日が来た。
数日前から僕の両親や高人の家族が来てくれた。
汐李の両親は汐李が招待するのをしぶって、小鳥遊夫妻もちょっと遠慮がちになってしまってどうしたものか…と思ってたんだけど、僕のお母さんが汐李には国際電話で、小鳥遊夫妻には直接会って説得してくれた。
それでお互いが歩み寄って結婚式の前日に来てくれた。
式は王国の中心にある大聖堂で厳かに行われた。
高人のお祖母様も里帰りついでにと来てくれて、そしたら国王まで参列してくれて一部SPさんがいたりして物々しい感じになってしまったけど皆にお祝いしてもらえて本当に嬉しかった。
僕は白いタキシードで高人と汐李はシルバーのタキシード。
バージンロードは僕の両脇に両親が揃って、高人と汐李の所へ歩いた。
一歩ずつゆっくりと歩みを進める。
今まで両親には愛情を沢山かけてもらって僕は幸せな子供時代を過ごしてきた。
これからは高人と汐李と一緒に幸せになる。
両親から高人と汐李に引き継がれる。
僕は両親にありがとう…とつたえた。
両親はにっこりして携えた手を2人に渡した。
高人と汐李に手を取られて祭壇に進む。
牧師さんが僕たちに誓いの言葉を述べる。
「朔、高人、汐李、あなたたちは病める時も健やかなる時も喜びの時も悲しみの時も富める時も貧しい時もお互いを愛し敬い慰め合い、共に助け合いその命のある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「「「はい。誓います。」」」
そして指輪の交換。
高人からはゴールドの汐李からはプラチナのリングを贈られた。
少しねじったようなデザインのリングは一つでも素敵だけど重ね付けするとまた違った雰囲気になる。
僕も高人の薬指と汐李の薬指にそれぞれ指輪をはめる。
両方から頬にキスをされて皆に祝福された。
戸籍上は僕の戸籍に高人と汐李が入籍する形なんだけど、なぜだか僕がブーケトスをすることになり後ろを向いてブーケを投げた。
ブーケを受け取ったのは、国王の付き添いできた孫娘。
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