21 / 40
21.それぞれの魂胆
しおりを挟む
コンチュ・エレファンスは憤慨している。
彼女にとって、キャスリン・アクミナータという令嬢は常に目の上の瘤であった。
家族から「高位貴族でありながら金のために下賎な者たちに媚びへつらう、軽蔑すべき侯爵家の娘」と教えられてきた存在であるにも関わらず、いつの間にか第一王子の婚約者の座を手にし、何故だか自分を差し置いて他の令嬢たちの憧れの的、ファッションリーダーになっていたからだ。
これまで視界に入れるたびに優越感を抱き見下してきた存在が、自分より多くのものを得るなどということは、歪んだ意味でプライドの高いコンチュには到底耐えられないことだった。
(あんな女、普段ならとっくに立場を分からせてやれるのに……!)
侯爵令嬢というだけでなく、王子の婚約者という高貴な立場にあるため、今まで気に入らないからと潰してきた令嬢や使用人たちのように表立って手出しできないことも、その怒れる感情に拍車をかけたに違いない。
(ああ、潰してやりたい……!手駒の令嬢達を使って大人数で囲んで罵声を浴びせて、ご自慢のドレスも髪もめちゃめちゃにして恥をかかせて、二度と人前に出たくなくなるくらい恐怖を刻み付けてやりたいし、顔に傷を付けて嫁入りできなくしてやってもいい。
それくらいのこと、いつもなら全員で口裏を合わせれば誰も何も言えないのに!あああ、目障りな女!潰したい消したい潰したい……!)
だから、フラン・ショーンとやらを通じて第一王子の側近候補たちから持ちかけられた話は、彼女にとってこれ以上なく甘美な誘いであった。
「コンチュ様。ジェフリー第一王子殿下の『運命の女性』になって、あのキャスリン・アクミナータから婚約者の座を奪い取ってみるつもりはありませんか?
……我々は憂えているのです。目先の利益のために矜持をかなぐり捨てるような家門の娘が未来の国母となることを。
そして、同時に確信しているのです。誇り高き侯爵家に生まれ、貴族の何たるかをよくよく理解なさっている、美しく聡明な貴女こそが王妃となるに相応しいと。
もちろん、斯様な申し出をする以上、必要な情報は全て我々が提供いたします。
王子殿下の女性の好み、興味を示す話題、その他ありとあらゆる趣味嗜好……。
念のため申し上げておきますが、この試みは学園という閉鎖的な環境だからこそ可能となること。在外中の限られた期間にのみ許される、唯一にして絶好のチャンスですよ。
どうです、あの女の悔しがる顔、御覧になりたいでしょう?」
それはいやにゆっくりとした口ぶりであったものの、妙に説得力を感じさせた。
考えるまでもなく、コンチュは頷いたのだった。
(口うるさいあいつらの「手助け」は鬱陶しかったけれど、結果としてジェフリー殿下の寵愛を受けたのは私。
殿下との仲を見せつけてやるのはすっごく楽しかったし、悔しくてたまらない癖に平気なふりをするあの女の顔は笑えたわ。
殿下を泣き落として罵倒させてやるのも面白かったっけ。
でもまだまだ生意気だったから、今日こそボロボロになるまで叩きのめして身の程を分からせてやろうと楽しみにしていたのに……なのに、なんで!)
彼女はギリリと奥歯を噛んだ。
(なんであの女があのブルーノ様に庇われて、しかもちょっと親しげなのよ!?)
今現在、彼女にとって信じがたい光景が目の前にある。
何よりも、頬をほのかに染めて嬉しそうに媚びているキャスリンの表情が神経を逆撫でした。
(あの女を蹴落として次期王妃の座を手に入れたら、今度こそその権力を使ってじっくりいたぶって遊ぶつもりだったのに。
このままじゃ私の楽しい計画が台無しだわ!断罪から逃れて、おまけにあんな美しい上等な男を手に入れるだなんて、許せない!絶対に逃がすもんですか……!)
──そうだ、何としてもここで引きずり下ろしてやる。そのためのとっておきの手札も用意してあるのだから。
コンチュ・エレファンスは、そう決意を新たにするのだった。
* * * *
フラン・ショーンは動揺していた。
彼は幼い頃から野心家であった。
それは突然変異と言うこともできるし、あるいは拗らせた貴族教育の帰結ともいえるのかもしれない。
とにかく、同年代の子供と比べて物覚えが良かったために家族や使用人に褒められ肯定され続けて育った彼は、優秀な自分が頭を下げなければならない相手が多すぎる現実に常々不満を感じている、そういう子供だった。
そこそこの伯爵家の次男として生まれ、敬われていることに違いはなくとも、上には常に上がいるのである。
王族、公爵家、侯爵家。伯爵家同士ですらそれぞれに格があり、決して同列ではなく。
彼にはそれが耐え難い屈辱であった。
(僕は優秀だ。こんな小物どもに一生ペコペコして終わるべき器じゃない。もっと、もっと賞賛を受け、かしずかれるべきなんだ。)
また、なまじ頭の回転が速い彼は、ショーン伯爵家にとっての自分が長兄のスペアにすぎない事実にも、比較的早い段階で気付いていた。
あんなにも大切に育てられた理由は、伯爵家の跡取りである兄の予備であるからというただそれだけであり、いかに優秀であろうと自身の価値は生まれてから死に至るまで、兄に勝ることはないのだと。
そのことも、幼いながらに肥大していた彼の自尊心を傷つけた。
そんなわけで、愛想良く張り付けた微笑の裏で、彼は自分の才能を知らしめる機会を虎視眈々と狙っていたのだ。
だから、第一王子の将来の側近候補と同義である「ご友人」を選定するという話が回ってきたとき、彼は勢いよく立候補したし(もちろん、表向きは王子殿下に憧れる無邪気な子供を装って)、見事その座を射止めた後は野心を見抜かれぬよう潜伏しながら、いずれ自分が権勢を振るうための環境を着実に整えていった。
(側近候補の中から邪魔になりそうな人間を排除したのも、王子の正義感や生真面目さを見抜き利用して「友人」の意見に流されやすい腑抜けに育て上げたのも、妨げになりそうなアクミナータ侯爵令嬢の悪評を王子に吹き込んで隅に追いやったのも、御しやすそうな高位貴族の女を見繕って王子のお気に入りに仕立てたのも。
全部ぜんぶ、僕自身の手を汚すことなく、愚かな他人を上手く唆してやってきた。
……まああの革新派あがりの婚約者に関しては、蓋を開けてみれば当たらずとも遠からずの馬鹿女だったようだから、ああまで徹底する必要もなかっただろうが。)
そしてついに、今日のこの断罪劇にまで持ち込んだのだ。
(ククッ、誰もこの舞台の黒幕が僕だとは気付きもしまい。王子たちですら、自分たちで設えたものだと思い込んでいるのだからな。
クッククク、僕がお膳立てしてやらなければ何もできない馬鹿どもが!)
勝利を確信した彼は、もはや込み上げる高笑いを抑えるのに必死であった。
(もう少しだ。もう少しで何もかもが完璧になる。
僕にとって操りやすい人間だけが残り、僕が存分に権力を振るうための準備が完全に整って、僕の思いどおりの世界が訪れる!
愚者は愚者らしく僕の顔色を窺い、優秀な僕のために使い潰される世界が!)
彼の頭は、既に野心が叶った輝かしい瞬間を思い描いていた。
……そう、ほんの数分前までは。
(なぜ!なぜだ!?僕の理想の世界がすぐ目の前にあるのに!
なぜバビルシアーナ公爵家と王宮騎士団が出てくるのだ!?
なぜ奴らは、王の詔などを携えているのだ!?)
あまり得意でない突発的な事態に狼狽するフランだったが、すぐに何かに気づいたように落ち着きを取り戻す。
(……いや、優秀な僕としたことが。無粋な介入者に心を乱されてしまったな。
まだ、まだ問題ない、大丈夫だ。王宮が介入してきたとはいえ、考えてみれば直接の相手はあの馬鹿女。
舌先三寸だろうが何だろうが徹底的にやり込め、そのざまを見せつけて公爵令息を丸め込んでしまえばこちらのものだ。)
そうだ、何も恐れることはない。
理想の世界は着実に近づいてきている。
優秀な自分を一瞬でも焦らせた奴らへの仕置きは、全てが終わってからじっくり行うとしよう。
頭の中でそう算段を付けたフラン・ショーンは、自らの計画の成功を信じてほくそ笑むのだった。
彼女にとって、キャスリン・アクミナータという令嬢は常に目の上の瘤であった。
家族から「高位貴族でありながら金のために下賎な者たちに媚びへつらう、軽蔑すべき侯爵家の娘」と教えられてきた存在であるにも関わらず、いつの間にか第一王子の婚約者の座を手にし、何故だか自分を差し置いて他の令嬢たちの憧れの的、ファッションリーダーになっていたからだ。
これまで視界に入れるたびに優越感を抱き見下してきた存在が、自分より多くのものを得るなどということは、歪んだ意味でプライドの高いコンチュには到底耐えられないことだった。
(あんな女、普段ならとっくに立場を分からせてやれるのに……!)
侯爵令嬢というだけでなく、王子の婚約者という高貴な立場にあるため、今まで気に入らないからと潰してきた令嬢や使用人たちのように表立って手出しできないことも、その怒れる感情に拍車をかけたに違いない。
(ああ、潰してやりたい……!手駒の令嬢達を使って大人数で囲んで罵声を浴びせて、ご自慢のドレスも髪もめちゃめちゃにして恥をかかせて、二度と人前に出たくなくなるくらい恐怖を刻み付けてやりたいし、顔に傷を付けて嫁入りできなくしてやってもいい。
それくらいのこと、いつもなら全員で口裏を合わせれば誰も何も言えないのに!あああ、目障りな女!潰したい消したい潰したい……!)
だから、フラン・ショーンとやらを通じて第一王子の側近候補たちから持ちかけられた話は、彼女にとってこれ以上なく甘美な誘いであった。
「コンチュ様。ジェフリー第一王子殿下の『運命の女性』になって、あのキャスリン・アクミナータから婚約者の座を奪い取ってみるつもりはありませんか?
……我々は憂えているのです。目先の利益のために矜持をかなぐり捨てるような家門の娘が未来の国母となることを。
そして、同時に確信しているのです。誇り高き侯爵家に生まれ、貴族の何たるかをよくよく理解なさっている、美しく聡明な貴女こそが王妃となるに相応しいと。
もちろん、斯様な申し出をする以上、必要な情報は全て我々が提供いたします。
王子殿下の女性の好み、興味を示す話題、その他ありとあらゆる趣味嗜好……。
念のため申し上げておきますが、この試みは学園という閉鎖的な環境だからこそ可能となること。在外中の限られた期間にのみ許される、唯一にして絶好のチャンスですよ。
どうです、あの女の悔しがる顔、御覧になりたいでしょう?」
それはいやにゆっくりとした口ぶりであったものの、妙に説得力を感じさせた。
考えるまでもなく、コンチュは頷いたのだった。
(口うるさいあいつらの「手助け」は鬱陶しかったけれど、結果としてジェフリー殿下の寵愛を受けたのは私。
殿下との仲を見せつけてやるのはすっごく楽しかったし、悔しくてたまらない癖に平気なふりをするあの女の顔は笑えたわ。
殿下を泣き落として罵倒させてやるのも面白かったっけ。
でもまだまだ生意気だったから、今日こそボロボロになるまで叩きのめして身の程を分からせてやろうと楽しみにしていたのに……なのに、なんで!)
彼女はギリリと奥歯を噛んだ。
(なんであの女があのブルーノ様に庇われて、しかもちょっと親しげなのよ!?)
今現在、彼女にとって信じがたい光景が目の前にある。
何よりも、頬をほのかに染めて嬉しそうに媚びているキャスリンの表情が神経を逆撫でした。
(あの女を蹴落として次期王妃の座を手に入れたら、今度こそその権力を使ってじっくりいたぶって遊ぶつもりだったのに。
このままじゃ私の楽しい計画が台無しだわ!断罪から逃れて、おまけにあんな美しい上等な男を手に入れるだなんて、許せない!絶対に逃がすもんですか……!)
──そうだ、何としてもここで引きずり下ろしてやる。そのためのとっておきの手札も用意してあるのだから。
コンチュ・エレファンスは、そう決意を新たにするのだった。
* * * *
フラン・ショーンは動揺していた。
彼は幼い頃から野心家であった。
それは突然変異と言うこともできるし、あるいは拗らせた貴族教育の帰結ともいえるのかもしれない。
とにかく、同年代の子供と比べて物覚えが良かったために家族や使用人に褒められ肯定され続けて育った彼は、優秀な自分が頭を下げなければならない相手が多すぎる現実に常々不満を感じている、そういう子供だった。
そこそこの伯爵家の次男として生まれ、敬われていることに違いはなくとも、上には常に上がいるのである。
王族、公爵家、侯爵家。伯爵家同士ですらそれぞれに格があり、決して同列ではなく。
彼にはそれが耐え難い屈辱であった。
(僕は優秀だ。こんな小物どもに一生ペコペコして終わるべき器じゃない。もっと、もっと賞賛を受け、かしずかれるべきなんだ。)
また、なまじ頭の回転が速い彼は、ショーン伯爵家にとっての自分が長兄のスペアにすぎない事実にも、比較的早い段階で気付いていた。
あんなにも大切に育てられた理由は、伯爵家の跡取りである兄の予備であるからというただそれだけであり、いかに優秀であろうと自身の価値は生まれてから死に至るまで、兄に勝ることはないのだと。
そのことも、幼いながらに肥大していた彼の自尊心を傷つけた。
そんなわけで、愛想良く張り付けた微笑の裏で、彼は自分の才能を知らしめる機会を虎視眈々と狙っていたのだ。
だから、第一王子の将来の側近候補と同義である「ご友人」を選定するという話が回ってきたとき、彼は勢いよく立候補したし(もちろん、表向きは王子殿下に憧れる無邪気な子供を装って)、見事その座を射止めた後は野心を見抜かれぬよう潜伏しながら、いずれ自分が権勢を振るうための環境を着実に整えていった。
(側近候補の中から邪魔になりそうな人間を排除したのも、王子の正義感や生真面目さを見抜き利用して「友人」の意見に流されやすい腑抜けに育て上げたのも、妨げになりそうなアクミナータ侯爵令嬢の悪評を王子に吹き込んで隅に追いやったのも、御しやすそうな高位貴族の女を見繕って王子のお気に入りに仕立てたのも。
全部ぜんぶ、僕自身の手を汚すことなく、愚かな他人を上手く唆してやってきた。
……まああの革新派あがりの婚約者に関しては、蓋を開けてみれば当たらずとも遠からずの馬鹿女だったようだから、ああまで徹底する必要もなかっただろうが。)
そしてついに、今日のこの断罪劇にまで持ち込んだのだ。
(ククッ、誰もこの舞台の黒幕が僕だとは気付きもしまい。王子たちですら、自分たちで設えたものだと思い込んでいるのだからな。
クッククク、僕がお膳立てしてやらなければ何もできない馬鹿どもが!)
勝利を確信した彼は、もはや込み上げる高笑いを抑えるのに必死であった。
(もう少しだ。もう少しで何もかもが完璧になる。
僕にとって操りやすい人間だけが残り、僕が存分に権力を振るうための準備が完全に整って、僕の思いどおりの世界が訪れる!
愚者は愚者らしく僕の顔色を窺い、優秀な僕のために使い潰される世界が!)
彼の頭は、既に野心が叶った輝かしい瞬間を思い描いていた。
……そう、ほんの数分前までは。
(なぜ!なぜだ!?僕の理想の世界がすぐ目の前にあるのに!
なぜバビルシアーナ公爵家と王宮騎士団が出てくるのだ!?
なぜ奴らは、王の詔などを携えているのだ!?)
あまり得意でない突発的な事態に狼狽するフランだったが、すぐに何かに気づいたように落ち着きを取り戻す。
(……いや、優秀な僕としたことが。無粋な介入者に心を乱されてしまったな。
まだ、まだ問題ない、大丈夫だ。王宮が介入してきたとはいえ、考えてみれば直接の相手はあの馬鹿女。
舌先三寸だろうが何だろうが徹底的にやり込め、そのざまを見せつけて公爵令息を丸め込んでしまえばこちらのものだ。)
そうだ、何も恐れることはない。
理想の世界は着実に近づいてきている。
優秀な自分を一瞬でも焦らせた奴らへの仕置きは、全てが終わってからじっくり行うとしよう。
頭の中でそう算段を付けたフラン・ショーンは、自らの計画の成功を信じてほくそ笑むのだった。
10
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる