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2.学園編
第13章 王子、体を鍛える
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(もうっ! 何なのこの謎の敗北感は! 理不尽以外の何物でもないわ!)
一人残されたクラウディアは、中庭をぐるぐる回りながら気持ちを落ち着けようとした。あの婚約破棄は今でも許していない。屈辱感が全身を駆け巡るのを必死に抑えて、周りへの影響を最小限に食い止めることを第一に考え行動した。自分のことは後回しになって、今でも自尊心は傷ついたままである。自尊心? そう、わたくしはプライドを傷つけられたことに怒った。王太子妃教育のため費やした労力と時間が無駄になったことに怒った。でもアレックス殿下を失って悲しかった? 政略結婚なのだから愛とか恋とかどうでもいい、部下の一人としてアレックス殿下が職務を全うできるようサポートするのが妻の役割。そう思って来たけど殿下はそうではなかったのだ。もっと心の柔らかい部分に寄り添ってくれる伴侶が欲しかったのだ。自分を愛して欲しかったのだ。私を捨てないでとすがって欲しかったのだ。だから、ローズマリーを選んだ。
「でもっ! あんな形で婚約破棄したことは許してないんだからねっ!」
それからローズマリーについて考えた。男の庇護欲を刺激して器用に世渡りするカマトト少女というイメージは脆くも崩れた。キラキラの王子様に飛びつくミーハー女の方が手玉に取りやすかったのに、思ったより骨がありそうだ。馬鹿な女に引っかかったと思えば、アレックスのことも思う存分軽蔑できたのに。なんか悔しい。そんな思いを引きずって午前中は悶々と過ごした。
その日の昼休み。クラウディアはいつもの場所でマクシミリアンたちと昼食をとっていた。
「えー!? 拳闘部入っていいの? 昨日は駄目って言ってたのにどうしたの?」
野菜と豆がごろごろ入ったクリームスープを食べていたマクシミリアンが思わず顔を上げて尋ねた。
「とにかく、わたくしがとやかく言うことではありませんわ。殿下を信じていますし。それだけのことです」
「まあまあ、お嬢様が心変わりしないうちに早く入部届出してきたほうがいいですよ」
グランはニヤニヤ笑いながらそう言った。
「それよりグラン、殿下のご学友になれそうな人は見つかった?」
「へいへい。昨日親父にも聞いて、アレックス殿下の息がかかってない貴族で、子供が学園に在学している家を調べてみたけど、まあ少ないな。どうしても訳ありな家が残ってしまう。うちみたいに」
「グレンジャー子爵家は商売で利益を得ているだけじゃない。そんなの訳ありでも何でもないわ。とやかく言う連中の方がくだらないのよ」
「お嬢様みたいな人が増えてくれるとこっちも楽なんですがね、貴族の社会はなかなかそうはいかないんですよ」
「僕も別に問題ないと思うよ。働かなきゃお金がもらえないのは普通でしょ」
パンを頬張ったまま、マクシミリアンが同調する。
「殿下もありがとうございます。それより、お嬢様今日何となく元気なくね? 何かあったの?」
クラウディアの食事がいつもより進んでないことにグランは気づいた。
「べっ、別に何でもないけど……そう言えば私って、よかれと思って先に何かしてあげちゃう癖があるけど、本当は迷惑だったのかな……って思ったの。まず相手に確認すべきだったし、本当に信じていればそんなことしないし……」
「だから、殿下の部活に口出しするのやめたの?」
「まあそれもあるかないかと言えばなきにしもあらずだけど……」
すると、食事を終えたばかりのマクシミリアンが言った。
「何があったか知らないけど、僕は感謝しているよ。自分を後回しにしてまで人のことを考えるのはクラウディアの美点だよ。余計なお世話ならそう言えばいいだけのことだし。でも僕はクラウディアと出会わなければ、今でもあの小さい家で閉じた生活を送っていた。自分だけの力では外に出ていこうとは思いつかなかった。クラウディアが背中を押してくれたお陰で今ここにいるんだ。だから、こんなこと言うべきでないのは分かっているけど、婚約破棄のお陰で救われた人間が少なくともここに一人はいるってこと覚えといて」
マクシミリアンはクラウディアの目を見てにこっと笑った。その屈託のない笑顔に、クラウディアは頬がかぁーっと熱くなるのを意識せざるを得なかった。元気がない時に自分が欲しい言葉をピンポイントでくれるのがマクシミリアンだ。なぜか心臓までドキドキする。この反応は何だろう。
「あっ……ありがとう……ございます……」
「ほうら、殿下ったら天然タラシなんだから。お嬢様赤くなっちゃったじゃん。そういや、あのことお嬢様に教えた方がいいんじゃない?」
「あ、そうだ。昨日言ってた選択科目被りの件だけど、今日になって撤回したって生徒会長に言われたんだ」
まだクラウディアの方からは動いてなかった。考えられるとすれば、ローズマリーがアレックスに伝えて、そこから手を回したのだろうか。それしか考えられなかったが、アレックスはマクシミリアンに好感情を持っているとは思えなかったし、確証もないので何も言わなかった。
同じ日の放課後、クラウディアから許しを得たマクシミリアンは、拳闘部の部室に向かった。
「見たところフォークやスプーンより重いものを持ったことがなさそうなんだが、気は確かか?」
4年生の部長ロベルト・ムスタングは、噂通り王子相手にも一般生徒と同じ態度で接した。ここでは爵位よりも学年差で序列が決まっていた。
「その通りと言っても過言でないくらいに弱いので体を鍛えたいんだ。もちろん一番初心者だから下働きでも何でもやる。王子だからって気にしないで欲しい」
「俺がアレックス殿下の片腕と知ってのこのこやって来たのか」
「それは聞いていたけど、別に関係ないだろう? アレックスと僕との間には何にもないんだから。部長ほどの人がそんな下らないことにこだわるとは思えない」
「俺がこだわらなくても、他の者はどう思うかな」
「それでも無視されるよりはマシだよ。煙たがられて遠ざけられるより、何でもいいから意識される方がよっぽどいい。それに、僕は自分の目的さえ果たせれば多少のことは目をつむれる」
その答えにロベルトはどう反応したらよいか一瞬分からなくなったが、気を取り直した。
「それなら当分は毎日30分前に来て部室の掃除と、終わった後に道具の片づけをするように。あと洗濯とか色々。まあ雑用だな。その合間にまずは筋トレでもしてろ。筋肉があるとは思えない身体だが」
「ありがとう!」
「あと、ここでは王族とか関係ないから先輩には敬語で接するように。分かったら早速始めろ」
「はい、分かりました!」
その日からマクシミリアンの部活が始まった。彼は余計なプライドは持ち合わせてないらしく、王子らしい扱いをされないことについて何の不満もなかった。これがアレックスなら多少は考慮されるのかもしれないが、例えそうだとしても、マクシミリアンには関係のないことだった。
「それただの雑用係じゃありませんの? 学園の場合、普通は雑用専用の使用人を雇用しているはずですわ」
マクシミリアンを信じると言いながらどうしても気になってしまうクラウディアは、けげんな表情を浮かべた。
「軍隊生活を想定しているから、あそこはそういうのは雇わないんだよ。戦場では兵士が全てやらなきゃだろ?」
「殿下、アレックス殿下の息のかかった者からいじめられたりしてませんか? もしそのようなことがあったら教えてくださいませ」
「心配してくれてありがとう。でも今のところこれと言ったものはないよ。初めてやることばかりだから何もかも目新しくて。やって無駄なことはないと思う」
そんな状態で2週間ほど経過した。ある日、ロベルトが見回りをしていると、マクシミリアンが大量の衣類を洗濯していた。いつもはこんなに汚れ物が出ないはずだが……とロベルトはいぶかしく思った。
「おい、いつもより量が多いみたいだが何かあったのか?」
「あ、部長こんにちは。間違えてタオルを地面に落としてしまったとのことで今洗ってます。この石けんよく落ちますね」
それにしては不自然な量なので、わざと落としたのではないか……とロベルトは思ったが、何も言わなかった。
「明日も明後日も同じことを言われたら俺に報告するように。そろそろ下働きは飽きてきただろう?」
「いいえ、掃除も洗濯も全身を使ってやる運動だし、体ができていない僕のためによく考えられたプログラムです。いきなりダンベルとか持たされたらどうしようと思ってました」
この王子の頭のお花畑ぶりには頭が下がる。謎のメンタルの強さにロベルトは変に感心してしまった。
「なんでお前は拳闘部に入ろうと思った? 軍に入りたいわけでもないし、体を鍛えるだけならお前でもできそうな貴族向けの部活もあるし」
「てっとり早く力を付けたかったんです。これから目立つ立場になったら命を狙われることもあると思うけど、それにはどうしたらいいか考えて。父上に相談したら、護衛の者が守ってくれるから自分から攻めることは余りない、むしろすばやく逃げられるように瞬発力を磨けと。あといざとなったら殴れるぐらいの力はあった方がいいと。それなら拳闘部かなって」
意外に練られた答えでロベルトは少し驚いた。何にも考えてないようで王子なりに考えていたのだ。
「あと……これは内密にして欲しいんですが、僕に力がないばかりに女の子に恥かかせてしまったことがあったんです。怪我をした女の子を抱えようとしたんですが、うまくいかなくて。その子は自分が太っているせいだと気にしてダイエットまで始めたんですが、そうではないと説明しても分かってもらえませんでした。だからせめて女の子を軽々と抱えるくらいには強くなりたいんです」
「なに? お前女の子を抱えたことがあるのか!?」
ロベルトは焦った。彼はそんなこと経験したことなかった。
「いや、1回きりだし、その子とは別にそんな関係じゃ……ちょっと落ち着いてくださいよ」
「駄目だ。腹筋50回追加な」
仏心を出したばかりに繊細な心が傷ついたロベルトは、再び鬼軍曹に戻った。こうして部長のしごきは遅くまで続けられた。
一人残されたクラウディアは、中庭をぐるぐる回りながら気持ちを落ち着けようとした。あの婚約破棄は今でも許していない。屈辱感が全身を駆け巡るのを必死に抑えて、周りへの影響を最小限に食い止めることを第一に考え行動した。自分のことは後回しになって、今でも自尊心は傷ついたままである。自尊心? そう、わたくしはプライドを傷つけられたことに怒った。王太子妃教育のため費やした労力と時間が無駄になったことに怒った。でもアレックス殿下を失って悲しかった? 政略結婚なのだから愛とか恋とかどうでもいい、部下の一人としてアレックス殿下が職務を全うできるようサポートするのが妻の役割。そう思って来たけど殿下はそうではなかったのだ。もっと心の柔らかい部分に寄り添ってくれる伴侶が欲しかったのだ。自分を愛して欲しかったのだ。私を捨てないでとすがって欲しかったのだ。だから、ローズマリーを選んだ。
「でもっ! あんな形で婚約破棄したことは許してないんだからねっ!」
それからローズマリーについて考えた。男の庇護欲を刺激して器用に世渡りするカマトト少女というイメージは脆くも崩れた。キラキラの王子様に飛びつくミーハー女の方が手玉に取りやすかったのに、思ったより骨がありそうだ。馬鹿な女に引っかかったと思えば、アレックスのことも思う存分軽蔑できたのに。なんか悔しい。そんな思いを引きずって午前中は悶々と過ごした。
その日の昼休み。クラウディアはいつもの場所でマクシミリアンたちと昼食をとっていた。
「えー!? 拳闘部入っていいの? 昨日は駄目って言ってたのにどうしたの?」
野菜と豆がごろごろ入ったクリームスープを食べていたマクシミリアンが思わず顔を上げて尋ねた。
「とにかく、わたくしがとやかく言うことではありませんわ。殿下を信じていますし。それだけのことです」
「まあまあ、お嬢様が心変わりしないうちに早く入部届出してきたほうがいいですよ」
グランはニヤニヤ笑いながらそう言った。
「それよりグラン、殿下のご学友になれそうな人は見つかった?」
「へいへい。昨日親父にも聞いて、アレックス殿下の息がかかってない貴族で、子供が学園に在学している家を調べてみたけど、まあ少ないな。どうしても訳ありな家が残ってしまう。うちみたいに」
「グレンジャー子爵家は商売で利益を得ているだけじゃない。そんなの訳ありでも何でもないわ。とやかく言う連中の方がくだらないのよ」
「お嬢様みたいな人が増えてくれるとこっちも楽なんですがね、貴族の社会はなかなかそうはいかないんですよ」
「僕も別に問題ないと思うよ。働かなきゃお金がもらえないのは普通でしょ」
パンを頬張ったまま、マクシミリアンが同調する。
「殿下もありがとうございます。それより、お嬢様今日何となく元気なくね? 何かあったの?」
クラウディアの食事がいつもより進んでないことにグランは気づいた。
「べっ、別に何でもないけど……そう言えば私って、よかれと思って先に何かしてあげちゃう癖があるけど、本当は迷惑だったのかな……って思ったの。まず相手に確認すべきだったし、本当に信じていればそんなことしないし……」
「だから、殿下の部活に口出しするのやめたの?」
「まあそれもあるかないかと言えばなきにしもあらずだけど……」
すると、食事を終えたばかりのマクシミリアンが言った。
「何があったか知らないけど、僕は感謝しているよ。自分を後回しにしてまで人のことを考えるのはクラウディアの美点だよ。余計なお世話ならそう言えばいいだけのことだし。でも僕はクラウディアと出会わなければ、今でもあの小さい家で閉じた生活を送っていた。自分だけの力では外に出ていこうとは思いつかなかった。クラウディアが背中を押してくれたお陰で今ここにいるんだ。だから、こんなこと言うべきでないのは分かっているけど、婚約破棄のお陰で救われた人間が少なくともここに一人はいるってこと覚えといて」
マクシミリアンはクラウディアの目を見てにこっと笑った。その屈託のない笑顔に、クラウディアは頬がかぁーっと熱くなるのを意識せざるを得なかった。元気がない時に自分が欲しい言葉をピンポイントでくれるのがマクシミリアンだ。なぜか心臓までドキドキする。この反応は何だろう。
「あっ……ありがとう……ございます……」
「ほうら、殿下ったら天然タラシなんだから。お嬢様赤くなっちゃったじゃん。そういや、あのことお嬢様に教えた方がいいんじゃない?」
「あ、そうだ。昨日言ってた選択科目被りの件だけど、今日になって撤回したって生徒会長に言われたんだ」
まだクラウディアの方からは動いてなかった。考えられるとすれば、ローズマリーがアレックスに伝えて、そこから手を回したのだろうか。それしか考えられなかったが、アレックスはマクシミリアンに好感情を持っているとは思えなかったし、確証もないので何も言わなかった。
同じ日の放課後、クラウディアから許しを得たマクシミリアンは、拳闘部の部室に向かった。
「見たところフォークやスプーンより重いものを持ったことがなさそうなんだが、気は確かか?」
4年生の部長ロベルト・ムスタングは、噂通り王子相手にも一般生徒と同じ態度で接した。ここでは爵位よりも学年差で序列が決まっていた。
「その通りと言っても過言でないくらいに弱いので体を鍛えたいんだ。もちろん一番初心者だから下働きでも何でもやる。王子だからって気にしないで欲しい」
「俺がアレックス殿下の片腕と知ってのこのこやって来たのか」
「それは聞いていたけど、別に関係ないだろう? アレックスと僕との間には何にもないんだから。部長ほどの人がそんな下らないことにこだわるとは思えない」
「俺がこだわらなくても、他の者はどう思うかな」
「それでも無視されるよりはマシだよ。煙たがられて遠ざけられるより、何でもいいから意識される方がよっぽどいい。それに、僕は自分の目的さえ果たせれば多少のことは目をつむれる」
その答えにロベルトはどう反応したらよいか一瞬分からなくなったが、気を取り直した。
「それなら当分は毎日30分前に来て部室の掃除と、終わった後に道具の片づけをするように。あと洗濯とか色々。まあ雑用だな。その合間にまずは筋トレでもしてろ。筋肉があるとは思えない身体だが」
「ありがとう!」
「あと、ここでは王族とか関係ないから先輩には敬語で接するように。分かったら早速始めろ」
「はい、分かりました!」
その日からマクシミリアンの部活が始まった。彼は余計なプライドは持ち合わせてないらしく、王子らしい扱いをされないことについて何の不満もなかった。これがアレックスなら多少は考慮されるのかもしれないが、例えそうだとしても、マクシミリアンには関係のないことだった。
「それただの雑用係じゃありませんの? 学園の場合、普通は雑用専用の使用人を雇用しているはずですわ」
マクシミリアンを信じると言いながらどうしても気になってしまうクラウディアは、けげんな表情を浮かべた。
「軍隊生活を想定しているから、あそこはそういうのは雇わないんだよ。戦場では兵士が全てやらなきゃだろ?」
「殿下、アレックス殿下の息のかかった者からいじめられたりしてませんか? もしそのようなことがあったら教えてくださいませ」
「心配してくれてありがとう。でも今のところこれと言ったものはないよ。初めてやることばかりだから何もかも目新しくて。やって無駄なことはないと思う」
そんな状態で2週間ほど経過した。ある日、ロベルトが見回りをしていると、マクシミリアンが大量の衣類を洗濯していた。いつもはこんなに汚れ物が出ないはずだが……とロベルトはいぶかしく思った。
「おい、いつもより量が多いみたいだが何かあったのか?」
「あ、部長こんにちは。間違えてタオルを地面に落としてしまったとのことで今洗ってます。この石けんよく落ちますね」
それにしては不自然な量なので、わざと落としたのではないか……とロベルトは思ったが、何も言わなかった。
「明日も明後日も同じことを言われたら俺に報告するように。そろそろ下働きは飽きてきただろう?」
「いいえ、掃除も洗濯も全身を使ってやる運動だし、体ができていない僕のためによく考えられたプログラムです。いきなりダンベルとか持たされたらどうしようと思ってました」
この王子の頭のお花畑ぶりには頭が下がる。謎のメンタルの強さにロベルトは変に感心してしまった。
「なんでお前は拳闘部に入ろうと思った? 軍に入りたいわけでもないし、体を鍛えるだけならお前でもできそうな貴族向けの部活もあるし」
「てっとり早く力を付けたかったんです。これから目立つ立場になったら命を狙われることもあると思うけど、それにはどうしたらいいか考えて。父上に相談したら、護衛の者が守ってくれるから自分から攻めることは余りない、むしろすばやく逃げられるように瞬発力を磨けと。あといざとなったら殴れるぐらいの力はあった方がいいと。それなら拳闘部かなって」
意外に練られた答えでロベルトは少し驚いた。何にも考えてないようで王子なりに考えていたのだ。
「あと……これは内密にして欲しいんですが、僕に力がないばかりに女の子に恥かかせてしまったことがあったんです。怪我をした女の子を抱えようとしたんですが、うまくいかなくて。その子は自分が太っているせいだと気にしてダイエットまで始めたんですが、そうではないと説明しても分かってもらえませんでした。だからせめて女の子を軽々と抱えるくらいには強くなりたいんです」
「なに? お前女の子を抱えたことがあるのか!?」
ロベルトは焦った。彼はそんなこと経験したことなかった。
「いや、1回きりだし、その子とは別にそんな関係じゃ……ちょっと落ち着いてくださいよ」
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