15 / 55
2.学園編
第15章 王子、森でご学友をみつける
しおりを挟む
マクシミリアンは王宮に移り住んでからというもの、森に足を踏み入れたことはなかった。王宮の庭園を散歩することはあったが、植物を詳しく観察する気にはなれなかった。自分はこれから新しい世界に飛び込むのだからと、意図的に避けているところもあった。彼にとって森の中とは、寂しい心を紛らわせたり何かに没頭するためのシェルターだ。だからそこに戻るのは逃避している気持ちがして何となく抵抗感があったのだ。だが、久しぶりに足場の悪いけもの道を歩いて、獣や鳥のやかましい声に囲まれながら、木漏れ日が差す薄暗い景色に自らを同化させ、澄んだ空気を肺いっぱいに吸い込みたくなった。
王都には、彼が通ったような森はなかなかない。学園の敷地内に木々が生い茂った一帯があったが、人の手が加えられていて簡単に出入りできるように整備されていた。今はこれで十分だと、彼は高級な革靴を履いたまま中にずんずんと進んだ。誰もいないところで一人きりになりたかった。
クラウディアに話したら、きっと自分の代わりに怒ってくれる。彼女はいつも自分の味方だから全力でかばってくれる。それは確かに心強かったが、今はそうするべきではないと思った。これは自分で解決しなければいけない問題だ、そんな気がした。
マクシミリアンは歩きながら色々考えた。母親は非友好国に嫁いできてどんな気持ちだったのだろう。父親の寵愛を受けても見えないところで嫌がらせが絶えなかったとシーモア夫人が言っていた。そんな孤独な立場でミランダ夫人の存在は大きかったのだろう。母の日記でも、ミランダ夫人と会った日は嬉しかったらしく、生き生きした描写で出来事がつづられていた。ミランダ夫人も病弱で社交的でなかったから、お互いの寂しい心を慰めるうちに無二の親友になったのだろう。結果的にその親友が母親の死の原因を作ったと判明した時は、真実は呆気ないものだと感じた。カップを間違えるなんて、何てつまらない事故だろう。でもあの日、二人が少女時代に戻ったようにはしゃいだ背景には、耐えがたい孤独と抑圧があったのかもしれない。もし母親が間違って薬を飲んでなければ?もし死因がすぐに判明されていたら?シーモア夫人が手紙をすぐに父親に見せていたら?自分は予定通り王太子としてアレックスの代わりに即位していたのだろうか。その時はクラウディアが婚約者になっていたのだろうか。そんな意味のないことを考えていたが、過去に「もしも」は存在しないと悟って打ち消した。
歩みを進めると、カラニの実がぽとぽとと落ちていた。カラニはちょうど今の季節に赤い実を付け、実は生で食べられる他、ジャムなどにも使われる。どこでも手に入るので、主に平民に親しまれる食物だ。マクシミリアンはこの素朴な味が好きだった。よく色づいた実を選んで、枝からむしり取り口に放り込んだ。最初に甘みが、遅れて酸味が口の中に広がり、同時に懐かしさもこみ上げてきた。元の生活に戻りたいとは思わない。新しい世界を知ってしまった今、前に進むことしか考えられない。しかし、前に進むということは舗装された道を歩くのではなく、何もないところに道を作って自ら切り開かなければならないものなのだとここに来て痛感した。
「カラニ集めてんのか?」
突然声がして、マクシミリアンは飛び上がるほど驚いた。人の気配はしなかったはずだ。振り返ると、カラニの木の傍に、褐色の髪をした身長180㎝くらいの大柄な生徒が立っていた。第一印象は熊だったが、確かに学園の制服を着ている。人が近づいていたことに気付かないくらい思索に没頭していたのだろうか。
「集めてるわけじゃないけど、つい懐かしくなって食べたんだ」
「貴族がカラニを懐かしがるなんて珍しいな。主に平民が食べるものなのに」
「うん、村の学校に一時期行ってたから……そこで植物のこと色々教わったんだ」
「貴族なのに寮に入らず平民の学校へ……? ってその髪と目は、もしかしてこないだ入学してきた王子?! 何でこんなところにいるんだ?……つーかいらっしゃるんです?」
マクシミリアンが入学したことは学園で知らぬ者はいないらしい。おまけにこの見た目では隠しようがなかった。
「ああいいよ、丁寧な言葉の方が慣れてないからこのままで。君こそこんなところにいてどうしたの?」
「授業をさぼっている。お前もそうなんだろ……いや、殿下もサボられているとお見受けしますが」
「だから敬語じゃなくていいって。言い方もちょっとおかしいし。まあ僕もサボり……ってことになるのかな。入学してそんなに経ってないのに、これじゃあ先が思いやられるね」
マクシミリアンは自嘲交じりに苦笑した。
「まあ、慣れてきたと思えば……あっ、自己紹介が遅れました。わたくしめはドン・ジャイルズと申します。3年生であります。」
ジャイルズ、ジャイルズ……マクシミリアンは、クラウディアから教わった貴族たちの中にジャイルズという名があったのを思い出した。父は確かジャイルズ男爵、領地は国の南東にあり、肥沃な土地は農作物の生産が盛ん。一男一女がいる。座学では覚えるのが大変だったが、実際の人物を見ると頭に入りやすかった。
「よろしく、ドン。君も植物のことは詳しいの? 僕は植物学を専門に学びたくて大学に入るために学園に入学したんだけど」
「はっ、わたくしめもいささか興味ありまして多少かじっております……敬語難しいので普通に喋っていいっすか?」
「気を遣う必要はないよ……それより多少かじっていると言ったけど君も大学行くの?」
「はっ、小生は、じゃなくて俺は長男なんで、家督を継がなきゃいけないから行きたくても行けないんです。薬を買う余裕がない平民が使う薬草にどれだけの薬理効果があるか研究したいんですが」
「それは僕も興味ある。お金がないから薬草を使っているのか、あるいは本当は薬にも匹敵する効果があるのか疑問に思っていた。もし後者なら薬草の成分を抽出して新しい薬を作ることもできる。それを平民たちに還元することもできる」
話しているうちに、心の中を占めていた重しが軽くなるのを感じた。こっちに来てから不慣れなことばかりだったけれど、久しぶりに好きな話題を話すことができて心の中が潤う感じがした。しかも、今まで自分だけのものだった趣味について、一緒に語れる友人ができたのは、彼の中で大きな出来事だった。
「話すうちに気が楽になってきた。悩み事なんて忘れちゃったよ。付き合ってくれてありがとう。そうだ、君、僕の『ご学友』にならない?」
「ご、ご学友?!」
「クラウディアに学園に入ったら友達を何人か作らないといけないって言われたんだ。今までそんなもの必要ないと思ってたけど、やっぱりいた方が心強い。クラウディア達にも会ってもらいたいから、明日のお昼に紹介するよ」
「あのブルックハーストの令嬢?! やはり第一王子に乗り換えたという噂は本当だったのか……本当に会わなきゃ駄目ですか? 植物の話がしたいならいくらでも相手をするんで……」
「大丈夫だよ、クラウディアもグランもみんないい人だよ。ドンもきっと気に入るよ」
「はあ……何かすごいことに巻き込まれてしまった気がするけど、王子の頼みは聞かないわけにいかないし……分かりました」
ドンはがっくりとうなだれ承諾した。クラウディアがとてつもなく恐れられているのか、ドンがただの怖がりなのか、マクシミリアンは理解できなかった。
そして翌日の昼休み。
「ドン・ジャイルズが殿下と同じ趣味を持っていたとは知りませんでしたわ。植物の話相手としてはいいのでなくて?家柄にも問題ないみたいだし」
「そうだな。親父さんは出世街道からは外れているが、領地が豊かなので家は安定している。人畜無害な熊と思えばどうってことない」
「ちょっと、何で俺値踏みされているんですか? だから怖いって言ったのに」
クラウディアとグランが評価を下すのを見てドンは怯えていた。見た目はどっしりしているが、実は臆病らしい。
「別に取って食べるわけじゃございませんわ。殿下のご学友とあらば身体検査をされるのは必然ですわよ、ドン先輩。殿下に変な虫が着いては大変ですから」
「殿下の趣味ならいくらでも付き合うので虫扱いはやめてくれ! やはり、『ブルックハーストの娘が第一王子に媚薬を盛った』という噂は本当だったのか……そうでなければこんな」
「なんですって? どこまで噂が大きくなっているのよ?! 媚薬なんて誰が言ってたの?」
クラウディアは流石に聞き捨てならないとばかりに声を上げ、グランにたしなめられた。
「でも僕、クラウディアなら媚薬盛られてもいいよ。あってもなくても結果は同じだと思うけど」
マクシミリアンは一人のん気ににこにこ笑っていた。
「これでご学友第一号だね。よろしく、ドン」
王都には、彼が通ったような森はなかなかない。学園の敷地内に木々が生い茂った一帯があったが、人の手が加えられていて簡単に出入りできるように整備されていた。今はこれで十分だと、彼は高級な革靴を履いたまま中にずんずんと進んだ。誰もいないところで一人きりになりたかった。
クラウディアに話したら、きっと自分の代わりに怒ってくれる。彼女はいつも自分の味方だから全力でかばってくれる。それは確かに心強かったが、今はそうするべきではないと思った。これは自分で解決しなければいけない問題だ、そんな気がした。
マクシミリアンは歩きながら色々考えた。母親は非友好国に嫁いできてどんな気持ちだったのだろう。父親の寵愛を受けても見えないところで嫌がらせが絶えなかったとシーモア夫人が言っていた。そんな孤独な立場でミランダ夫人の存在は大きかったのだろう。母の日記でも、ミランダ夫人と会った日は嬉しかったらしく、生き生きした描写で出来事がつづられていた。ミランダ夫人も病弱で社交的でなかったから、お互いの寂しい心を慰めるうちに無二の親友になったのだろう。結果的にその親友が母親の死の原因を作ったと判明した時は、真実は呆気ないものだと感じた。カップを間違えるなんて、何てつまらない事故だろう。でもあの日、二人が少女時代に戻ったようにはしゃいだ背景には、耐えがたい孤独と抑圧があったのかもしれない。もし母親が間違って薬を飲んでなければ?もし死因がすぐに判明されていたら?シーモア夫人が手紙をすぐに父親に見せていたら?自分は予定通り王太子としてアレックスの代わりに即位していたのだろうか。その時はクラウディアが婚約者になっていたのだろうか。そんな意味のないことを考えていたが、過去に「もしも」は存在しないと悟って打ち消した。
歩みを進めると、カラニの実がぽとぽとと落ちていた。カラニはちょうど今の季節に赤い実を付け、実は生で食べられる他、ジャムなどにも使われる。どこでも手に入るので、主に平民に親しまれる食物だ。マクシミリアンはこの素朴な味が好きだった。よく色づいた実を選んで、枝からむしり取り口に放り込んだ。最初に甘みが、遅れて酸味が口の中に広がり、同時に懐かしさもこみ上げてきた。元の生活に戻りたいとは思わない。新しい世界を知ってしまった今、前に進むことしか考えられない。しかし、前に進むということは舗装された道を歩くのではなく、何もないところに道を作って自ら切り開かなければならないものなのだとここに来て痛感した。
「カラニ集めてんのか?」
突然声がして、マクシミリアンは飛び上がるほど驚いた。人の気配はしなかったはずだ。振り返ると、カラニの木の傍に、褐色の髪をした身長180㎝くらいの大柄な生徒が立っていた。第一印象は熊だったが、確かに学園の制服を着ている。人が近づいていたことに気付かないくらい思索に没頭していたのだろうか。
「集めてるわけじゃないけど、つい懐かしくなって食べたんだ」
「貴族がカラニを懐かしがるなんて珍しいな。主に平民が食べるものなのに」
「うん、村の学校に一時期行ってたから……そこで植物のこと色々教わったんだ」
「貴族なのに寮に入らず平民の学校へ……? ってその髪と目は、もしかしてこないだ入学してきた王子?! 何でこんなところにいるんだ?……つーかいらっしゃるんです?」
マクシミリアンが入学したことは学園で知らぬ者はいないらしい。おまけにこの見た目では隠しようがなかった。
「ああいいよ、丁寧な言葉の方が慣れてないからこのままで。君こそこんなところにいてどうしたの?」
「授業をさぼっている。お前もそうなんだろ……いや、殿下もサボられているとお見受けしますが」
「だから敬語じゃなくていいって。言い方もちょっとおかしいし。まあ僕もサボり……ってことになるのかな。入学してそんなに経ってないのに、これじゃあ先が思いやられるね」
マクシミリアンは自嘲交じりに苦笑した。
「まあ、慣れてきたと思えば……あっ、自己紹介が遅れました。わたくしめはドン・ジャイルズと申します。3年生であります。」
ジャイルズ、ジャイルズ……マクシミリアンは、クラウディアから教わった貴族たちの中にジャイルズという名があったのを思い出した。父は確かジャイルズ男爵、領地は国の南東にあり、肥沃な土地は農作物の生産が盛ん。一男一女がいる。座学では覚えるのが大変だったが、実際の人物を見ると頭に入りやすかった。
「よろしく、ドン。君も植物のことは詳しいの? 僕は植物学を専門に学びたくて大学に入るために学園に入学したんだけど」
「はっ、わたくしめもいささか興味ありまして多少かじっております……敬語難しいので普通に喋っていいっすか?」
「気を遣う必要はないよ……それより多少かじっていると言ったけど君も大学行くの?」
「はっ、小生は、じゃなくて俺は長男なんで、家督を継がなきゃいけないから行きたくても行けないんです。薬を買う余裕がない平民が使う薬草にどれだけの薬理効果があるか研究したいんですが」
「それは僕も興味ある。お金がないから薬草を使っているのか、あるいは本当は薬にも匹敵する効果があるのか疑問に思っていた。もし後者なら薬草の成分を抽出して新しい薬を作ることもできる。それを平民たちに還元することもできる」
話しているうちに、心の中を占めていた重しが軽くなるのを感じた。こっちに来てから不慣れなことばかりだったけれど、久しぶりに好きな話題を話すことができて心の中が潤う感じがした。しかも、今まで自分だけのものだった趣味について、一緒に語れる友人ができたのは、彼の中で大きな出来事だった。
「話すうちに気が楽になってきた。悩み事なんて忘れちゃったよ。付き合ってくれてありがとう。そうだ、君、僕の『ご学友』にならない?」
「ご、ご学友?!」
「クラウディアに学園に入ったら友達を何人か作らないといけないって言われたんだ。今までそんなもの必要ないと思ってたけど、やっぱりいた方が心強い。クラウディア達にも会ってもらいたいから、明日のお昼に紹介するよ」
「あのブルックハーストの令嬢?! やはり第一王子に乗り換えたという噂は本当だったのか……本当に会わなきゃ駄目ですか? 植物の話がしたいならいくらでも相手をするんで……」
「大丈夫だよ、クラウディアもグランもみんないい人だよ。ドンもきっと気に入るよ」
「はあ……何かすごいことに巻き込まれてしまった気がするけど、王子の頼みは聞かないわけにいかないし……分かりました」
ドンはがっくりとうなだれ承諾した。クラウディアがとてつもなく恐れられているのか、ドンがただの怖がりなのか、マクシミリアンは理解できなかった。
そして翌日の昼休み。
「ドン・ジャイルズが殿下と同じ趣味を持っていたとは知りませんでしたわ。植物の話相手としてはいいのでなくて?家柄にも問題ないみたいだし」
「そうだな。親父さんは出世街道からは外れているが、領地が豊かなので家は安定している。人畜無害な熊と思えばどうってことない」
「ちょっと、何で俺値踏みされているんですか? だから怖いって言ったのに」
クラウディアとグランが評価を下すのを見てドンは怯えていた。見た目はどっしりしているが、実は臆病らしい。
「別に取って食べるわけじゃございませんわ。殿下のご学友とあらば身体検査をされるのは必然ですわよ、ドン先輩。殿下に変な虫が着いては大変ですから」
「殿下の趣味ならいくらでも付き合うので虫扱いはやめてくれ! やはり、『ブルックハーストの娘が第一王子に媚薬を盛った』という噂は本当だったのか……そうでなければこんな」
「なんですって? どこまで噂が大きくなっているのよ?! 媚薬なんて誰が言ってたの?」
クラウディアは流石に聞き捨てならないとばかりに声を上げ、グランにたしなめられた。
「でも僕、クラウディアなら媚薬盛られてもいいよ。あってもなくても結果は同じだと思うけど」
マクシミリアンは一人のん気ににこにこ笑っていた。
「これでご学友第一号だね。よろしく、ドン」
0
あなたにおすすめの小説
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。
専業プウタ
恋愛
ミリア・カルマンは帝国唯一の公爵家の次女。高貴な皇族の血を引く紫色の瞳を持って生まれたワガママな姉の陰謀で、帝国一裕福でイケメンのレナード・アーデン侯爵と婚約することになる。父親であるカルマン公爵の指示のもと後継者としてアカデミーで必死に勉強してきて首席で卒業した。アカデミー時代からの恋人、サイラスもいる。公爵になる夢も恋人も諦められない。私の人生は私が決めるんだから、イケメンの婚約者になど屈しない。地位も名誉も美しさも備えた婚約者の弱みを握り、婚約を破棄する。そして、大好きな恋人と結婚してみせる。そう決意して婚約者と接しても、この婚約者一筋縄ではいかない。初対面のはずなのに、まるで自分を知っていたかのような振る舞い。ミリアは恋人を裏切りたくない、姉の思い通りになりたくないと思いつつも彼に惹かれてく気持ちが抑えられなくなっていく。
婚約破棄された地味令嬢は、無能と呼ばれた伯爵令息と政略結婚する ~あなたが捨てたのは宝石でした~
新川 さとし
恋愛
「地味で可愛げがない」と婚約破棄された侯爵令嬢クリスティーヌ。
王子の政務を陰で支え続けた功績は、すべて無かったことにされた。
居場所を失った彼女に差し出されたのは、“無能”と噂される伯爵令息ノエルとの政略結婚。
しかし彼の正体は、顔と名前を覚えられない代わりに、圧倒的な知識と判断力を持つ天才だった。
「あなたの価値は、私が覚えています」
そう言って彼の“索引(インデックス)”となることを選んだクリスティーヌ。
二人が手を取り合ったとき、社交界も、王家も、やがて後悔することになる。
これは、不遇な二人が“最良の政略結婚”を選び取り、
静かに、確実に、幸せと評価を積み上げていく物語。
※本作は完結済み(全11話)です。
安心して最後までお楽しみください。
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています
鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。
けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。
指示を出さない。
判断を奪わない。
必要以上に関わらない。
「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。
それなのに――
いつの間にか屋敷は落ち着き、
使用人たちは迷わなくなり、
人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。
誰かに依存しない。
誰かを支配しない。
それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。
必要とされなくてもいい。
役に立たなくてもいい。
それでも、ここにいていい。
これは、
「何もしない」ことで壊れなかった関係と、
「奪わない」ことで続いていった日常を描く、
静かでやさしい結婚生活の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる