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第3章 事前の準備は必須です
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しおりを挟む「ん~っ! よく寝た……」
「ふふ、おはよう。ルカは幸せそうに寝るから見ていて飽きないよ」
…………ん? 聞き覚えのある声だな……。
目を閉じたまま伸びをしていたのだが、思わずパチッと開くと頭上にはパパがいた。
強いて言えば膝枕続行中でした。
お、おぉ……っ! 伸びしたときにパパの顔殴ってないよねっ!?
心配しつつ様子を見ているとパパは書類を手にもって優しい顔をして見つめていました。
殴っていないようなのでホッと小さく息をはいた。
「えっと、仕事中なのに邪魔しちゃってごめんなさい……?」
「いいや、ルカが来てくれると寝ていたとしても和むから邪魔ではないよ? そうだ、ルカ? 君は城に行かなくてもナイトリンガー殿下と手紙のやり取りが出来るんだったね? これを頼んで良いかな?」
手渡されたのは封筒に入った手紙のようなのですぐに届けた方がいいのかな?
「……はい、わかりました」
即座にム・ゲンさんに頼みました。
兄とは毎日手紙のやり取りをしてるので慣れたものなのです。
「ねぇ、ルカ? ルカは蜂蜜のお酒が造れるって報告があったけど……」
「あんなの誰でもできますよ? 簡単に言えば水に蜂蜜を混ぜてからパンを作るときに使うイースト箘を入れて寝かせると言いますか、適度に撹拌するだけですから」
「…………は?」
まぁ、そうなるよね。でも太古のお酒ってそんなものでしょ?
偶然出来上がるみたいなのはよくある話だからね……。
ペニシリンでしょ? コカ・コーラでしょ?
ポテトチップスにコーンフレーク。シリコンゴムにプラスチック。
それに夏に食べたいアイスキャンディーにチョコチップクッキー。
マジ夢が広がる……。
アイスキャンディーなんか夏場ならグレン兄さんに頼めば作れると思ったりもする。
前に作ったリンゴ酢も丁度折り返し地点だし……。
お酒、作っちゃう? 作っちゃう?
「ルカ、材料は蜂蜜と水とイースト箘だけなのかな?」
「簡単なものならそうですよ? 美味しいかどうかは飲んだことないので知りませんけどね」
ニコッと笑うとパパはニコッとーーではなくニヤリと笑いました。
あ、ブラックなパパが全面に出てきてる……。
「蜂蜜は高価だからねぇ……」
「じっくり焦らず長い目で見るなら養蜂と言う手段が……」
その瞬間、ガシッと両方の肩を掴まれました。
ウグッ、ミシミシするのです……。
はっきり言えば痛いよ、パパン。目も何だか怖いよ、パパン。
「養蜂……。詳しく教えてくれないか?」
ガックンガックン今度は揺さぶられ、あれ? 何だか目眩がするですよ~っ?
コンコン……とノックを数回されてヨハンが「失礼いたします」と入ってくるなり目を大きくして驚いていた。
「ヨ、ヨハン……へるぷみぃ~っ」
「ぎゃーっ! ちょっ! 旦那様、アンタなにしてんですかっ!」
「……え、ヨハン? ……げっ……ル、ルカーーーーっ! 死なないでくれーーーーっ!」
俺、厄日! 絶対に厄日!
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