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第7章 ○○ストーリーは突然に
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しおりを挟むぷぎぃゃぁぁぁぁぁっ!!!!
奥からなんというか、子豚みたいな鳴き声が聞こえた。
……え? ……ええっ? 今聞こえたの完全に豚だったよね?
てか、さっきから苦しむような女の人の声とかが聞こえてたけど子豚ってことはもしかして産んだ──のか?
でもなんでだろう? 豚の声が俺の耳には断末魔に聞こえたよ?
例えるならオギャア……というよりも、グワァァァ~ッ! って感じといいますか。
バッと振り返ったら何故か誰かに目隠しされてしまった。
「あれ? 真っ暗……」
「す、すみません。あの、アイル様に見せないようにと頼まれたもので……」
一番最初にヒールをかけ、尚且つプライベートの事もちゃんと話してくれたマライアさんらしき人の声がした。
そして目隠しが解除された時には風呂場との間に壁が出来てた。
「あの、ヒールをかけて下さりありがとうございました」
「ん? いいよいいよ、お礼なんて。あのね? 少し休んで大丈夫そうなら向こうに居る姉のお手伝いをしてもらってもいいかな……。目隠しを頼んだり見えないように壁を作るってことは僕は来るなってことだと思うし……」
「は、はい! あの、でもありがとうございました」
彼女はペコリと頭を下げて小走りにお手伝いへと走っていった。
その後もヒールをかけた女性が疲れもなにもなく回復したのを確認するとマライアさんと同じようにお礼を言っては小走りにお手伝いへと走っていく。
そして入れ違いのようにぐったりした女性を兄が横抱きにして出てくるのだが気を失ってる人はどうやらかなり重いらしい。
「ルー。ちょっと俺にヒールを頼むわ……。なんつーか、俺の体がもたないかもしれん……」
「あ、じゃぁ、マリウスさんを呼んで手伝ってもらおう? 彼ならあの中でも一番理解があるでしょ?」
「あー、父様か……。──あぁ、うん……。オークっぽいもんな……うん、そうだな」
兄にヒールをかけてあげると即座に出ていき、マリウスさんを連れてきた。
マリウスさん、兄、本気でごめんなさい。
俺、勝手に国王=オークにしてました。
そしてマリウスさんをオークの王様の子供を出産した被害者にしました。
でも兄は兄なのでオークの子供というのは全くと言って良いほど考えてもみなかったよ……。
兄をそんなのと一緒にしてたまるか!
「そうだ! 兄、担架をつくったらどうだろ?」
「なるほど! ルーは偉いな、頭いいなぁ~」
と俺の額と頬にチューをしてマリウスさんと奥へ去っていった。
え、キス泥棒っ!?
途中でグレン兄さんが様子を見に来てまだまだ時間がかかりそうだと伝えると同時に暇潰しとしてオセロとお茶の茶葉とティーセットを手渡してあちらへ返しました。
そもそも貴族。しかも男がいるってだけで彼女達が怯えるしね……。
何て言うか、姉の居る方はよくわからないけど魔法で無理矢理促して産ませてる……のかは不明だけどソレっぽいし?
鬼とは言わないけど、ちょっとそれもどうなのかと思ったりする……。
でもそれはきっと俺が襲われたことがなくて、尚且つ産んだことがないからと思われる。
ヒールで回復した女性が泣きつつも嬉しそうな顔でお礼を言ってくるのだ。
そして憑き物が取れたかのようにとても晴れやかな顔でお礼をいい、自分も手伝ってきますと告げるなり姉の方へと一目散に走っていくのを見ると今回は正解なのだろう。
あれ? 出産後ってこんなにアクティブに動けるっけ?
うーん、まぁいいや。異世界ルールなのかもしれないし……。
とりあえず体の中で殺すとなると抵抗するために暴れたらお腹を手足が突き破ると言う可能性もあるし、彼女達の命が危険。
お腹の中で卵状態なら多少の苦痛はあるかもしれない。
卵なら流せるのかもしれないけど、手足が作られてたら確実に生ませた方が安全なのかもなぁ……。
でもさ? でもさ? やっぱり分娩時間が極端に短すぎやしないか?
俺、前に読んだ本で出産(人の場合)はかなりの時間がかかるって書いてあるの見たよ?
応援ありがとうございます!
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