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第8章 戻ってきた日常……?
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しおりを挟む「申し訳ありません。ルカ様が死にそうなのでお離しいただけますか?」
なんと言うかミリアムの女にしては中々のパワープレイで柔らかい肉から引き剥がされると、俺の目の前には見知らぬ真ん丸のフォルムの人がいました。
「あの? どちら様ですか?」
当たり障りないように笑顔で首をかしげながら質問すると部屋は一瞬にして時が止まったかのように誰も動かず、声すらも出しませんでした。
「え、えっと……。すみません、どなた様でしょうか……」
お婆さんもといお祖母様はもっとホッソリしていて、最近は廊下を元気になった爺様を追いかけ回ってはいるものの上品そうな顔立ちで数日でこうはならない。
行儀としてはダメなのかも知らないけど毎日走ってるので年齢のわりには筋肉あると思うの……。
しかも彼女は俺の事を「ルカ」と愛称ではなくちゃんと名前で呼ぶ。
そうなるとやっぱり誰だ? この人……。
服装からしても貴族だろうし、ご婦人……て言うかもうなんつーの? ハウルに出てくる荒野の魔女様じゃね? って現実逃避したくなるくらいぴったりなんだよなぁ……。
首を元の位置に戻して気まずいけどもまた同じ質問をすると婦人は何がショックなのかわからないけどぶっ倒れました。
キャーーっ! 誰か~っ! とモニカとミリアムが叫ぶとバタバタとパパにグレン兄さん、兄にヨハンとお馴染みのメンバーがやって来た。
お父さんがこの場にいないのはローラが厳しく見張ってるからなのだろう。
「ルカっ! 大じょ……う……」
「何事です……か……」
来た人、来た人が倒れた人を凝視して立ち尽くしていた。
「えっと、ルー? とりあえずこの部屋で何があった?」
「え、えっと、先生と休憩のティータイム中にノックもなしに急にこのご婦人が僕を抱き締めて……。窒息死するかと思ったらミリアムが助けてくれた。それでどちら様ですか? ってこのご婦人に質問したら倒れちゃったの……」
ですよね? と先生と言うかマリウスさんのお兄さんであるテオドールさん。
縮小してテオさんに同意を求めると彼は困った顔をして静かに「状況としてはそうですね」となんか煮えきらない返事をした。
「あー、モニカ?」
「申し訳ありません。今日は抑えが利かなかったようでして……。その……」
モニカのこれまた煮えきらない返事に俺は全員に「このご婦人、どなたですか?」と質問をしたらグレン兄さんはどこを見つめているのか……。
遠くを見つめるような目をして「母上ですよ」と答えた。
…………ん?
ワンモア……と言うと兄が「ママさんだろ?」と言うので俺はじっと見つめて、自分の気がすむまで見つめてからパパを見ると静かに頷かれた。
「ん……」
「ダウトっ! 絶対にダウトぉっ! ママはこんなにデ──ポッチャリじゃない!」
そう叫んだら「イヤァ~っ!」と言う声と共に婦人が青い顔をして気を失ってました。
何故かモニカとミリアムが焦った顔で「奥さま、しっかりなさいませっ!」と声をかけていた。
成る程。さっきの吐息みたいなのは起きましたってやつだったのね。
てっきり寝言かと思ってたわ、ごめんねごめんねぇ~……。
え、てかそれ、本気でママだったの?
二重顎、三段腹……。顔パンパンてかアンパンマンもビックリなパツンパツン。
肌も白いから余計に膨張して見える気がするんだよ。
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