裏側・クソゲーの異世界で俺、どうしたらいいんですか?

けいき

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物々交換の日 2(St.Valentine's Day)

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「ルカ様、おはようごさ……ひぃっ!」
「あ! ミリアム、おはよう……」
「ル、ルカ……。ルカ様! どうしたと言うんですっ!? 一夜でこんなに目の下にクマが出来るなんて!」

 がっしりと顔を両手でホールドされ、なにやら絶望感が漂う顔で見つめられた。 あー、プレゼントのためにほぼほぼ徹夜しちゃったもんなぁ……。いやぁ、まさかの俺、思っていたよりも不器用さんだったらしくてラッピングするのにリボンで苦戦しちゃって……。なんていうか、綺麗に結べなかった。リボンが緩くてほどけたり、蝶々結びが縦になったり……。まぁ、なんていうか、色々ありまして? でも睡眠を犠牲に頑張ったので、なんとかパパ(薄緑)、ママ(薄ピンク)、グレン兄さん(水色)に兄(薄紫)への特別仕様のプレゼントは出来たのです……。この家のお手伝いさんというか使用人で良いのか不明だけど彼らの分は深型の紙皿に多めに入れておいた。とりあえず一応一人三個の計算だよ。同じく辞書る達。うん、俺の異世界特典さんたちは人数がさすがにわからないのでヨハンたちに用意したものと同じ紙皿のものをとりあえず五個程。きっと足りなかったらフ・クセイさんが複製をしまくるのだろう。別個でム・ゲンさんにパンとかと同じように預けてあるしね……。

「あー、あははは……。そんなに酷いの? 別にクマくらい大丈夫だよ」
「いいえ! 天使のように可愛らしいルカ様がやつれて見えます! 病人みたいです! どうしましょう」

 嘆くミリアムをなんとか宥め、そして朝御飯のために食堂にいくと皆に同じような反応をされた。

「あー、あははは……。ほんとに目の下にクマが出来たくらいで大袈裟なんだから……」

 過保護にもほどがあると思うんだぁ~っ!

「ルカ! ルカ、どうしたんだい? もしかして一人じゃ寂しくて眠れなかったのかいっ!? よし、今日の出仕はやめてパパが添い寝をしてあげよう! 今日から夜、パパが添い寝を──」

 いやいや、パパ? 添い寝はいらないよ? ちゃんとお仕事にいきましょうね?

「父上! 私がその役目をしますから、ちゃんと仕事をしてください!」

 いやいや、グレン兄さんも第四騎士団の団長なんだから、ちゃんとお仕事のいきましょうね?

「グレン。貴方も騎士団の仕事があるでしょう? モニカ、今日のお茶会はキャンセルにしてちょうだいな!」
「畏まりました」

 ママも約束していたどっかの家で開催される予定のお茶会にいきましょうね? モニカも「畏まりました」じゃないでしょっ!? ママの専属の侍女なら少しは諌めなさいよ!

「いやいやいやいや! クマごときで皆、大袈裟過ぎですっ! わかりました! わかりました! 今日は僕はなにもしないでおとなしく昼寝をしますから、パパ達はちゃんと仕事やお茶会にいってください!」

 でも! と駄々をこねる大人げない人たちを呆れたように見ていたのだが、視界の片隅にいるヨハンたちですら何故か納得していない様な顔をしている。いやいやいやいや! ヨハンは執事なんだし、さすがに俺に賛同しなさいよ!

「もぉ! 今日の夜に渡そうと思ったのに! 今、この場で渡しますからパパ達はちゃんと出掛けてくださいね!」

 パパとママ、グレン兄さんに手渡した。

「え? えーっと、ルカ? これは? プレゼントのようだけど……」

 パパがリボンを解いてそっと箱を開けると昨夜頑張って作った茶色い物体(コーヒー味のソフトキャンディー)が入っていた。

「少しほろ苦いですが、甘くて柔らかめのアメです。実は今日は僕が暮らしていた世界というか、暮らしていた国では主に女性が男性へチョコと言うお菓子を告白がわりに手渡すと言う意味不──ではなくて、えーっと風習がありまして……。でも僕の家はそれぞれ家族に贈り物を用意して物々交換と言いますか、プレゼントを贈り合う日にしていたのです。だからなにも言わずに受け取ってください。大好きなパパとママ、グレン兄さんに僕からのプレゼントです」

 何故か三人に一度にギューッとされた。
 そして催促してしまったような形になりましたが、お土産を買ってきてくれるそうなのでちょっと楽しみです!

「あと、代表でヨハンに渡しておきますね? 一応一人三個の予定で作ったので休憩の時にでも皆で食べてください。これは僕からの日頃の感謝のつもりですからお礼とかなしで受け取ってくれると嬉しいです」

 何故か泣かれました。いえ、ヨハンではなくてミリアムにです。なんでか彼女は大泣きです。確かに甘いものは貴族からしても高級品らしいけども……。そんなに泣くほどなの? まぁ、ヨハンですら手に持っているものを驚愕といった面持ちで見つめているしなぁ……。でもさ、やっぱり女の子はいくつになっても甘いものが好き……じゃない人も中にはいるよね。姉は辛党だったからいつも俺が特別配合した七味唐辛子をプレゼントしてたよ……。市販の一味唐辛子を幾つか混ぜて、陳皮を自作して、黒胡麻、あおさ、山椒、麻の実、けしの実を自分の直感で厳選したものを混ぜてジッパーの袋に入れて約一年分。好評みたいで毎年作ったわ……。うわぁ、懐かしいわぁ……。久しぶりに作りたいけど手持ちにミカンがないし、この世界にあるのかわからないわぁ……。それにあおさと胡麻、山椒。麻とけしの実もあるのか不明。唐辛子? これもまだ見たことないけど? うん、全滅だわぁ……。
 その日、仮病の時のように大人しくベッドの住人となり、昼寝をして、食っちゃ寝していたらユウ・ゲンさんとム・ゲンさんを経由して兄から手紙が届きました。綺麗な封書の手紙と一緒に可愛いペンダントが入ってました。あの再会の日、街にお忍び視察をした兄が俺と出会ったときにあげようとその時買ったらしいのです。その時くれなかったのは今日のプレゼントでも良いかと思ったからだそうだ。確かにあのとき渡されるより嬉しい! まさかバレンタインのプレゼントをくれるとは思わなかったのですごく嬉しいの! 兄は簡単にお城の外にいけないからね! しかも手紙にはHAPPY BIRTHDAYの文字があった。
 兄はこの世界に生まれ落ちて15年くらい。あの日事故で別れてから再会までの時間は転移した俺は少ししか経っていない。でもこの世界に転生した兄は経過した時間が俺とは全く違うのに、俺の誕生日をちゃんと覚えてくれていて本当に嬉しい! やっぱり兄大好き! 一緒にまた暮らせたら良いなぁ……。


   ◆


 そしてその日の夜。

 パパからは可愛い可愛いフカフカなウサギのぬいぐるみ(ん?)。
 ママにはお茶会で刺繍をしたらしく、その時作った綺麗なお花が刺されたハンカチ(んん?)。
 グレン兄さんには可愛くて綺麗な髪どめ(あー、うん……)。

 三人からプレゼントを貰いました。兄さんに関してはサイドのちょっと長い髪が時々邪魔なので嬉しいです。うーん、でも……。何て言うか俺、やっぱり女の子扱いなんですかね? ウサギのぬいぐるみに綺麗な花の刺繍のハンカチ……。とりあえず首輪がわりにハンカチをウサギの首に巻き付けました。うん、可愛いです。そしてお礼は良いって言ったのに、家の人たちからはお手紙をもらって少しウルッとしちゃいました。いや、お礼は良いと言われた手前、逆に困らせたのかもしれない。なんかごめんなさい。それで休憩中、きっと物は困るだろうから手紙にしようとなったらしいです。


 俺、自画自賛だけど愛されてます! お父さん、お母さん、姉。もう会えないけど、俺、幸せだよ! だから日本にいるお父さんたちも幸せになってね!




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