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役に立ちたいのじゃ!

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「(『ステータス』)」

 心の中で唱えると目の前にステータスのウィンドウが現れた。

 ……よし、誰も変な顔をしていないから見えていないらしい。



 クリスタリア・アメジール・フランジール

 種族 魔人族《吸血鬼族》  誕生日 12月31日

 身長 123㎝ / 体重 20㎏ / 視力 優良

 天職
 ・禁呪魔術書製作者 レベル153

 職業
 ・フランジール王国・第一王女 レベル15
 ・フランジール王国アメジール領、領主代理 レベル93
 ・魔導士 レベル71
 ・街作り設計者 レベル38
 ・魔導具製作者 レベル42
 ・会計士 レベル53
 ・魔物狩人モンスターシャサール レベル94
 ・給仕セルヴース レベル5


 いやいやいやいや、ちょっと待って? ちょっと待て! たぶん前回見たのが150年くらい前じゃと思うけどなんか良くわからない内に職業が勝手に生えてるのじゃ! 街作り、魔導具、会計士って! 給仕セルヴースは覚えてるけど、それ以外は知らんよ! そんな感じで声を大にして叫びたかったがステータスのことなので個人情報を漏らさないように無言で何とか耐えきった。


 体力 22671/23769  魔力 64245/64845

 攻撃力 3651  防御力 2753  敏捷力 6852
 知能力 8672  精神力 2952  幸運値 1642



 …………ん? そういえばよくよく思ったけど知能上がりすぎじゃないか? それに比べて幸運少ない。妾、なんだか頭でっかちの不幸な子みたいでヤじゃ! 魔力減っても良いから2000くらい知能から移動したいのじゃ……。本当になんとかならんかの……。
 
 《禁呪『能力値改竄』が作成されました》

 ……あ、思わずと言うか勝手に魔法を作ってしまったらしい。ヤバイ……。ヤバイのじゃ……。父上にバレーーいや、父上、アール、執事、アラン兄様にバレたら……。よ、よし! 領に戻ったらこっそり試そう。そしてまずはアールを仲間に引き込もう。あと兄様! アラン様なら仲間に出来そうじゃし!

「……ちゃん。ーーーーちゃん! こら! リアちゃんっ!!」
「ふみぃっ!?」
『王女様、可愛い……』

 目の前には静かに怒れる父上がいた。そして隣に「おバカさんだねぇ」と口に出して言いたいことを顔に書いてあるアラン様が呆れたように立っている。

「……リアちゃん。議題内容をお前が言い出したのに何してたのかな」
「あう……。その……たぶん? 妾は参加する意味なさそうじゃなって思って……、150年くらい見てなかったからステータスをその、あの……チェックをしてたのじゃ……」
「はぁ……。ったくもぉ! 自分の世界に入らないようにってあれほど耳にタコができるくらいに言ったでしょ! しかも自分で緊急な会議にしたくせに会議の話に耳を傾けずに何をしてるの! 本気で自分には関係ないとでも判断したの?」

 妾、大人数の貴族の前に怒られた。素直に「ごめんなさい」するとペシンッと頭を叩かれた。地味に痛い。

「ちちうえ~……。妾、お仕事たくさんしたからお腹すいた……」
「くっ……ダメです! ちゃんと話を聞きなさい。会議に参加しなさい!」

 くーきゅるる……。妾のお腹の悲鳴がするのに……。ポシェットの中にオーガさんのおやつがあるのに……。ダメなのかの……。くーきゅるる……。

「………………リアちゃん、可愛いなぁ。はい、あーん」

 その声に反射的にかぱっと開くとアラン様がアメを放り入れてくれた。

「ん~っ! おーーんっ! んんっ」
「(こら、大人しくしなさい。可愛い行動を、笑顔を見せたらいけません! 嫁にって狙われたらどうするの!)」

 会議が終わると案の定、ぜひとも息子の嫁にと群がれ、丁重に一人一人お断りしていたがさすがに面倒になったクリスタリアはため息をついた。

「申し訳ないのですが、ご子息は閏日生まれなのでしょうか……。私は皆様もご存じの通り閏日生まれです。たぶん平均よりも長生きすると思われます。それに成人するまでにまだ700年はかかりますし、もし婚姻したとして何年一緒にいられるのでしょうか……。考えてくださった方はおりますか? あと、これから閏日に生まれたとして500年も離れた下の方と話が合うとは到底思えませんので固くお断りさせていただきますね? なのでこの場限りの話でよろしくお願いします。強いて言えば私よりも魔力が少ないのは論外ですね。私はご存じだとは思いますが一応吸血鬼族ですから……」

 遠回せたかわからないがキッパリお断りじゃ! ボケェ~ッ! と言ってやったら笑顔の父上に良い子良い子と頭を撫でられたのでありがたく撫でられることにした。頭を撫でて欲しいところに傾けると一瞬止まった手にグリグリと頭を押し付けて催促したら小さく笑われた。


 父上の気が済むまでずっと撫でてくれても構わんのじゃよ?





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