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孫の可愛さについ……
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リルの驚きのステータスはこんな感じ。
_________________________________________________
リル=ティス=ラドクリフ
種族 魔族
レベル 243
HP 34975
MP 85672
スキル
空間魔法、火、水、木属性適性、物理耐性
称号
魔王の孫、みんなに愛される娘、魔王の子、サラブレッド、うっかり
___________________________________________________
このステータスを偽造するにあたって、種族は人族にすることだけは絶対やらなければならないことだ。
あとはバレない程度にチョチョイと……。
レベルは十くらいにして……、HPとMPもそれ相応に。スキルは木属性だけに。称号は……殆どが魔族関係なんだよな。
うん、うっかりだけを残そう。
『ステータス見てごらん』
『あ、低くなってる。カッコで見えているのが本当のだよね?』
『そうだよ、オレとリル以外はカッコの中が見えないんだよ』
『ありがとう、お兄ちゃん!』
喜んでもらえて何よりですよ、お姫様。あぁ、地球の孫を持つおじいちゃんの気持ちがわかるような気がする。
こんなに何かをやって喜ばれるんだったら苦労を惜しまないわな。今までもう少し財布の紐を締めたらいいのにとか思っていてすみませんでした。
「じゃあ、倫太郎。行こうか」
「あとでそれについて聞かせろよ?」
魔族の言語のことだよね。どう誤魔化すか……。スキルにしちゃう?でも、ステータスを見られたら困るなぁ。そんなスキルは存在しないんだもの。
「考えとく」
「考えとくって適当な……」
『お兄ちゃん?』
『あ、王宮では喋らないようにしてね。魔族ってバレるとやばいことになるから』
『り、了解!』
はぁ、今日の訓練サボってしまおうか。リルもっと話してみたいし。
まぁ、かんたんにサボれたらいいんだけど、キラは真面目だから、オレを探して訓練に参加させちまうか。
この時ばかりは訓練を恨めしく思うよ。いつもはいい情報収集の場になっているんだけどさ。
王宮に着くと、予想通り門番をしている騎士にリルのことを尋ねられた。
騎士には、リルは街で預けられたと話した。すると騎士はすんなりとリルのことを王宮にいれてくれた。あんまりにもあっさりと入れてしまって逆に驚いてしまったね。
リルは王宮に入る前から、オレのいいつけを守って一言も喋らない。とにかく、オレの部屋まで行く間だけそうしてくれればいい。
「あ、メイドさん。この子オレの同居人になるからよろしく」
「え、はい。承知しました」
メイドさんは多少驚いていたもののすんなりと受け入れてくれた。ゆるいっすね。
部屋に入ってドアを閉めてから、オレはリルに言った。
『リル、しばらくここで生活してほしい。魔族の迎えが来たらかえって構わない。いいかい?』
『わかった。ねぇ、お兄ちゃん』
『オレはマオだよ』
そういえば名前を名乗っていなかったね。個人的にはアストールの方を名乗りたいんだけど……この体が人間だし、それは前世の話。おじいちゃんなんだけど、おじいちゃんと名乗れない。
なんともどかしいことか……。
『マオ……、魔王みたいね』
リルはクスクスと面白そうに笑った。笑いが収まると、オレにある頼みをした。
それは意外なことで、なかなかそれをしようという魔族はいないんじゃないかと思う。
ただ、魔王の娘のリルがそれをこなせば、和解への第一歩となるだろう。
リルがオレに頼んだこととは、人族の言語を教えてほしいということだった。
『私はなんで魔族と人族が争っているか知っているけど、それはもとを正せば些細なこと。武力行使だけが全てじゃない』
そうリルがオレに自分の考えを述べていた。
『そうだな、リルはいい考えを持っているな……』
オレがリルの頭をそっとなでてやると、エヘヘと顔を緩めてしばらくオレに寄りかかっていた。
『そうだ、人族の言語。まずはこれを覚えようか』
オレがリルに最初に覚えてほしいのは、ありがとう。感謝の気持ちを伝えられるようになってほしいのだ。
「ありがとう」
「ア……リィグァト……ウ?」
『そうだよ。ありがとうって意味だ』
「アリィガトウ……アリガトウ……ありがとう!」
習得するのが速いな……。もうしっかりとした発音ができているよ。
やる気と若さがあるからかねぇ……。
「ありがとう、ありがとう……フフフッ」
『ちょっと訓練っていうのに行ってくるな。二時間くらいで帰ってくる』
『行ってらっしゃい、マオ兄』
マオ兄、なんて素敵な響きでしょう。年を取って汚れてしまった心が洗われるよう。
孫は強し!
『行ってきます』
リルに行ってらっしゃいって言ってもらえたから、今日の訓練は頑張らないとね。だからってスキルに書いていない魔法は使わないようにせねば。
浮かれすぎるなってことだね。
現在、訓練で使っているのは第五訓練場。第五訓練場は、広さと強度が他の訓練場と比べて格段に高くて、魔法を少しくらい暴発させても大丈夫な作りとなっている。
「ウォーターショット!」
水属性の初級の魔法なのに、上級レベルの威力が出てしまったのはしょうがない。リルパワーですから。
キラには怒られたけど、気にしない気にしない。リルがあんなに可愛いのがいけないんです!オレの操作ミスではありません!
二時間きっちり訓練をしたあと、部屋に戻って来たオレにリルが満面の笑みで抱きついてきた件についてのオレの反応は言うまでもない。
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リル=ティス=ラドクリフ
種族 魔族
レベル 243
HP 34975
MP 85672
スキル
空間魔法、火、水、木属性適性、物理耐性
称号
魔王の孫、みんなに愛される娘、魔王の子、サラブレッド、うっかり
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このステータスを偽造するにあたって、種族は人族にすることだけは絶対やらなければならないことだ。
あとはバレない程度にチョチョイと……。
レベルは十くらいにして……、HPとMPもそれ相応に。スキルは木属性だけに。称号は……殆どが魔族関係なんだよな。
うん、うっかりだけを残そう。
『ステータス見てごらん』
『あ、低くなってる。カッコで見えているのが本当のだよね?』
『そうだよ、オレとリル以外はカッコの中が見えないんだよ』
『ありがとう、お兄ちゃん!』
喜んでもらえて何よりですよ、お姫様。あぁ、地球の孫を持つおじいちゃんの気持ちがわかるような気がする。
こんなに何かをやって喜ばれるんだったら苦労を惜しまないわな。今までもう少し財布の紐を締めたらいいのにとか思っていてすみませんでした。
「じゃあ、倫太郎。行こうか」
「あとでそれについて聞かせろよ?」
魔族の言語のことだよね。どう誤魔化すか……。スキルにしちゃう?でも、ステータスを見られたら困るなぁ。そんなスキルは存在しないんだもの。
「考えとく」
「考えとくって適当な……」
『お兄ちゃん?』
『あ、王宮では喋らないようにしてね。魔族ってバレるとやばいことになるから』
『り、了解!』
はぁ、今日の訓練サボってしまおうか。リルもっと話してみたいし。
まぁ、かんたんにサボれたらいいんだけど、キラは真面目だから、オレを探して訓練に参加させちまうか。
この時ばかりは訓練を恨めしく思うよ。いつもはいい情報収集の場になっているんだけどさ。
王宮に着くと、予想通り門番をしている騎士にリルのことを尋ねられた。
騎士には、リルは街で預けられたと話した。すると騎士はすんなりとリルのことを王宮にいれてくれた。あんまりにもあっさりと入れてしまって逆に驚いてしまったね。
リルは王宮に入る前から、オレのいいつけを守って一言も喋らない。とにかく、オレの部屋まで行く間だけそうしてくれればいい。
「あ、メイドさん。この子オレの同居人になるからよろしく」
「え、はい。承知しました」
メイドさんは多少驚いていたもののすんなりと受け入れてくれた。ゆるいっすね。
部屋に入ってドアを閉めてから、オレはリルに言った。
『リル、しばらくここで生活してほしい。魔族の迎えが来たらかえって構わない。いいかい?』
『わかった。ねぇ、お兄ちゃん』
『オレはマオだよ』
そういえば名前を名乗っていなかったね。個人的にはアストールの方を名乗りたいんだけど……この体が人間だし、それは前世の話。おじいちゃんなんだけど、おじいちゃんと名乗れない。
なんともどかしいことか……。
『マオ……、魔王みたいね』
リルはクスクスと面白そうに笑った。笑いが収まると、オレにある頼みをした。
それは意外なことで、なかなかそれをしようという魔族はいないんじゃないかと思う。
ただ、魔王の娘のリルがそれをこなせば、和解への第一歩となるだろう。
リルがオレに頼んだこととは、人族の言語を教えてほしいということだった。
『私はなんで魔族と人族が争っているか知っているけど、それはもとを正せば些細なこと。武力行使だけが全てじゃない』
そうリルがオレに自分の考えを述べていた。
『そうだな、リルはいい考えを持っているな……』
オレがリルの頭をそっとなでてやると、エヘヘと顔を緩めてしばらくオレに寄りかかっていた。
『そうだ、人族の言語。まずはこれを覚えようか』
オレがリルに最初に覚えてほしいのは、ありがとう。感謝の気持ちを伝えられるようになってほしいのだ。
「ありがとう」
「ア……リィグァト……ウ?」
『そうだよ。ありがとうって意味だ』
「アリィガトウ……アリガトウ……ありがとう!」
習得するのが速いな……。もうしっかりとした発音ができているよ。
やる気と若さがあるからかねぇ……。
「ありがとう、ありがとう……フフフッ」
『ちょっと訓練っていうのに行ってくるな。二時間くらいで帰ってくる』
『行ってらっしゃい、マオ兄』
マオ兄、なんて素敵な響きでしょう。年を取って汚れてしまった心が洗われるよう。
孫は強し!
『行ってきます』
リルに行ってらっしゃいって言ってもらえたから、今日の訓練は頑張らないとね。だからってスキルに書いていない魔法は使わないようにせねば。
浮かれすぎるなってことだね。
現在、訓練で使っているのは第五訓練場。第五訓練場は、広さと強度が他の訓練場と比べて格段に高くて、魔法を少しくらい暴発させても大丈夫な作りとなっている。
「ウォーターショット!」
水属性の初級の魔法なのに、上級レベルの威力が出てしまったのはしょうがない。リルパワーですから。
キラには怒られたけど、気にしない気にしない。リルがあんなに可愛いのがいけないんです!オレの操作ミスではありません!
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