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勇者はトラブルホイホイ
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よくわかんないけど元気になった五嶋と佐川、谷口の女子三人と平井とオレの参番パーティーは今日から王都に戻るため、今までの道を戻ることにした。
まだ期間はたくさん残っているけど、何があるかわからないからってことではやめに戻るんだと。
「眠い……」
早めに戻るのはいいんだけどさ、なんでこんな朝早くに出発するのかな。それに意味はあるわけ?日が昇っている途中ですよ?修学旅行の朝じゃないんだから、もっとゆっくりしませんか。
まぁ、眠そうにしているのはオレだけでオレ以外はお目々がぱっちり。
オレが眠いのは自業自得。昨日は今日に備えて早く寝るはずだったんだけど……真夜中にテオドールから緊急で連絡が入っちゃってね……。
弐番パーティーがピンチになってしまったって。チートな地球産の勇者である彼らが勝つことのできない敵に出くわしてしまった。
テオドールからどうするかを聞かれたんだ。助けるのか、それだったらどんな方法で助けるか。
オレがテオドールに出した指示は正体がバレないように助ける。相手が魔族じゃなくて、強い魔物だったからそうした。
魔族だったら、ここで倒してしまうと不都合になることが出てきてしまうかもだから。
テオドールは正体をバレないようにするどころか、弐番パーティーに認識すらさせなかったみたいだけど。
それで結局寝たのは朝方。お日様とこんにちはをしてしまった。
そうだからオレはとても眠いのだ。
「大丈夫ですか?」
「なんとか」
「そう、ですか」
大きなあくびをするオレを見て、佐川が心配そうに声をかけてくれる。
ありがたいですねぇ……。
「準備は大丈夫だよね?」
五嶋が全員に向かって確認を取る。数カ月の間で旅には順応してきたんだよね。
それができなければ命の危機だものね。
平井たちはそれぞれが最終チェックをして五嶋に問題ないと告げた。
五嶋はうなずくと歩き出した。それにオレたちもついて行く。
「……」
「可愛いです……」
「スライムじゃん」
周りを警戒しながら歩いていると、スライムに出会ってしまった。
「オレがやりたい」
「結城くん、よろしく!」
「……了解」
今回は前回よりさらに高い温度のファイアーボールとさせていただこうか。そうだな……六千度くらい?そんな高温だと周りが溶け出しちゃうから、水属性の魔法で周りには被害がいかないようにしている。
恨みだけに身を任せないで、周りにも配慮する。うん。
「ファイアーボール……」
小さな火の玉に温度を上げるために魔力をたくさん注ぎ込む。温度が上がったことでファイアーボールがどんどん白くなっていく。
眩しいくらいの光になったところでスライムに打つ。スライムは一気に蒸発するように消えてしまう。もちろん、核は消えずにそこに残っている。これくらいの魔力の魔法じゃ壊れないのが核なのだ。
「よし……!」
「よし、じゃない……」
「ん?平井どうかした?」
親指を立てていい具合にできたと喜んでいると、平井が肩に手をおいてきた。何かね。
平井の後ろにゴウッという音がしそうなほど怖いオーラが出ている。なにかやってしまったかね?
「常識の範囲で、な?」
「……」
「な?」
しょうがないじゃん?スライムには、手加減しないで倒すっていうのがオレの中の決めごとなんだから。
「常識の範囲内だけど」
「どこが?」
「……スライムには手加減する予定はない。それ以外はちゃんとやるし」
「二人共……?」
オレと平井のこの状況がよくわかっていない五嶋がどうしたのと聞いてくる。
「なんでもない」
「あぁ、なんでもない」
わかっていないんならそのまんまでいいのだ。ややこしくなる。
「男子同士の秘密だよ」
「……むぅ」
よく女子同士の秘密と言って教えてくれないことがあるから、これは男子同士の秘密と言うことで。
五嶋もそれがよくわかっているから、これ以上追求をすることができない。
「さ、行こう」
「そうね?うん、行きましょうね……」
不満がありそうだが、しょうがないのだから。
また五嶋を先頭に歩き始めた。
それから、スライム以外の魔物に出くわしたが、その時はしっかりと常識的な範囲におさめた。だって、平井が怒ると後ろに般若が浮かぶんだから。どうしても譲れないことじゃない限り、怒らせたくないんだよね。
特におかしなこともなく、また数カ月の旅で王都付近の村についた。ここは勇者お断りだった村だ。だから通り越そうとしたんだけど、平和じゃない雰囲気になっていた。
「これは……!」
「え……?」
「なに、これ……」
「……人、だよな?」
「……」
この村の人の顔はよく覚えている。だからわかってしまった。魔族のような外見をしている奴らが彼らだってことに。
今更だけど、人族と魔族はどうやって見分けるのか。人族は人間。魔族は人族とほとんど変わらない外見のものから異形のものまでいる。
その見分け方は一つ。耳だ。人族の耳は全て丸いが、魔族は耳が丸いものがいない。獣のものだったり、エルフのように長く尖っていたり……たくさんの種類がある。
そして、村の人々は浅黒い肌と尖った耳をしていた。
「後天的に魔族になるなんてオレ初めてみた……」
しかし、明らかに魔族のような魔力は持っていない。中途半端なのだ。
「結城、どういうことだ?」
オレが一番わかっていると思った平井がオレにどういうことだと聞いてくる。
オレもよくわからないんだけど、ま、知ってる情報だけでも伝えておこう。
「詳しくはオレも知らないけど、彼らは魔人になったようだよ。歴史上の中で何回かしか見られていない……。後天的に魔族になった人たち」
「……魔人?」
「そう。オレも文献でしか知らない。ちなみに、彼らが人に戻ることはもうないよ」
「そんな……!」
一難去ってまた一難……。勇者ってすごいね。
さて、これをどうするかな。魔人になるには魔族が手を加えないとならない。となると、悪いのは魔族になっちゃうんだよねぇ……。
まだ期間はたくさん残っているけど、何があるかわからないからってことではやめに戻るんだと。
「眠い……」
早めに戻るのはいいんだけどさ、なんでこんな朝早くに出発するのかな。それに意味はあるわけ?日が昇っている途中ですよ?修学旅行の朝じゃないんだから、もっとゆっくりしませんか。
まぁ、眠そうにしているのはオレだけでオレ以外はお目々がぱっちり。
オレが眠いのは自業自得。昨日は今日に備えて早く寝るはずだったんだけど……真夜中にテオドールから緊急で連絡が入っちゃってね……。
弐番パーティーがピンチになってしまったって。チートな地球産の勇者である彼らが勝つことのできない敵に出くわしてしまった。
テオドールからどうするかを聞かれたんだ。助けるのか、それだったらどんな方法で助けるか。
オレがテオドールに出した指示は正体がバレないように助ける。相手が魔族じゃなくて、強い魔物だったからそうした。
魔族だったら、ここで倒してしまうと不都合になることが出てきてしまうかもだから。
テオドールは正体をバレないようにするどころか、弐番パーティーに認識すらさせなかったみたいだけど。
それで結局寝たのは朝方。お日様とこんにちはをしてしまった。
そうだからオレはとても眠いのだ。
「大丈夫ですか?」
「なんとか」
「そう、ですか」
大きなあくびをするオレを見て、佐川が心配そうに声をかけてくれる。
ありがたいですねぇ……。
「準備は大丈夫だよね?」
五嶋が全員に向かって確認を取る。数カ月の間で旅には順応してきたんだよね。
それができなければ命の危機だものね。
平井たちはそれぞれが最終チェックをして五嶋に問題ないと告げた。
五嶋はうなずくと歩き出した。それにオレたちもついて行く。
「……」
「可愛いです……」
「スライムじゃん」
周りを警戒しながら歩いていると、スライムに出会ってしまった。
「オレがやりたい」
「結城くん、よろしく!」
「……了解」
今回は前回よりさらに高い温度のファイアーボールとさせていただこうか。そうだな……六千度くらい?そんな高温だと周りが溶け出しちゃうから、水属性の魔法で周りには被害がいかないようにしている。
恨みだけに身を任せないで、周りにも配慮する。うん。
「ファイアーボール……」
小さな火の玉に温度を上げるために魔力をたくさん注ぎ込む。温度が上がったことでファイアーボールがどんどん白くなっていく。
眩しいくらいの光になったところでスライムに打つ。スライムは一気に蒸発するように消えてしまう。もちろん、核は消えずにそこに残っている。これくらいの魔力の魔法じゃ壊れないのが核なのだ。
「よし……!」
「よし、じゃない……」
「ん?平井どうかした?」
親指を立てていい具合にできたと喜んでいると、平井が肩に手をおいてきた。何かね。
平井の後ろにゴウッという音がしそうなほど怖いオーラが出ている。なにかやってしまったかね?
「常識の範囲で、な?」
「……」
「な?」
しょうがないじゃん?スライムには、手加減しないで倒すっていうのがオレの中の決めごとなんだから。
「常識の範囲内だけど」
「どこが?」
「……スライムには手加減する予定はない。それ以外はちゃんとやるし」
「二人共……?」
オレと平井のこの状況がよくわかっていない五嶋がどうしたのと聞いてくる。
「なんでもない」
「あぁ、なんでもない」
わかっていないんならそのまんまでいいのだ。ややこしくなる。
「男子同士の秘密だよ」
「……むぅ」
よく女子同士の秘密と言って教えてくれないことがあるから、これは男子同士の秘密と言うことで。
五嶋もそれがよくわかっているから、これ以上追求をすることができない。
「さ、行こう」
「そうね?うん、行きましょうね……」
不満がありそうだが、しょうがないのだから。
また五嶋を先頭に歩き始めた。
それから、スライム以外の魔物に出くわしたが、その時はしっかりと常識的な範囲におさめた。だって、平井が怒ると後ろに般若が浮かぶんだから。どうしても譲れないことじゃない限り、怒らせたくないんだよね。
特におかしなこともなく、また数カ月の旅で王都付近の村についた。ここは勇者お断りだった村だ。だから通り越そうとしたんだけど、平和じゃない雰囲気になっていた。
「これは……!」
「え……?」
「なに、これ……」
「……人、だよな?」
「……」
この村の人の顔はよく覚えている。だからわかってしまった。魔族のような外見をしている奴らが彼らだってことに。
今更だけど、人族と魔族はどうやって見分けるのか。人族は人間。魔族は人族とほとんど変わらない外見のものから異形のものまでいる。
その見分け方は一つ。耳だ。人族の耳は全て丸いが、魔族は耳が丸いものがいない。獣のものだったり、エルフのように長く尖っていたり……たくさんの種類がある。
そして、村の人々は浅黒い肌と尖った耳をしていた。
「後天的に魔族になるなんてオレ初めてみた……」
しかし、明らかに魔族のような魔力は持っていない。中途半端なのだ。
「結城、どういうことだ?」
オレが一番わかっていると思った平井がオレにどういうことだと聞いてくる。
オレもよくわからないんだけど、ま、知ってる情報だけでも伝えておこう。
「詳しくはオレも知らないけど、彼らは魔人になったようだよ。歴史上の中で何回かしか見られていない……。後天的に魔族になった人たち」
「……魔人?」
「そう。オレも文献でしか知らない。ちなみに、彼らが人に戻ることはもうないよ」
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