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短編
yellow strings
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元来、わたしは外界と接することを好まない。いや、むしろ嫌悪している節もある。だが創作を形作りたき欲求が脳に擡げだすと、どうしても未知の界隈の縁を越えなければならない。
「よおするに、取材に行きたいんやろ、作品のために」
彼は、わたしの数少ない友人のひとり。神の琴、と書いてミコトと読ませし名の青年だ。なかなかのドキュンネームだ、と会うたびに思う。
「なになに? どこ? たいていなエリアならボクちゃんが調べれちゃうよ、イエスレ」
同席の彼は、NaNoという通り名の活弁士だ。
「その新たな構想に、私の妹は使っていただけるのかい? 糸河先生」
丁寧に尋ねてくださるのは、さる方面で著名な学者だ。風体も、相席したどの友人よりも折り目正しく、セレビティさすら漂っている。
わたしはテーブルに鎮座せしガラス様の器を手に取り、細身のスプーンで標的を掻き、すくいとり、口によせた。頬張る。
「どおでっか、キイト。うまい?」
「むぐむぐむぐ。……はい。パーフェクトですます」
「な!? せやろ! どおやナノ、オレの嗅覚!」
「ちぇ~、こないだボクちゃんが勧めたスイーツより高い評価。わかったよ、こんどアゲとくね、フライングエイトのプリンア・ラ・モードは三ツ星! と」
喋りながらナノは開いたノートパソコンに高速で文字列を並べてゆく。そう、かれはインターネットを舞台に立ち回る活弁士なのである。
「ねー、イエスレ、調べたいのって、どこ? 軍事衛星からマップ撮れるよ?」
「糸河先生。私にも、なにか御協力ができたなら」
「ちゃう、ちゃう、キイトは資料を足で得たいんや。体感から、得たい。せやろ? キイト」
ここで、わたしは私について解説しておきたい。この備忘録を読み返した際、おそらく、惑うだろうゆえに。
まず、糸河。これは本名、本姓だ。『イエスレ』は、イエロースレッドの略。通称だ。『キイト』は、黄絲、と記す。仮名というよりは、ペンネームである。複数の名を使い分けてるつもりはない、どちらも意味は同じ。黄色い絲だ。
【yellow strings】
私の周りのトークは続く。
「略して『イエスレ』とか呼ぶんはおまえだけやけどにゃあ、ナノ」
「しょ~がないでしょ、ボクちゃん、長々しい名前は縮めたくなる主義なの」
「その出た腹も縮まれば暑苦しさも薄らぐんやがのォ」
店内の冷房は充分に効いている。神琴たまは明らかな嫌味を言った。しかし彼の声音はやわらかだ。悪意はない。それをナノも悟ったのか、「厳しいなー、ミコっちゃん」と頰を膨らませるに留め、自らの腹部をポンと叩いてみせた。
かすかな疑問を私は渡す。
「確かに。ナノ、あなたは略すのが好きでますよね。その通り名も、本当はもっと長いんでしょう」
「だよ。ナノセカンド」
「10億分の一、か。由来、あるん?」
「覚えてない。ほとんどゼロっぽい名で何かないかな~って調べただけ」
「わたくしごとで恐縮ですが。私の家系は、十二支に習った名をつける慣習がありますよ」
「甘鶴教授……、十二支、でありますか。たしか教授のお名前は丙、妹さんは庚江でしたよね」
「あまつるかのえ? あー、オモロイ絵で有名んなった『KANOI』か。そおいえば、キイトが前に出した本で組んどったな」
その件では、大変、お世話になりました、と、甘鶴教授は頭を下げる。
いいえ、こちらこそ。カノイさんの絵は、私に凄まじいインスピレーションを与えてくれました、また、必ず依頼したい所存ですます、と、こちらも頭を下げた。
「教授の宅は、なにか宗教は取り入れていますですか」
「お。核心やな、キイト」
「特には無いですね、息子が儒教を知っている程度で」
「神琴たま。ナノ」
「教授に同じや。実家は仏教やけど、オレは何も知らん、知ら~ん」
「ミコっちゃんに同じ。強いて言うなら、ボクちゃんが好きなのは九十九神だね。大切に使うモノに宿るって神」
なるほど、と私は「まあ、妥当な御意見です」と呟き、コーヒーのお代わりを所望する。
「キリスト教に、興味があるです」
「なになに、イエスレ、十字架を使ってモンスター倒すアレにハマった?」
「私は反射神経がすこぶる悪い。サタンハンターなるゲームは、プレイしたことは無いですます」
「創作やな。キリスト教者のキャラクターを閃いたんか。物語の舞台は日本のエクレシア」
「ビンゴです。ゆえに、潜入せねばなりません」
「知人に誘われてキリスト教会のミサに参加したことはあります」
甘鶴教授の発言に、私の耳はダンボと化す。
「取材、などの軽い動機で臨んではならない、そんな厳粛な雰囲気を感じました」
「そうでありますか……」
「ねー、ねー、イエスレ、渋谷だっけ、住まい」
ナノはパソコン画面を指し示す。
「キリスト教会、何件かヒットしたよ」
「妙な紛い物は省いてくださいです」
「シンプルに、って意味? なら、プロテスタントって種類かなー、よくわかんないけど」
「うにゃうにゃ、紛い物っちゅうのは新興宗教の類や。キイト、おまえ、ハデな装飾が好っきやろ。派手系ならカトリックやで」
「カトリック……プロテスタント……」
しばし検討、検証し、住処から最もほど近い施設を私は選択した。続いてドレスコードも探索する。宗教の総本山ゆうたら御布施や御布施、それは別にして賽銭もいるよイエスレ、三位一体とかいうのがキーワードらしいから綺麗な100円玉みっつ! などといったアドバイスをとりあえずメモし、私は未知なるフィールドへ赴く決意を固めるのであった。
♢♢♢♢♢
数日後、わたしは目的地に到着した。正面にラテン十字を刻む、二階建ての施設だ。続いていた残暑は幾分か和らいでいた。安堵する。上から下まで漆黒の扮装だ、日差しが強すぎれば篭る熱で倒れかねない。
『ホンマに独りで大丈夫か? 近くまで送るで、キイト』
かの関西弁な友人は、本当に親切だ。いわく、キミの作品が好きやから、応援したい、だそうだ。その称賛は、なによりも私の糧になる。ありがたい。
『あないなサイケデリックな画、なかなか作れるもんやない。描写も、おっかない。狂人の所業や、みぶるいした』
とても有難い賞賛だ。わたしは、さらにドス黒い世界を爪弾きたい。そうこう思考する間に腕時計は定刻となった。扉を開かなければ。がーー
(うにゅ。開かない?)
まさかな事態だ。おかしいな、日付を誤った? と思考は巡る。しかし扉はびくともしない。だから気づけなかった。背後に、すぐ脇に足を進めてくる気配に。
(うにゅっ。誰!?)
なにものかが私の隣に並ぶ。左側のドアの柄を掴み「こっちだよ」、告げながら押した。
「暑さ対策で閉めてあるんですよ。開いているこちらから、どうぞ」
やけにクリアーな、よく通る低い声だ。けれど身の丈も低い。高校生だろうか。
思う間に私は促された。
すると、内部から2名ほどの婦人が姿を現した。
「あら、数図人さん! 外にいらしたの?」
「お母さまが探してたわよ。数図人がいないわ、二度寝かしらって」
「おいおい、酷いな、おふくろ」
ふうむ、『かずと』か。カズキかカズトかカズマが、私の次作の主人公名になる予定だ。
「あなたがたが今日の受け付けですよね。こちらのかたは、どちらさま? 俺は初めて会いましたが」
受け付け当番な婦人たちも当惑する。
「さあ。私たちも初めてお会いするわ」
「お名前を教えてくださるかしら?」
ここで私は、漸く口を開いた。
「わたしは、糸河都衣紀と申しますです。ここはキリストの教会ですよね。わたし、お参りしにきました!」
言い切られ、受け付け当番たちは顔を見合わせた。
カズト青年は右目を瞬く。はて、変わった眼鏡だ。左目がやけに厚いレンズの内にある。
「お参り? あんた、ここに参拝にきたの?」
「はい! 大丈夫です、お賽銭は持ってきたです。縁起がいいよう、百円が3枚です。御布施の相場は、あとで教えてくださいです。十字架も下げてきたし、服もシスターっぽく黒です。さあ、イエスさまにお参りさせてください!!」
「…………」
カズト青年は、己が額に手を添えた。眉は潜めたが、口角は上がる。
「ははは、すげえ。完璧なノンクリスチャンの登場は久しぶりだ」
そして受け付け当番の婦人たちに向き直る。
「初来会者だ。誰か、イトカワさんに担当をつけてくれますか」
「わかったわ!」
私は、首を、おおいに傾げる。
「あのう、完璧なノンクリスチャンとはどういう意味ですか。どうして笑ったですか。わたし、いろいろ調べて、キチンと正装で来たですけど」
「ああ、いいからいいから、あんたは早く中に。担当者から"いろいろ"教えてもらうといいですよ」
彼は私を促した。噴き出すのを堪えながら。実に失礼な輩だ。わたしが想定するキリスト者らしくない。
ほどなく、担当者です、よろしくね、と、朗らかに笑う婦人が私の腕をとり、会堂の長椅子に座らせた。見上げらば、やはり、内部中央にラテン十字が掲げられている。
(地味)
口にこそ載せなかったが、私は心で感想を吐いた。地味、と。派手系が好きやろ、キイト、との友の台詞が脳裏に蘇る。
(まずった。私は、プロテスタントとやらに来てしまったのか)
引き返すわけにもいかない、担当者なる婦人の顔に泥を塗りたくはない、そも、ミサは始まってしまった、中断したなら悪目立つ。目立ちたくはない、絶対に。
「みなさま、おはようございます。いやぁ、酷暑でしたねえ、今年は。しかし本日は、だいぶ涼しくなりました。エアコンが強かったら、遠慮なさらず言ってくださいね」
枕言葉から入る壇上の男性の格好にも驚いた。単なるスーツ姿だ。きらびやかな僧衣じゃないのか。
「あのう、あのかたが、神父さまでありますか」
問いかけた。すると婦人は「牧師」と返してきた。そのあと数度、神父と言うたび訂正された。はてさて、摩訶不思議だ。神父も牧師も、おなじものだ。少なくとも、この国の一般的人間にとっては。
「初来会者のかたがいらっしゃってますね」
数刻後、牧師とは異なる司会者が私を促した。挨拶を、と言われ、渡されたマイクに私はなにかを穿つ。見世物になる展開も予想の外だ。ありがとう、よくきてくれました、なる周りの拍手も耳に障る。理解はしたが。ああ、こうも馴れ馴れしい世界観がキリスト教のプロテスタントというやつか、と、だれともしらぬ床に吐く。
「糸河さん、上に行きましょう、ランチがあるのよ」
ガイド役の婦人の申し出に、わたしは首を左右する。
「あいにくと、持ち合わせが」
「三百円よね? ナシナシ、あなたは初めてさんだから、それすら払わなくていいのよぅ」
案内先の二階は、大広間だった。テーブルを拭く信徒が、椅子を並べる信徒が、ああ、どうぞどうぞ、と私と婦人に手招きをする。
「さっ、座ろう、糸河ちゃん」
しかして、ものの数分で彼女は立ち上がる。
「うにゅっ、間宮夫人? どこへ?」
「すぐに隣にも手前にも話し相手が座るわ。待ちながら麦茶を飲んでて♪」
手持ち無沙汰という展開だ。仕方なく私は手にした湯のみに自身を映す。ドレスコードは正しかったのかも疑問だ。私の胸に下がるクロスが、やけに浮いてみえてしまう。信徒の誰ひとり、クロスをちらつかせやしない。本当に地味な世界観だ。
「あッはぁ、あの赤いオブジェの場所は、カミナリモンというのかい!」
やけにハイテンションな声の主を見やる。私と同じく、初来会者としてマイクを握った青年だ。日系のアメリカ人らしい。すでに洗礼ずみだそうだ。加えて、能動的な性質のようだ、すっかり、この場に馴染んでしまっている。
「糸河さん、はじめまして。おとなりに座ります」
カタリ、と、私の手前に温かなメニューが差し置かれた。その隣にも。
置いた女性は、椅子を軽く引き、隣に腰を下ろす。所作と動作に、ゆたかな緑髪が揺らいだ。
そして私の心も揺らいだ。ぐっらぐらに。
(なんたる美女ーー!!!!)
叫びを堪えてガン見した。頭の先から足の爪先まで眺めた。完璧だ。完璧なまでの美女だ。アルフォンス・ミュシャが描いた気高い貴婦人に匹敵する。いや、彼女はかの貴婦人より遥かに歳若いようだが。
「私は、左網三です。間宮キリスト教会の青年部で、会計を務めてます。いっしょにお食事が出来て嬉しいわ」
繋ぐ台詞も流麗だ。珊瑚のような瑞々しい唇に彼女は両手を寄せ、やわらかく瞼を閉じる。くちびるが、なにかを音によせた。
「恵み深き、天のお父さま。この聖日に、初めてお会いした糸河都衣紀さん、彼女と共に食事に預かれることを、真から喜びます」
食前の祈りというやつか、と、私は更にマジマジと彼女を観察してしまう。コングラチュレーション! しかも唱えるは、どこの女優かと言わんばかりな佳人だぜ、瞼の裏に奥に、やきつけるしかない。これだ、これは素晴らしい被写体だ、わたしが抱く『クリスチャン』のテンプレートに見事に嵌る。
「さあ、いただきましょう、糸河さん」
「はい。ひだりたま」
夢見心地な気分で私は呼んだ。『たま』は私なりの精一杯の敬称なのだ。たいてい、伝わらないが。
「まあ、ふふっ。糸河たま」
なんと。通じた。oh、yeh! なんたる慧眼と慈愛。まさに理想のクリスチャン女子だ。
「あっ、でも、私には妹や弟がいるのよ。『ひだりたま』だと、妹たちが困惑するかも」
「では、あみたまとお呼びしますです」
と、席に低い声がかかった。
「改めて、初めまして。イトカワトイキさん」
例のカズトなる青年だ。食事が乗ったトレイを手に、私の正面に座る。
私は顔を微かに上げた。
「あなたは、入り口でドアを開いたかたでありますね」
「ああ。あんたがいま案内されてるであろう青年部のリーダーだ」
「あのう。わたし、まだ、ここに通うと決めたわけじゃないです」
「なら、どこに通いたいんだ。イトカワさん、あんたはキリストに"お参り"したいんだろ? この国で近所にキリスト教会があるなんて稀有だぜ? 神社仏閣、つまらねえ偶像は歩けば山とあるけれど」
(居丈高だな、このメガネ)
とは感じたが、焦ってるのかもな、とも思った。この国でノンクリスチャンが訪問するは真に稀なハズだ、彼はリーダーだ、繋ぎとめなきゃならないのだろう。
「あのう。あなた、神社やお寺がキラいなんですか」
俯きかげんな問いかけにリーダーは被せる、「嫌いも好きもない、俺は生まれたころからクリスチャンだから興味がキリストにしかねえんだ」
即座に切り返す、「わたしは8歳のとき、図書室で初めてキリストを知ったです。生まれたころから家は仏教徒だったし、幼稚園ではアマテラスのために踊りました」
ぐっ、と、リーダーさんは膝に乗せた手に力を籠めた。
「つまり、あなたは、神道と仏閣の徒であるにもかかわらずイエスに傾いた、そういうことだろう」
「です。イエスさまは、宇宙を創った神さまの子です。この国に育ったので神社仏閣は好きです。が、わたしがアタマに思い浮かべる『神さま』の姿は美女のアマテラスでも仏陀でもない、ロンゲでヒゲの男性です。8歳の時から」
「それ、……それ、マジもんじゃないか」
ここで彼は素直に吐いた、ように思えた。
まあ、確かにマジな話だ。私が言った真意と経緯に、偽りはない。『かっこいい』と、幼き時に降りたのだ、インスピレーションが。キリスト・イエス。実にわかりやすき設定じゃないか、苦難を艱難を超えた、ふだんは控えめな英雄。スーパーマンだ、ゴルゴ13だ、中村主水だ、と、幼きわたしは感嘆した。しかし実際にキリスト教会に足を踏みだすは躊躇った。なんか、敷居が高そうだし。
(いざ来てみたらば。敷居が、ほぼ、無い。カトリックならもう少し厳しかったのだろうか)
「イトカワさん、あんた、いますぐ洗礼を受けていい。資格は充分すぎるほどある」
「えっ?」
はっ、と青年は口を結ぶ。
ああ、そうか、と、私は悟る。
(やっぱり、かれは焦ってるんだ。そして、己が言動を悔やんだ。身の上もロクに解らぬ人間に受洗を勧めて良かったのかどうか、と)
慌てずとも大丈夫だよ、リーダーさん。私は相当に用心深い、蠱毒のような神経の屑だ。安心できるよう、無知を並べたててみます。
「イエスさまを信じてるだけで洗礼が受けられる、ですか。うそだ。難しい試験があるんでしょう?」
「とんだ誤解だ。洗礼に試験なんかねえ」
「うそだ。クリアするには難関があるです」
「無えよ、安心してくれ。神とイエスを真から信じてる想い、それさえあればーー」
「あのう。そういえば、あなたのお名前は」
この備忘録も『リーダーさん』では格好が悪い。なので聴いたらば、カズトリーダーは頭を掻いた。
「わるい、肝心な点を忘れてて。俺の名前は、間宮。間宮数図人」
「字体は」
つい、訊いてしまった。カズトリーダーは、はにかむ。
「数学の『数』に、図形の『図』に、人。DQNとか思った?」
いいえ、と返す脳の裏側で文字配列が目紛しく華やぐ。
「間宮って呼び名は、おやじやおふくろと被るから、俺を呼ぶときはファーストネームか、リーダーとでも呼んでくれ」
「うにゅ」
二度目の衝撃だ。ひだりあみたまに感じた衝撃が、いま再び、私を襲っていた。間宮、だと? なんとかれは、このエクレシアの。牧師夫妻の息子だったのだ。そして、その苗字から繋がる響きの滑らかさは、どうだ。『まみやかずと』。どこからどう聴いても主人公のフレイズだ。字体字面は、数に図形だ。ギリギリなドキュンネームぶりも絶妙だ。と捉えたらば、かれの纏うすべてに輝きが垣間見える。そうだ、低い背たけは、艱難を乗り越えゆく主人公の、むしろ、武器だ。
「ん? う、うにゅって? イトカワさん?」
真意はあかせない私は、ひたすら頷くしかない。
「うにゅうにゅ。うにゅうにゅ」
「ど、どうしたんだ、あんた」
「うにゅう。失礼しましたです。あなたはこのエクレシアの王子さまだったでありますね。びっくりしたです」
「王っ……」
「くすっ、クスクス……かっちゃんが王子様……」
絶句する横で小さく噴くは女神。
「笑うんじゃねえよ、そんなに違和感かよ。確かに俺も痒いけど!」
しかし極端に否定するのはやめる、と繋ぎ、「ちょっと痒くなるフレーズだが、まあ、そんな感じだよ」と緩く頷いた。
そこへ大声が割りいる。
「おっはよーーぅ、数図ぅ~!!」
唐突に緊張感は壊された。能天気極まる空気に壊された。
「もうランチタイムだけど。おはよう、数図!」
「ゆ、邑治!!」
「こんにちは、邑治くん。相変わらず大遅刻ね」
あみたまの茶々に、大柄な青年は顔を綻ばせる。両手の親指を立てて片目を瞑る。
「イェーイ! アミちゃーーん!! 今日もキュートにビューティフル! や、だって、礼拝って堅苦しいし難しいから俺なんか寝ちゃうし! でも、みんなとランチは食べたいからさぁ」
のたまいながら、輩はあみたまの手を取る。その不躾な手の甲へ、王子さまは賛美歌の角をグリッと捩じ込んだ。
「うひぃ、痛いッ!!」
「俺の妹分に妙なマネしたら制裁だ。なんべん言わせる。この軟派野郎」
「なんだよぉ、握手くらいイイじゃんか、ケチ!」
「ユウ。毎回毎回、難しい難しい、堅苦しい堅苦しいと言っておまえは礼拝後にしか来ないよな。初めて来た彼女を少しは見習え!」
手翳しで私を示してくれた。かずとたま。
輩は「あ、座ってるしチビっちゃいから気づかなかった! へ~、初めて来たなら俺とも初顔合わせだな! はじめまして、こんちわ~!!」まったくテンションを変えることなく挨拶し、私に歩み寄ろうとした。おいよせ、近づくな。汚らわしい。
その革靴の先を、かずとたまは踏みつける。
「うひぃ! 痛いッ!!」
「すぐスキンシップに走るんじゃねぇ。射るぞ!」
私は「いる、とは?」と呟いた。
「かっちゃんは学生時代にアーチェリーをやってたのよ」と、あみたまが応えてくれた。
「あ、弓矢を射るの『いる』ですか」
「今じゃ数図、もっぱら、エアガン撃ってるだけだけど」
「おまえは黙ってろ、ユウ!」
穿いたズボンのポケットからカッサを取り出し、かずとたまは輩の後頭部を撲る。ゆうじ、か。風体といい、どこのなにものだか想定はつく。超有名人じゃないか、白鷺邑治。大財閥スカイエンドのドラ息子だ。
(白鷺一派は神道だが。なるほど、さすがは悪名が先にいく白鷺邑治。交友関係にクリスチャンもいたとは、あなどりがたし)
「痛いッ! ちょ、それ、ツボ押しだろ用途! メリケンサックにするなよ怖い!」
私は無機質に「エアガン……メリケンサック……」と繰り返し、席を立つ。手に、空の食器を抱えた。そろそろ、場を離れし頃合いだ。
「みなさんの動きを見てたです。自分の皿は自分で洗うですよね」
「ちょ、イトカワさん」
「糸河たま、もう帰るの? なにか気分を害したのかしら。疲れてしまわれたの?」
「両方です。疲れてました。あと、こういうひと、苦手です。だから、帰りますです」
視線は合わせず、わたしは白鷺邑治を日傘で示した。
かずとたまは舌打ち、邑治青年を椅子に座らせる。
「な、なになに、どーしたの、かずちゃん!?」
「おまえはまず、体がデカすぎる。座れ。そしてハヤシライスを食ってろ」
「はい、ゆうじさん、ハヤシライスだよ!」
赤い髪の美少女が白鷺邑治の手前に料理を置く。
「よぉ、ホタルちゃん。イェーイ! 今日もキュートにロリに可愛いね!」
変わらぬ軟派ぶりだ。しかしどうやら、この邑治青年の射程範囲は美人であって、少女ではない。それが周知ゆえに数図人たまは邑治青年をホタルちゃんに託すのだ。
「さあイトカワさん、不純物は消えた。座って話し合い直そう。食器は、今日は初めて来たんだし、俺が洗う」
手を差し出されたが私は首を横に振る。
「うにゅうにゅうにゅ。王子さまが下々のものの皿洗いなどしてはならないです。あと、次週も来るとは限りませんです」
「来てくれたら、私はとても嬉しいわ」
「とにかく、今日は帰るです」
「わかった。じゃあ、最後にもうひとつだけ尋ねたい。初めてのエクレシアはどうだった。俺や網は。おやじの説教や、おふくろのサポートは。ベストだったかい?」
「礼拝は素晴らしい体験でした。牧師たまも奥たまもステキだったです。あみたまもステキでした。理想的なクリスチャン女子だと思いますです」
「俺は?」
私は口を噤んだ。黙する。
「……帰りますです」
黙った末に答は語らず、私は網三たまに皿を渡した。
「お言葉に甘えて、こたびは、預けるです」
「今回は、ということは糸河たま、来週も貴女に会える?」
「あみたま。あなたは、いるですか」
「もちろんよ」
そうだわ、と、網三は付け加える。
「あなたに習って、下の名前を呼んでいいかな、都衣紀さん」
「うにゅっ、ありがとうですます、あみたま」
「ありがとう、都衣たま」
「あの、イトカワさん。俺も……僕もいるぜ。来週も、再来週もおります」
「数図、なに急にかしこまってんの。キモっ」
かずとたまは茶化す友の顔面に肘を打つ。表情は柔和なまま、私に向けられている。
「わからないことや困ったことがあったら、網だけじゃなく、俺も頼りにしてくれ」
「…………」
またも無言になるしかない。どうにもヒーローみしか感じない、てゆうか声がとにかく良い、イケボですね、とはもちろん放たず、私は首は縦にし、数度、頷く。ハンドバッグと日傘を手にし、「みなさま、本日は、ありがとうでしたです」会釈し、雨靴の踵を鳴らし、去る。
「つうか、こんなに良い天気なのになぜレインブーツ?」
あらゆる天候を想定した結果です、なにせ疑り深い性格なので、と、私は心で応えゆく。踵の高い靴がコレしかなかった、とも言えまするが。
「どおやった? 新境地。キイト」
施設から行きゆく曲がり角に在った彼に、わたしは軽く息を呑んだ。
「神琴たま」
「エラい遅かったやん。ランチでも出たんかい」
「はい。ハヤシライスでましました」
「参考になるキリスト者は、いてました?」
「もんのすごい美女がおりました。私を都衣たま、と呼んでもくれたです」
「つまり、どないな脳にも合わせられる才女、っちゅうことか」
棘があるなあと思ったが、私は首を傾げるに留めた。残暑のなかで私を心配し、待っていてくれたのだし。
「有名人が来ましたです。白鷺邑治」
「白鷺邑治ぃ? っかーー、あんのボンボン、顔ひろいにゃあ!」
パチリと神琴たまは指を鳴らす。
「間宮キリスト教会やろ、あんさんが行ったとこ。そおや、あれの坊は白鷺邑治のダチや。こないだネットに動画も出回っとった」
「動画」
「ネットゲームや。間宮のボンはそれで点数稼いだんで、チンピラに絡まれてもおてなぁ」
喋りながら辿り着いた車には乗らず、私は踵を返す。
「ちょ。キイト!」
「干渉は収めてくださりますか、神琴たま。なるほど、サタンハンターか。そうだ、あれで動画が上がった若者がいた。眼鏡の。あれが数図人たまだったのか。検証しなくては!」
「黄絲……」
暑いなか、クーラーも控えて待ったのに。と、神琴の車内は後部座席から青年が抜ける。ふくよかな腹を抱えて笑みを撒く。
「イエロースレッド。スイッチ入ったみたいだね。普段はスイーツ大好きなフツー女子なのに」
「せやね。いやぁ、豹変に居合わせるんは初めてやから、ちょびりとビビったわ」
「ねー、イエスレ!!」
ナノは私の真横に駆け寄った。ふくよかな割に意外と動きが身軽なやつだ。
「イエスレ、ボクちゃんが編集したコレ、まだ未発表なんだけど」
かれがネット動画家の神と持て囃されし理由のひとつ、超小型パソコンだ。映された動画タイトルに私は目を見張る。
「零が零点を征する軌跡?……」
「サタンハンターで上位ユーザーの『Ray』。レイ。かれがどんだけ非常識に強かったかを、アクションつきに時系列でまとめてみたの。ランキング1位だったボクちゃんが1時間で王座脱却した哀しい軌跡」
「女々しいやっちゃ。じぶんを負かした相手を逐一記録かい」
「そ~ゆう哀しみもこうやって地道にカネに変えるのがNaNoなの♪」
「かずとたまはアーチェリーの名手……シュミでピストルも撃ちなさると、周りのかたがたが言ってらした」
「あ~、ガチに射れるんだ、レイ。それにしたって衝撃ビジョンだよ、イエスレ。えっ、これ、どんだけ!? って速射満載だから」
「ありがとうですます。モンドに転送、よろしくです!」
雨靴のヒールで地面を蹴り上げた。走る。
「転送って。収録したフロッピーディスクを渡そうとしたのに。てゆーか、彼女のパソコンの名前、モンドなんだ」
「にゃはは、スイッチオンしたキイトは、外界を徹底的にシャットアウトするんやな。オモロイ。さぁて、なにを汲み取り、織り交ぜ、一個のアートに縫いつけるつもりや? キイト……」
黄色い絲ーー
了.
「よおするに、取材に行きたいんやろ、作品のために」
彼は、わたしの数少ない友人のひとり。神の琴、と書いてミコトと読ませし名の青年だ。なかなかのドキュンネームだ、と会うたびに思う。
「なになに? どこ? たいていなエリアならボクちゃんが調べれちゃうよ、イエスレ」
同席の彼は、NaNoという通り名の活弁士だ。
「その新たな構想に、私の妹は使っていただけるのかい? 糸河先生」
丁寧に尋ねてくださるのは、さる方面で著名な学者だ。風体も、相席したどの友人よりも折り目正しく、セレビティさすら漂っている。
わたしはテーブルに鎮座せしガラス様の器を手に取り、細身のスプーンで標的を掻き、すくいとり、口によせた。頬張る。
「どおでっか、キイト。うまい?」
「むぐむぐむぐ。……はい。パーフェクトですます」
「な!? せやろ! どおやナノ、オレの嗅覚!」
「ちぇ~、こないだボクちゃんが勧めたスイーツより高い評価。わかったよ、こんどアゲとくね、フライングエイトのプリンア・ラ・モードは三ツ星! と」
喋りながらナノは開いたノートパソコンに高速で文字列を並べてゆく。そう、かれはインターネットを舞台に立ち回る活弁士なのである。
「ねー、イエスレ、調べたいのって、どこ? 軍事衛星からマップ撮れるよ?」
「糸河先生。私にも、なにか御協力ができたなら」
「ちゃう、ちゃう、キイトは資料を足で得たいんや。体感から、得たい。せやろ? キイト」
ここで、わたしは私について解説しておきたい。この備忘録を読み返した際、おそらく、惑うだろうゆえに。
まず、糸河。これは本名、本姓だ。『イエスレ』は、イエロースレッドの略。通称だ。『キイト』は、黄絲、と記す。仮名というよりは、ペンネームである。複数の名を使い分けてるつもりはない、どちらも意味は同じ。黄色い絲だ。
【yellow strings】
私の周りのトークは続く。
「略して『イエスレ』とか呼ぶんはおまえだけやけどにゃあ、ナノ」
「しょ~がないでしょ、ボクちゃん、長々しい名前は縮めたくなる主義なの」
「その出た腹も縮まれば暑苦しさも薄らぐんやがのォ」
店内の冷房は充分に効いている。神琴たまは明らかな嫌味を言った。しかし彼の声音はやわらかだ。悪意はない。それをナノも悟ったのか、「厳しいなー、ミコっちゃん」と頰を膨らませるに留め、自らの腹部をポンと叩いてみせた。
かすかな疑問を私は渡す。
「確かに。ナノ、あなたは略すのが好きでますよね。その通り名も、本当はもっと長いんでしょう」
「だよ。ナノセカンド」
「10億分の一、か。由来、あるん?」
「覚えてない。ほとんどゼロっぽい名で何かないかな~って調べただけ」
「わたくしごとで恐縮ですが。私の家系は、十二支に習った名をつける慣習がありますよ」
「甘鶴教授……、十二支、でありますか。たしか教授のお名前は丙、妹さんは庚江でしたよね」
「あまつるかのえ? あー、オモロイ絵で有名んなった『KANOI』か。そおいえば、キイトが前に出した本で組んどったな」
その件では、大変、お世話になりました、と、甘鶴教授は頭を下げる。
いいえ、こちらこそ。カノイさんの絵は、私に凄まじいインスピレーションを与えてくれました、また、必ず依頼したい所存ですます、と、こちらも頭を下げた。
「教授の宅は、なにか宗教は取り入れていますですか」
「お。核心やな、キイト」
「特には無いですね、息子が儒教を知っている程度で」
「神琴たま。ナノ」
「教授に同じや。実家は仏教やけど、オレは何も知らん、知ら~ん」
「ミコっちゃんに同じ。強いて言うなら、ボクちゃんが好きなのは九十九神だね。大切に使うモノに宿るって神」
なるほど、と私は「まあ、妥当な御意見です」と呟き、コーヒーのお代わりを所望する。
「キリスト教に、興味があるです」
「なになに、イエスレ、十字架を使ってモンスター倒すアレにハマった?」
「私は反射神経がすこぶる悪い。サタンハンターなるゲームは、プレイしたことは無いですます」
「創作やな。キリスト教者のキャラクターを閃いたんか。物語の舞台は日本のエクレシア」
「ビンゴです。ゆえに、潜入せねばなりません」
「知人に誘われてキリスト教会のミサに参加したことはあります」
甘鶴教授の発言に、私の耳はダンボと化す。
「取材、などの軽い動機で臨んではならない、そんな厳粛な雰囲気を感じました」
「そうでありますか……」
「ねー、ねー、イエスレ、渋谷だっけ、住まい」
ナノはパソコン画面を指し示す。
「キリスト教会、何件かヒットしたよ」
「妙な紛い物は省いてくださいです」
「シンプルに、って意味? なら、プロテスタントって種類かなー、よくわかんないけど」
「うにゃうにゃ、紛い物っちゅうのは新興宗教の類や。キイト、おまえ、ハデな装飾が好っきやろ。派手系ならカトリックやで」
「カトリック……プロテスタント……」
しばし検討、検証し、住処から最もほど近い施設を私は選択した。続いてドレスコードも探索する。宗教の総本山ゆうたら御布施や御布施、それは別にして賽銭もいるよイエスレ、三位一体とかいうのがキーワードらしいから綺麗な100円玉みっつ! などといったアドバイスをとりあえずメモし、私は未知なるフィールドへ赴く決意を固めるのであった。
♢♢♢♢♢
数日後、わたしは目的地に到着した。正面にラテン十字を刻む、二階建ての施設だ。続いていた残暑は幾分か和らいでいた。安堵する。上から下まで漆黒の扮装だ、日差しが強すぎれば篭る熱で倒れかねない。
『ホンマに独りで大丈夫か? 近くまで送るで、キイト』
かの関西弁な友人は、本当に親切だ。いわく、キミの作品が好きやから、応援したい、だそうだ。その称賛は、なによりも私の糧になる。ありがたい。
『あないなサイケデリックな画、なかなか作れるもんやない。描写も、おっかない。狂人の所業や、みぶるいした』
とても有難い賞賛だ。わたしは、さらにドス黒い世界を爪弾きたい。そうこう思考する間に腕時計は定刻となった。扉を開かなければ。がーー
(うにゅ。開かない?)
まさかな事態だ。おかしいな、日付を誤った? と思考は巡る。しかし扉はびくともしない。だから気づけなかった。背後に、すぐ脇に足を進めてくる気配に。
(うにゅっ。誰!?)
なにものかが私の隣に並ぶ。左側のドアの柄を掴み「こっちだよ」、告げながら押した。
「暑さ対策で閉めてあるんですよ。開いているこちらから、どうぞ」
やけにクリアーな、よく通る低い声だ。けれど身の丈も低い。高校生だろうか。
思う間に私は促された。
すると、内部から2名ほどの婦人が姿を現した。
「あら、数図人さん! 外にいらしたの?」
「お母さまが探してたわよ。数図人がいないわ、二度寝かしらって」
「おいおい、酷いな、おふくろ」
ふうむ、『かずと』か。カズキかカズトかカズマが、私の次作の主人公名になる予定だ。
「あなたがたが今日の受け付けですよね。こちらのかたは、どちらさま? 俺は初めて会いましたが」
受け付け当番な婦人たちも当惑する。
「さあ。私たちも初めてお会いするわ」
「お名前を教えてくださるかしら?」
ここで私は、漸く口を開いた。
「わたしは、糸河都衣紀と申しますです。ここはキリストの教会ですよね。わたし、お参りしにきました!」
言い切られ、受け付け当番たちは顔を見合わせた。
カズト青年は右目を瞬く。はて、変わった眼鏡だ。左目がやけに厚いレンズの内にある。
「お参り? あんた、ここに参拝にきたの?」
「はい! 大丈夫です、お賽銭は持ってきたです。縁起がいいよう、百円が3枚です。御布施の相場は、あとで教えてくださいです。十字架も下げてきたし、服もシスターっぽく黒です。さあ、イエスさまにお参りさせてください!!」
「…………」
カズト青年は、己が額に手を添えた。眉は潜めたが、口角は上がる。
「ははは、すげえ。完璧なノンクリスチャンの登場は久しぶりだ」
そして受け付け当番の婦人たちに向き直る。
「初来会者だ。誰か、イトカワさんに担当をつけてくれますか」
「わかったわ!」
私は、首を、おおいに傾げる。
「あのう、完璧なノンクリスチャンとはどういう意味ですか。どうして笑ったですか。わたし、いろいろ調べて、キチンと正装で来たですけど」
「ああ、いいからいいから、あんたは早く中に。担当者から"いろいろ"教えてもらうといいですよ」
彼は私を促した。噴き出すのを堪えながら。実に失礼な輩だ。わたしが想定するキリスト者らしくない。
ほどなく、担当者です、よろしくね、と、朗らかに笑う婦人が私の腕をとり、会堂の長椅子に座らせた。見上げらば、やはり、内部中央にラテン十字が掲げられている。
(地味)
口にこそ載せなかったが、私は心で感想を吐いた。地味、と。派手系が好きやろ、キイト、との友の台詞が脳裏に蘇る。
(まずった。私は、プロテスタントとやらに来てしまったのか)
引き返すわけにもいかない、担当者なる婦人の顔に泥を塗りたくはない、そも、ミサは始まってしまった、中断したなら悪目立つ。目立ちたくはない、絶対に。
「みなさま、おはようございます。いやぁ、酷暑でしたねえ、今年は。しかし本日は、だいぶ涼しくなりました。エアコンが強かったら、遠慮なさらず言ってくださいね」
枕言葉から入る壇上の男性の格好にも驚いた。単なるスーツ姿だ。きらびやかな僧衣じゃないのか。
「あのう、あのかたが、神父さまでありますか」
問いかけた。すると婦人は「牧師」と返してきた。そのあと数度、神父と言うたび訂正された。はてさて、摩訶不思議だ。神父も牧師も、おなじものだ。少なくとも、この国の一般的人間にとっては。
「初来会者のかたがいらっしゃってますね」
数刻後、牧師とは異なる司会者が私を促した。挨拶を、と言われ、渡されたマイクに私はなにかを穿つ。見世物になる展開も予想の外だ。ありがとう、よくきてくれました、なる周りの拍手も耳に障る。理解はしたが。ああ、こうも馴れ馴れしい世界観がキリスト教のプロテスタントというやつか、と、だれともしらぬ床に吐く。
「糸河さん、上に行きましょう、ランチがあるのよ」
ガイド役の婦人の申し出に、わたしは首を左右する。
「あいにくと、持ち合わせが」
「三百円よね? ナシナシ、あなたは初めてさんだから、それすら払わなくていいのよぅ」
案内先の二階は、大広間だった。テーブルを拭く信徒が、椅子を並べる信徒が、ああ、どうぞどうぞ、と私と婦人に手招きをする。
「さっ、座ろう、糸河ちゃん」
しかして、ものの数分で彼女は立ち上がる。
「うにゅっ、間宮夫人? どこへ?」
「すぐに隣にも手前にも話し相手が座るわ。待ちながら麦茶を飲んでて♪」
手持ち無沙汰という展開だ。仕方なく私は手にした湯のみに自身を映す。ドレスコードは正しかったのかも疑問だ。私の胸に下がるクロスが、やけに浮いてみえてしまう。信徒の誰ひとり、クロスをちらつかせやしない。本当に地味な世界観だ。
「あッはぁ、あの赤いオブジェの場所は、カミナリモンというのかい!」
やけにハイテンションな声の主を見やる。私と同じく、初来会者としてマイクを握った青年だ。日系のアメリカ人らしい。すでに洗礼ずみだそうだ。加えて、能動的な性質のようだ、すっかり、この場に馴染んでしまっている。
「糸河さん、はじめまして。おとなりに座ります」
カタリ、と、私の手前に温かなメニューが差し置かれた。その隣にも。
置いた女性は、椅子を軽く引き、隣に腰を下ろす。所作と動作に、ゆたかな緑髪が揺らいだ。
そして私の心も揺らいだ。ぐっらぐらに。
(なんたる美女ーー!!!!)
叫びを堪えてガン見した。頭の先から足の爪先まで眺めた。完璧だ。完璧なまでの美女だ。アルフォンス・ミュシャが描いた気高い貴婦人に匹敵する。いや、彼女はかの貴婦人より遥かに歳若いようだが。
「私は、左網三です。間宮キリスト教会の青年部で、会計を務めてます。いっしょにお食事が出来て嬉しいわ」
繋ぐ台詞も流麗だ。珊瑚のような瑞々しい唇に彼女は両手を寄せ、やわらかく瞼を閉じる。くちびるが、なにかを音によせた。
「恵み深き、天のお父さま。この聖日に、初めてお会いした糸河都衣紀さん、彼女と共に食事に預かれることを、真から喜びます」
食前の祈りというやつか、と、私は更にマジマジと彼女を観察してしまう。コングラチュレーション! しかも唱えるは、どこの女優かと言わんばかりな佳人だぜ、瞼の裏に奥に、やきつけるしかない。これだ、これは素晴らしい被写体だ、わたしが抱く『クリスチャン』のテンプレートに見事に嵌る。
「さあ、いただきましょう、糸河さん」
「はい。ひだりたま」
夢見心地な気分で私は呼んだ。『たま』は私なりの精一杯の敬称なのだ。たいてい、伝わらないが。
「まあ、ふふっ。糸河たま」
なんと。通じた。oh、yeh! なんたる慧眼と慈愛。まさに理想のクリスチャン女子だ。
「あっ、でも、私には妹や弟がいるのよ。『ひだりたま』だと、妹たちが困惑するかも」
「では、あみたまとお呼びしますです」
と、席に低い声がかかった。
「改めて、初めまして。イトカワトイキさん」
例のカズトなる青年だ。食事が乗ったトレイを手に、私の正面に座る。
私は顔を微かに上げた。
「あなたは、入り口でドアを開いたかたでありますね」
「ああ。あんたがいま案内されてるであろう青年部のリーダーだ」
「あのう。わたし、まだ、ここに通うと決めたわけじゃないです」
「なら、どこに通いたいんだ。イトカワさん、あんたはキリストに"お参り"したいんだろ? この国で近所にキリスト教会があるなんて稀有だぜ? 神社仏閣、つまらねえ偶像は歩けば山とあるけれど」
(居丈高だな、このメガネ)
とは感じたが、焦ってるのかもな、とも思った。この国でノンクリスチャンが訪問するは真に稀なハズだ、彼はリーダーだ、繋ぎとめなきゃならないのだろう。
「あのう。あなた、神社やお寺がキラいなんですか」
俯きかげんな問いかけにリーダーは被せる、「嫌いも好きもない、俺は生まれたころからクリスチャンだから興味がキリストにしかねえんだ」
即座に切り返す、「わたしは8歳のとき、図書室で初めてキリストを知ったです。生まれたころから家は仏教徒だったし、幼稚園ではアマテラスのために踊りました」
ぐっ、と、リーダーさんは膝に乗せた手に力を籠めた。
「つまり、あなたは、神道と仏閣の徒であるにもかかわらずイエスに傾いた、そういうことだろう」
「です。イエスさまは、宇宙を創った神さまの子です。この国に育ったので神社仏閣は好きです。が、わたしがアタマに思い浮かべる『神さま』の姿は美女のアマテラスでも仏陀でもない、ロンゲでヒゲの男性です。8歳の時から」
「それ、……それ、マジもんじゃないか」
ここで彼は素直に吐いた、ように思えた。
まあ、確かにマジな話だ。私が言った真意と経緯に、偽りはない。『かっこいい』と、幼き時に降りたのだ、インスピレーションが。キリスト・イエス。実にわかりやすき設定じゃないか、苦難を艱難を超えた、ふだんは控えめな英雄。スーパーマンだ、ゴルゴ13だ、中村主水だ、と、幼きわたしは感嘆した。しかし実際にキリスト教会に足を踏みだすは躊躇った。なんか、敷居が高そうだし。
(いざ来てみたらば。敷居が、ほぼ、無い。カトリックならもう少し厳しかったのだろうか)
「イトカワさん、あんた、いますぐ洗礼を受けていい。資格は充分すぎるほどある」
「えっ?」
はっ、と青年は口を結ぶ。
ああ、そうか、と、私は悟る。
(やっぱり、かれは焦ってるんだ。そして、己が言動を悔やんだ。身の上もロクに解らぬ人間に受洗を勧めて良かったのかどうか、と)
慌てずとも大丈夫だよ、リーダーさん。私は相当に用心深い、蠱毒のような神経の屑だ。安心できるよう、無知を並べたててみます。
「イエスさまを信じてるだけで洗礼が受けられる、ですか。うそだ。難しい試験があるんでしょう?」
「とんだ誤解だ。洗礼に試験なんかねえ」
「うそだ。クリアするには難関があるです」
「無えよ、安心してくれ。神とイエスを真から信じてる想い、それさえあればーー」
「あのう。そういえば、あなたのお名前は」
この備忘録も『リーダーさん』では格好が悪い。なので聴いたらば、カズトリーダーは頭を掻いた。
「わるい、肝心な点を忘れてて。俺の名前は、間宮。間宮数図人」
「字体は」
つい、訊いてしまった。カズトリーダーは、はにかむ。
「数学の『数』に、図形の『図』に、人。DQNとか思った?」
いいえ、と返す脳の裏側で文字配列が目紛しく華やぐ。
「間宮って呼び名は、おやじやおふくろと被るから、俺を呼ぶときはファーストネームか、リーダーとでも呼んでくれ」
「うにゅ」
二度目の衝撃だ。ひだりあみたまに感じた衝撃が、いま再び、私を襲っていた。間宮、だと? なんとかれは、このエクレシアの。牧師夫妻の息子だったのだ。そして、その苗字から繋がる響きの滑らかさは、どうだ。『まみやかずと』。どこからどう聴いても主人公のフレイズだ。字体字面は、数に図形だ。ギリギリなドキュンネームぶりも絶妙だ。と捉えたらば、かれの纏うすべてに輝きが垣間見える。そうだ、低い背たけは、艱難を乗り越えゆく主人公の、むしろ、武器だ。
「ん? う、うにゅって? イトカワさん?」
真意はあかせない私は、ひたすら頷くしかない。
「うにゅうにゅ。うにゅうにゅ」
「ど、どうしたんだ、あんた」
「うにゅう。失礼しましたです。あなたはこのエクレシアの王子さまだったでありますね。びっくりしたです」
「王っ……」
「くすっ、クスクス……かっちゃんが王子様……」
絶句する横で小さく噴くは女神。
「笑うんじゃねえよ、そんなに違和感かよ。確かに俺も痒いけど!」
しかし極端に否定するのはやめる、と繋ぎ、「ちょっと痒くなるフレーズだが、まあ、そんな感じだよ」と緩く頷いた。
そこへ大声が割りいる。
「おっはよーーぅ、数図ぅ~!!」
唐突に緊張感は壊された。能天気極まる空気に壊された。
「もうランチタイムだけど。おはよう、数図!」
「ゆ、邑治!!」
「こんにちは、邑治くん。相変わらず大遅刻ね」
あみたまの茶々に、大柄な青年は顔を綻ばせる。両手の親指を立てて片目を瞑る。
「イェーイ! アミちゃーーん!! 今日もキュートにビューティフル! や、だって、礼拝って堅苦しいし難しいから俺なんか寝ちゃうし! でも、みんなとランチは食べたいからさぁ」
のたまいながら、輩はあみたまの手を取る。その不躾な手の甲へ、王子さまは賛美歌の角をグリッと捩じ込んだ。
「うひぃ、痛いッ!!」
「俺の妹分に妙なマネしたら制裁だ。なんべん言わせる。この軟派野郎」
「なんだよぉ、握手くらいイイじゃんか、ケチ!」
「ユウ。毎回毎回、難しい難しい、堅苦しい堅苦しいと言っておまえは礼拝後にしか来ないよな。初めて来た彼女を少しは見習え!」
手翳しで私を示してくれた。かずとたま。
輩は「あ、座ってるしチビっちゃいから気づかなかった! へ~、初めて来たなら俺とも初顔合わせだな! はじめまして、こんちわ~!!」まったくテンションを変えることなく挨拶し、私に歩み寄ろうとした。おいよせ、近づくな。汚らわしい。
その革靴の先を、かずとたまは踏みつける。
「うひぃ! 痛いッ!!」
「すぐスキンシップに走るんじゃねぇ。射るぞ!」
私は「いる、とは?」と呟いた。
「かっちゃんは学生時代にアーチェリーをやってたのよ」と、あみたまが応えてくれた。
「あ、弓矢を射るの『いる』ですか」
「今じゃ数図、もっぱら、エアガン撃ってるだけだけど」
「おまえは黙ってろ、ユウ!」
穿いたズボンのポケットからカッサを取り出し、かずとたまは輩の後頭部を撲る。ゆうじ、か。風体といい、どこのなにものだか想定はつく。超有名人じゃないか、白鷺邑治。大財閥スカイエンドのドラ息子だ。
(白鷺一派は神道だが。なるほど、さすがは悪名が先にいく白鷺邑治。交友関係にクリスチャンもいたとは、あなどりがたし)
「痛いッ! ちょ、それ、ツボ押しだろ用途! メリケンサックにするなよ怖い!」
私は無機質に「エアガン……メリケンサック……」と繰り返し、席を立つ。手に、空の食器を抱えた。そろそろ、場を離れし頃合いだ。
「みなさんの動きを見てたです。自分の皿は自分で洗うですよね」
「ちょ、イトカワさん」
「糸河たま、もう帰るの? なにか気分を害したのかしら。疲れてしまわれたの?」
「両方です。疲れてました。あと、こういうひと、苦手です。だから、帰りますです」
視線は合わせず、わたしは白鷺邑治を日傘で示した。
かずとたまは舌打ち、邑治青年を椅子に座らせる。
「な、なになに、どーしたの、かずちゃん!?」
「おまえはまず、体がデカすぎる。座れ。そしてハヤシライスを食ってろ」
「はい、ゆうじさん、ハヤシライスだよ!」
赤い髪の美少女が白鷺邑治の手前に料理を置く。
「よぉ、ホタルちゃん。イェーイ! 今日もキュートにロリに可愛いね!」
変わらぬ軟派ぶりだ。しかしどうやら、この邑治青年の射程範囲は美人であって、少女ではない。それが周知ゆえに数図人たまは邑治青年をホタルちゃんに託すのだ。
「さあイトカワさん、不純物は消えた。座って話し合い直そう。食器は、今日は初めて来たんだし、俺が洗う」
手を差し出されたが私は首を横に振る。
「うにゅうにゅうにゅ。王子さまが下々のものの皿洗いなどしてはならないです。あと、次週も来るとは限りませんです」
「来てくれたら、私はとても嬉しいわ」
「とにかく、今日は帰るです」
「わかった。じゃあ、最後にもうひとつだけ尋ねたい。初めてのエクレシアはどうだった。俺や網は。おやじの説教や、おふくろのサポートは。ベストだったかい?」
「礼拝は素晴らしい体験でした。牧師たまも奥たまもステキだったです。あみたまもステキでした。理想的なクリスチャン女子だと思いますです」
「俺は?」
私は口を噤んだ。黙する。
「……帰りますです」
黙った末に答は語らず、私は網三たまに皿を渡した。
「お言葉に甘えて、こたびは、預けるです」
「今回は、ということは糸河たま、来週も貴女に会える?」
「あみたま。あなたは、いるですか」
「もちろんよ」
そうだわ、と、網三は付け加える。
「あなたに習って、下の名前を呼んでいいかな、都衣紀さん」
「うにゅっ、ありがとうですます、あみたま」
「ありがとう、都衣たま」
「あの、イトカワさん。俺も……僕もいるぜ。来週も、再来週もおります」
「数図、なに急にかしこまってんの。キモっ」
かずとたまは茶化す友の顔面に肘を打つ。表情は柔和なまま、私に向けられている。
「わからないことや困ったことがあったら、網だけじゃなく、俺も頼りにしてくれ」
「…………」
またも無言になるしかない。どうにもヒーローみしか感じない、てゆうか声がとにかく良い、イケボですね、とはもちろん放たず、私は首は縦にし、数度、頷く。ハンドバッグと日傘を手にし、「みなさま、本日は、ありがとうでしたです」会釈し、雨靴の踵を鳴らし、去る。
「つうか、こんなに良い天気なのになぜレインブーツ?」
あらゆる天候を想定した結果です、なにせ疑り深い性格なので、と、私は心で応えゆく。踵の高い靴がコレしかなかった、とも言えまするが。
「どおやった? 新境地。キイト」
施設から行きゆく曲がり角に在った彼に、わたしは軽く息を呑んだ。
「神琴たま」
「エラい遅かったやん。ランチでも出たんかい」
「はい。ハヤシライスでましました」
「参考になるキリスト者は、いてました?」
「もんのすごい美女がおりました。私を都衣たま、と呼んでもくれたです」
「つまり、どないな脳にも合わせられる才女、っちゅうことか」
棘があるなあと思ったが、私は首を傾げるに留めた。残暑のなかで私を心配し、待っていてくれたのだし。
「有名人が来ましたです。白鷺邑治」
「白鷺邑治ぃ? っかーー、あんのボンボン、顔ひろいにゃあ!」
パチリと神琴たまは指を鳴らす。
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「動画」
「ネットゲームや。間宮のボンはそれで点数稼いだんで、チンピラに絡まれてもおてなぁ」
喋りながら辿り着いた車には乗らず、私は踵を返す。
「ちょ。キイト!」
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