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後編

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「いえ。お二人の時間を邪魔しては申し訳ないので、お母様にお返しておきますね」
「こ、こここ、これは……ち、ちっちち、ちが、ちっちっちちちっ……違うんだ!」
「それと、婚約破棄もお母様にお伝えしておきますね」

 笑顔で言って、私はフロマンジュの前から去った。

 その後私はフロマンジュの母親のところへ行き、事情を説明してから、フロマンジュに借りていた本を返しておいた。また、その時点で、フロマンジュとの婚約を破棄することも伝えた。

 それから一ヶ月、私たちの婚約は正式に破棄された。

 私は彼から慰謝料を支払ってもらった。
 いや、厳密には、彼の親からなのだが。

 以降、私が恋をすることはなかった。

 しかし良いことがなかったわけではない。

 ボランティアとして孤児院で手伝いのようなことをしていたのだが、その縁で、私はそこの孤児院の持ち主を継ぐことになったのだ。

 孤児院での暮らしは忙しく大変なことも少なくない。
 ただ、私にとっては、そこで過ごす時間はとても温かく幸せなものだった。

 ちなみにフロマンジュはというと、あの後、あの時の金髪女性と結婚したらしい。しかし、結婚から一年も経たないうちに、彼はまた浮気をしたそうで。最終的には金髪女性にも捨てられたそうだ。また、その時の浮気相手の女性には詐欺師をしている兄がいて、フロマンジュはその兄によってはめられ全財産を失うこととなったそうだ。


◆終わり◆
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