ぼろくそに言って婚約破棄した彼、複数人と同時交際していたことがばれたために誰からも相手にされなくなってしまったようです。

四季

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前編

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 婚約者オーロレンスから「お前といてもちっとも楽しくない、お前といても最低なことばかり。だからもう会いたくないし、何なら傍にもいたくない。どうして俺だけがこんな目に遭わなくちゃならないんだ、俺にはお前の面倒をみる義務なんてないはずだ」などと散々なことを言われたうえ婚約破棄宣言までされてしまい、落ち込んでいたのだが。

「婚約破棄されたって本当ですか!?」

 何やら妙に明るく活発そうな少年――いや、ぎりぎり青年と言えるだろうか――くらいの男性が、私の前に現れた。

「どうして、それを」
「先ほど盗み聞きしました!」
「ちょっと。あの、何なんですか。ちょっと失礼ですよ」

 一瞬警戒してしまう、が。

「すみません!」
「ええ……」
「でも、愛しているんです! 貴女を! 貴女だけを愛しているんです、そして、想っているんです」

 彼はどこまでも真っ直ぐで。

「ええと、その……いきなりそのようなことを、言われましても……」
「ですから! これから気持ちを伝えていきます! できることはすべてします、だから! どうか、チャンスをください!」
「チャンス……?」
「傍にいてもいいですか!?」

 だからだろうか、私はいつの間にか彼の言葉を信じ始めてしまっていて。

「傍にいるくらいであれば、大丈夫ですよ」
「やったああああ!!」
「あ、でも、騒がないでくださいね」
「申し訳ありません」
「……ふふ」
「へぁゃ?」
「急に真顔になられたので驚くと同時に面白く思ったのです」
「ふゅぃえゃぁぁ~」

 こうして私たちの物語が始まってゆく――。
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