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後編

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「悪いが婚約は破棄とさせてもらう」

 ついにこの日が来た!

 にやけてしまいそうだ。
 でもそれはこらえる。
 嬉しがっていることを知られてはならない。

「他に愛する女性ができてしまった。だからもう君を見つめ続けることはできない。……正直、思っていたより駄目女だったしな。ということで、関係は終わりとする」

 こうして私はガーランドに婚約の破棄を告げられた。

 わざと嫌われる作戦は失敗したけれど、女性が迫ってくれたことによって婚約破棄されることに成功した――これはある意味幸運だ。

 婚約破棄された私はリュシアのところへ向かう。

「えっ、婚約したんじゃ……」

 リュシアは森の近くで一人暮らししていた。
 親のために魔法を使わされることが嫌で家出して、そこで暮らすようになったらしい。

「破棄されたわ」
「破棄!? マジ!?」
「ええ。でもいいの。私、彼と生きる気なんてなかったの」

 少し間を空けて、続ける。

「どうしても、貴方と生きたかった……もう遅いかもしれないけれど、できれば、一緒に生きてくれない?」

 見つめ合えば、特別な感情が生まれる。

 始まりは細やかな想いだった。
 それは恋でも愛でもなく。
 純粋に相手を好む感情だった。

 でも今は、成長した彼のことを、少しばかり特別な人として見ている。

「もちろん!」
「やったぁー」
「……変わらないよな、そういうとこ」

 こうして私はリュシアと結婚した。


 ◆


 あれから十年、私は今、夫であるリュシアと共に戦っている。
 数年前から急に魔物が増えたのだ。
 それを討伐するため、私たちは戦っている。

 剣士の妻と魔法使いの夫――私たちは今、国では『魔物狩り名人夫妻』と呼ばれ英雄視されている。

 その成果を国王から表彰されたこともある。

 ちなみにガーランドはというと、今はもうこの世にいないようだ。
 これは私が親から聞いた話だが。
 彼はある時魔物の群れに襲われて亡くなったようだ。


◆終わり◆
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